PMとして大切にしていること
こんにちは。SNS領域プロダクトのプロダクトマネージャーをしている別所 (@gb_pdm)です。
久々の投稿になります。
今回はnoteさんのPM投稿企画への参加記事になります。(ギリギリ滑り込み)
PMとして大切にしていること
大切だと感じることは常に変化していて1つに絞ることも中々難しいのですが、2022.8月現在の僕が大切にしていることを1つあげるとすると『考え抜くこと』です。
これは「大切にしたいこと」でもあり、「大切だとわかっているけど中々出来ないこと」でもあったりします。
なぜ大切か?
なぜ『考え抜くこと』が大切かというとプロダクトマネージャーは不確実性という恐怖に立ち向かわなければいけない人達だからです。
人はわからないものに対して不安や恐怖を感じます。
例えば僕は
・この機能をリリースして本当にユーザーが利用してくれるだろうか?
・フォーカスすべきNSM/KPIはこれであっているのか?
・今自分たちが解くべきイシューは一体何なのか?
といった不安を抱えながら仕事をしています。
これらの不安を解消するために仮説検証を通して学習していくことが重要ですが、全てを検証で明らかにできるわけではありません。
むしろ時間、リソース的制約により検証できないことの方が圧倒的に多かったりします。
少ない判断材料で意思決定を行う必要があるが自信、根拠が持てずに二の足を踏んでいる。そんなときに「考え抜いたかどうか」が背中を押してくれます。
考えるとは?
「考える」という役割には大きく2つあると思っています。
①考えるとは複雑な事象を整理し解きほぐすこと
②考えるとは物事を洗練し研ぎ澄ませること
どちらも非常に重要だと考えています。①については「分析」という言葉に置き換えても良いと思います。
ちなみに「イシューからはじめよ」では「考える」と「悩む」は似ているようで全く違うと書いてあります。
目に見える進捗という甘い誘惑
「考え抜く」という行為の最大の問題は考える行為そのものはビジネスに対して進捗を与えないということです。
進捗がないとめちゃめちゃ焦ります。このままでよいのだろうか?という気持ちになってきます。また「仕事をしていないと思われるんじゃないか?」と周りの目も気になり始めます。
そして目に見える進捗という甘い誘惑に手を出してしまいます。
深く考えずに他社の機能を真似したり、Bizからの要望をそのまま実装したりしてリリース実績を作りに行こうとしてしまいます。
そしていつの間にか考える時間が減り、どれだけ多くの機能をリリースできたかでプロダクトを評価するビルドトラップに陥ってしまいます。
考え抜くために意識していること
ここからは考え抜くために意識していることをいくつか紹介します。
答えが自分の中にない前提に立つ
考え始める時にその答えが自分のこれまでの経験、知識からは出ないということを前提に考えるようにしています。そのためユーザーインタビューなどを通して情報収集するところから始めます。似たイシューに取り組んでいる企業の事例がないか、解決の参考になりそうな本などもチェックします。
発散と収束を区別する
発散、収束を区別せずに同時に考えようとすると迷子になってしまうので、必ず発散フェーズ、収束フェーズを意識します。
発散フェーズではなるべく関係者を巻き込み大勢で実施するようにしています。miroなどのオンラインホワイトボードツールを活用して思いつく限りのポストイットを貼っていってもらいます。
収束フェーズではフレームワークを利用して発散した情報を整理していきます。ここは1人でまとまった時間をなるべく取るようにしています。
具体と抽象の現在地を把握する
「発散と収束」と同様、「具体と抽象」の目線を合わせておかないと迷子になってしまうのでどの抽象度で物事を考えているかを把握しておくのは非常に重要です。
例えば「プロダクトマネジメントのすべて」にあるプロダクトの4階層で抽象度を整理することで非常に考えるべきポイントがクリアになります。
また関係者と議論する際に話が噛み合わない場合、具体と抽象の目線があっていないことが原因であることも多いです。プロダクトマネージャーはプロダクトビジョンといった抽象度の高いものからエラー文言の詳細な仕様検討まで具体と抽象を行き来しながら具体と抽象の距離を把握し橋渡しをしていくことが非常に重要だと感じています。
この辺りについては大室さんの「具体と抽象」×「時間軸」でみる会話スタイルの傾向という話がとても面白いので是非聴いてみてください。
思考のプロセスを可視化する
思考プロセスは無形なので整理できた部分をどこかに残しておかないと時間が経つとコンテキストやプロセスが追えなくなってしまいます。
後で見返した時に「その結論がどうやって導き出されたのか?」が誰でもわかるように中間生成物をしっかり残しておくのが重要です。
例えば先ほど紹介したプロダクトの4階層におけるCore/Why/Whatを整理した際には
- SWOT分析
- KA法でのインタビュー結果の整理
- 顧客セグメント単位でのバリュープロポジションキャンバス
- グロースモデル
- カスタマージャーニーマップ
- リーンキャンバス
などの中間生成物を作成しました。
また思考を収束させる際にはアイデアの排除や言語の言い換え(抽象化)が発生しているはずなので、その際の基準や言い換え前後の言葉も残すようにしています。
場を作る
クライス&カンパニーさんのラジオで小城さんがおっしゃっていたのですが「考えざるを得ない状況を作る」というのはとても重要だと思っています。
日々のMTGや作業で忙殺されているとどうしても「考えること」の優先度が下がってしまうので。
弊社では半期に1度テーマを決めてそのテーマに基づき週に1度PMで集まって議論するというのをやっています。
昨年はプロダクトのコアバリューの言語化とNSM策定というテーマにやっていて、今期はイシューの特定と解決策の仮説検証というテーマで進めています。
こういった取り組みがあると良い意味で考えることから逃げられないので良いなと思っています。
時間を決める
正直これはできてない時も多いのですが、ちゃんとリミットは決めた方が良いです。
・いつまでに意思決定すべきか明確な期限を設ける
・◯時間で答えを出す
のようにリミットを設定しておかないと無駄に時間を溶かすことになります。
伝えよう
当たり前のことですが考えたことは伝えましょう。
その際、結果だけを伝えるのではなくプロセスも含めて伝えるのが重要です。
個人的にはYAMAP プロダクトマネージャー土岐さんの「伝える際は驚きを最小にする」という考え方がとても好きです。
「考える」ところから関係者を巻き込めるのがベストだと思っていますが、難しい場合はなるべく小出しでチームメンバーに思考の状況をslackで伝えるようにしています。
あとは、言語化したコアバリューやロードマップに積んでいるエピックの目的などはスプリント最終日のレトロスペクティブで毎回確認し伝えていたりします。(チーム全員が常に意識できている状態を作るために)
さいごに
いかがでしたでしょうか。
実際考え抜くことは相当エネルギーを消費するので
・考えること自体が好きな人
・プロダクト愛を持てる人
じゃないと中々難しい部分もあるかなと思っており、このあたりがプロダクトマネージャーを楽しめるかどうかにも関わってくるポイントではないかと個人的には思っていたりします。
こちらの記事の「脳みそがちぎれるまで考えたのか」という言葉がとても刺さっていて、大事な意思決定を行う時や判断に迷った時はこの言葉を思い出しています。
というわけで今回は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!