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対話のバリアを取り除くために地味にやっていること
こんにちは。SNS領域プロダクトのプロダクトマネージャーをしている別所 (@gb_pdm)です。
この記事は地味PM Advent Calendar 2022 6日目のエントリーになります。
アジャイル開発における対話の重要性
突然ですが普段アジャイル/スクラムでプロダクト開発をされている方に質問です。
2001年に当時ソフトウェア開発手法分野で活躍していた17名の専門家によってまとめられたアジャイルソフトウェア開発宣言、通称アジャイルマニフェストに最初に書かれている価値が何か分かるでしょうか?
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正解は「プロセスやツールよりも個人と対話を」です。
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従来の開発手法では決められたルール通りに作ることが優先されてきました。その結果ユーザー、マーケットの要求変化に素早く対応ができなくなり、ドキュメントや設計にも完璧さが求められるようになりました。
しかし書き手によって質も異なり、読み手によっても解釈が異なってしまうドキュメントに完璧なものなどありません。このズレを対話によって補正していくことを重要視しているのがアジャイル開発です。
時間をかけて作った辞書のようなドキュメントではなく簡素にまとめられたドキュメントとすぐにフィードバックをもらえるチームメンバー、ステークホルダーと対話を密にすることの方がプロダクトの成功につながるはずだということです。
対話のバリアとは
プロダクト開発における対話の重要性を理解している方はかなり多いと思うのですが、一方で人間関係やコミュニケーションに関して課題やモヤモヤを抱えている人も多いのではないかなという印象です。(特にリモート環境においては)
自分はその背景に下記のようなバリアがあるのではと考えています。
①対話がめんどくさいものであるというバリア
②対話が怖いものであるというバリア
①対話がめんどくさいものであるというバリア
リモート環境における対話は非常にめんどくさいです。slackであれば相手に余計な誤解を生まないように何度も書き直し、自分の感情にマッチしたスタンプを吟味します。zoomやmeetであれば関係者の予定を確認し日程調整を行う必要があります。そして「めんどくさいから明日にしよ」「多分このまま進めても問題ないから話さなくてもいっか」となります。
②対話が怖いものであるというバリア
専門性の高い分野に関する会話や整理に時間がとれていない段階での会話が怖いと感じるのは自分だけでしょうか?「怒られるかも」「こんなことも知らないのかと思われたらどうしよう」という理由から本来もっと早く行われるべき対話の機会を逃した回数は数知れません。
前段が長くなってしまいましたが、今回はこういった対話に対するバリアを取り除くために日々チームで地味にやっていることを紹介できればと思います。
バリアを取り除くためにやっていること
バリアを取り除くポイントは大きく3つです
①対話が生まれる隙(無駄)を作る
②ほんの少しの自己開示
③毎日が少しだけワクワクする工夫
①対話が生まれる隙(無駄)を作る
空間や環境が洗練されすぎていると意味のある話をしないといけないという空気になってしまいます。よりカジュアルに対話したいのであればフランス料理屋ではなく雑多な立ち飲み屋を目指すべきです。
そのために自分が激しくお勧めしたいのがバーチャルオフィスツールのGather.Townです。
Gatherは遊び心に溢れた多種多様なアバターやオブジェクトを活用することで自分たちが作りたい自由な空間を演出できます。
例えばこれは連休のハワイ帰りのチームメンバーを迎えるためにハワイ仕様に変更した時の様子です。(Gather業界的にはかなり雑い)
![](https://assets.st-note.com/img/1670276848877-8e2UiMYKLn.png?width=1200)
同じ絨毯の中にいるメンバーとは会話ができるようになっていて、絨毯を出るとより近い距離にいるメンバーとだけ話せるようになります。
2人で話したい場合は、「自販機のところ集合で」みたいな感じで話をしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1670276721356-vxwoBicuPR.png?width=1200)
Gatherを利用することで会話のきっかけは間違いなく生まれやすくなりますし、必要に応じて都度meetを設定するよりもはるかに会話量は増えます。
②ほんの少しの自己開示
自己開示は内容によっては抵抗がある人もいるため強制ではない前提ですが、チームが許容できる範囲でお互いに自己開示するのは、心理的安全性を構築し対話が怖いというバリアを取り除く上で大切なことだと考えています。
今のチームでは下記を実施しています。
Gatherでのカメラオンの推奨
レトロスペクティブで実施しているKPTでプライベートのKeep / Problemも出す
自分も元々カメラオンやプライベートの情報開示には抵抗があるタイプの人間でしたが、いざやってみると特に失うものもなく、今では求められていないのに積極的に我が子の写真を共有するくらいには心境の変化がありました。
③毎日が少しだけワクワクする工夫
これは本当に地味なのですがより会話が生まれやすくなる工夫としてデイリーミーティングでは下記を実施しています。
進行ルーレット
今日の1枚
進行ルーレットは、デイリーの進行を日替わりで変えていて、ルーレットで次の日の進行を決めるというものです。あえてローテーションではなくルーレットにすることでドキドキ感を演出しています。当然連続で当たる人も出てきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1670286174372-lLfShWs52I.png?width=1200)
今日の1枚はデイリーの進行になった人がslackになんでも良いので写真を1枚投稿し紹介するというコンテンツです。
デイリーの開始3分をこの時間にしていて自己開示の面と会話のきっかけ作りを目的に実施しています。
前回自分が当たった時はAmazonのブラックフライデーで購入したワイヤレスイヤホンの紹介をしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1670280502583-2gteikuSh7.png?width=1200)
やってみた結果
ここまで紹介したことを実施し続けた結果、
「レトロスペクティブで効率的、生産的な改善案が毎回出て、チームから新しいアイデアがいくつも出ていて、ドキュメントがなくても素早く仕様策定しリリースできています!!」
めでたし。めでたし。
![](https://assets.st-note.com/img/1670273974722-ShuMXmOOpz.png?width=1200)
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という状態になっている訳では決してありませんw
ただ少なくとも下記のような状態は作れてきています。
レトロスペクティブで実施しているKPTでは毎回1人10個以上付箋が貼られる
Q単位で実施しているチーム内アンケートではコミュニケーションは常に最高評価
モブプロ、ペアプロの実施(継続1年以上)
「Quick & Dirty」なドキュメント作成の文化ができてきた
モブプロ、ペアプロは先ほど紹介したGatherを利用して画面共有しつつエンジニアが対話しながら開発しています。
その画面や対話をプロダクトマネージャーである自分も聞きながら作業しているので、認識がずれていると感じたらリアルタイムに軌道修正ができます。
ドキュメントについてはPRD、設計・調査ドキュメント、テストケースを主にチームで作成していますが必ずチームフィードバックを通すようにしています。
1人で作成する場合、時間をかけても必ず漏れがでるのでまずはクイックに作成しチームフィードバックのタイミングで内容を充実させる方が品質も高く効率も良いと感じています。(その方針でチームで合意が取れていることも重要)
さいごに
「プロセスやツールよりも個人と対話を」を重要視するチームを目指してきたことで最近感じているチームの変化があります。
1つ目は主語が「私」から「私たち」になってきたことです。
スプリントに関しても自分のタスクが終わったかどうかではなく、チームとして何を完了すべきなのか?そのために自分は何ができるのか?という考え方ができるようになってきたかなと感じています。
2つ目はチームが以前より楽しんでプロダクト開発をするようになってきたことです。
継続的な対話を続けることで新たな発見や喜びを共有する機会が増えたと思っています。そのことが純粋なものづくりを行う楽しさに繋がっていて、ここについてはプロセスやツールでは得ることのできない価値なのかなとも思っています。
というわけで今回は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!