【バーティカルSaaSスタートアップ調査】 2021年8月第4週に調達している世界の注目事例5選!vol.12
こんにちは🙌
Gazelle Capital の近藤です!
皆さんはコロナワクチン、受けましたか?
先日渋谷のワクチン接種会場は長蛇の列だと報道されていましたね。その長さにとても驚きました...
さて今週も資金調達を行った海外のバーティカルSaaSスタートアップのうち興味を持った企業を5社ピックアップしてご紹介いたします。
最後まで見ていただけましたら嬉しいです✨
①エクスローサービスによる暗号通貨の交換プラットフォーム 「XREX」
設立🏢:2018
拠点🏠:台湾
調達日🕑:2021/08/23
調達額💰:$17M
ラウンド🚉:シード
今回の投資家👤
(リード)CDIB Capital
(その他)Black Marble Capital Management、New Economy Ventures、Systex、Metaplanet Holdings、SBI Investment、Seraph Group、ThreeD Capital、AppWorks、Global Founders Capital
【事業内容】
米ドルで行われている世界の貿易のほどんどが抱えている「ドル不足」問題があります。ブロックチェーンスタートアップである「XREX」は、エスクローサービスや暗号通貨の交換プラットフォームなどにより製品のより迅速な取引を可能にします。
エスクローサービスとは事業者が一旦買主から代金を預かり、買主の方で不備なく商品の受取やサービスの受領を確認できた時点で、事業者から売主に対し預かっていた代金を引き渡す決済サービスのことです。売り手買い手の同時履行を確保し、商品を渡したが代金がもらえない、代金を払っても商品がもらえないといった両者の決済に対する不安を解消する仕組みです。
「XREX Crypto Services」は特に米ドルの流動性が低い国の取引業者が、デジタル化された法定通貨で取引を行うためのツールです。商品を輸入するためには米ドルを確保しすぐ支払わなくてはいけません。このツールの「XREX」のウォレットにサインインすることで、今すぐ米ドルが手元になくてもその後の支払いが保証できるため、取引を始められるのです。取引業者はステーブルコインをサプライヤーに支払い、「XREX」はサプライヤーが出荷の証明を提供するまで資金をエスクローし、その時点で支払いをサプライヤーに移します。XREXの暗号通貨交換によりユーザーはUSDTとUSDCを米ドルに変換でき、プラットフォームを介して引き出しと入金を行うこともできます。
この普及により経済的に不安定な新興企業などの取引業者であっても、誰もが金融サービスへのアクセスでき取引に参加できるようになるのですね!
② 不動産管理ソリューションを提供する 「Plentific」
https://www.plentific.com/en-gb/
設立🏢:2013
拠点🏠:イギリス
調達日🕑:2021/08/25
調達額💰:$100M
ラウンド🚉:シリーズC
今回の投資家👤
(リード)
Highland Europe、Brookfield Technology Partners、A/O PropTech
(その他)
Mubadala、RXR Digital Ventures、Target Global、Round Hill Ventures、
【事業内容】
「Plentific」は、家主が修理やメンテナンスサービスを行うプラットフォームを提供しています。家主はこのプラットフォームを通じて請負業者の比較や、見積もり、修繕内容の可視化を行います。また依頼した請負業者とのコミュニケーションや修繕で生じた費用の管理もすることができます。それに対し、請負業者はこれを使用することで家主との見積もり内容や請求などといったコミュニケーションを円滑にするとともに、作業地域を設定することでリードを獲得しやすくなります。
不動産管理スペースをターゲットにしたマーケットプレイスSaaSプラットフォームを運営する「Plentific」は今回1億ドルのシリーズCをクローズしました。コロナにより多くの人達は家で過ごす時間が多くなったため、住宅を改修したいというニーズが高まりが今回の調達を後押ししました。この資金調達によって、今後不動産と施設の管理スペース全体でデジタル化をさらに推進し、資産管理ソリューションを構築する計画を立てています。
現在100以上の大口顧客がおり、市場には16,000を超える請負業者がいるといいます。管理している物件の数は過去3年間で17倍に増えた「Plentific」はさらなる成長を見せることでしょう!
記事リンク:https://techcrunch.com/2021/08/24/plentific-cements-100m-to-expand-its-property-management-saas/
③企業の支出管理スタートアップ 「Ramp」
設立🏢:2019
拠点🏠:アメリカ
調達日🕑:2021/08/25
調達額💰:$300M
ラウンド🚉:シリーズc
今回の投資家👤
(リード)Founders Fund
(その他)Honeycomb Portfolio、LGF、Altimeter Capital、Conversion Capital、Vista Public Strategies、A* Partners、Flexport、Definition Capital、Coatue
【事業内容】
「Ramp」は2019年に設立され、支出管理カテゴリでは比較的新しいスタートアップです。しかし急成長を見せています。「Ramp」は顧客がお金を節約できるよう支援することに重点を置き、カードを通じて行われたすべての購入に対して1.5%のキャッシュバック報酬を付与しています。また提供するダッシュボードによってサブスクリプションとライセンスを可視化し重複を防ぎます。他にも年間サブスクリプションと月額サブスクリプションでお金を節約できる場合に顧客に伝える機能も開発しています。
「Ramp」の支出管理という市場は、多くのプレーヤーがしのぎを削り市場のシェアをめぐって競争しています。現在消費者や企業にクレジットカードやデビットカードを発行すること自体は大部分がコモディティ化してしまったため、決済を介し企業支出の一部を狙うスタートアップは自社の既存プロダクトを中心により強力なソフトウェアを開発しようとしています。その開発によって企業が現金の流出を管理・制限するのを支援することでシェアを獲得しようとしているのです。「Ramp」は独自の経費精算ツールを開発、さらには同社のカードで支払わなかった経費に関して従業員が精算できるように経費精算機能を追加しました。他にも最近、ベンダー管理ツールも加えました。顧客数が120%増加した「Divvy」や、「Brex」などの競合も同じく急成長を続けており今後も激しい競争が続きそうです。
記事リンク:
https://techcrunch.com/2021/08/24/ramp-and-brex-draw-diverging-market-plans-with-ma-strategy/
https://jp.techcrunch.com/2020/12/22/2020-12-17-ramp-raises-30m-as-the-battle-to-own-corporate-spend-heats-up/
④ノーコード自動化プラットフォーム 「Leapwork」
設立🏢:2015
拠点🏠:デンマーク
調達日🕑:2021/08/26
調達額💰:$62M
ラウンド🚉:シリーズB
今回の投資家👤
(リード)
Kohlberg Kravis Roberts、Salesforce Ventures、Headline、DN Capital
【事業内容】
「Leapwork」は、ノーコード自動化プラットフォームを提供するスタートアップです。このプラットフォームによって、ビジネスユーザーやITユーザーは反復作業を簡単に自動化することが可能になります。企業は自動化をより迅速に取り入れられ、さらに自動化を社内の様々なタスクに広げることができるのです。上記の機能を従来の自動化にかかるコストよりも少ないコストで、そして最小限の専門家のリソースで得ることができます。
「Leapwork」を使用することで、反復作業の工数を削減し生産性が97%も向上したり、ダウンタイムや収益の損失などのアプリケーションエラーを90%軽減し品質を向上させたりできるといいます。またその他にも顧客のニーズをすぐに反映させられるため、市場に適応するまでの早さは従来の10倍だとも言われています。「Leapwork」によってビジネスユーザーが、たとえコーディング方法を理解しなくても、反復的なコンピュータープロセスを自動化することができるのです。このような専門的な知識を必要としないノーコードは私たちの仕事を一変させ、DXを推進させることになるでしょう!
記事リンク:https://saasindustry.com/news/leapwork-raises-62m-in-series-b-from-kkr-salesforce-ventures/
⑤中小企業に対してSaaS管理をサポートする 「Sastrify」
設立🏢:2020
拠点🏠:ドイツ
調達日🕑:2021/08/27
調達額💰:$7M
ラウンド🚉:シード
今回の投資家👤
(リード)HV Capital
(その他)なし
【事業内容】
多くの企業は様々なタスクを円滑にするために複数のSaaSを購入し、使用しています。ただ購入された多くのSaaSは本当に使いやすいのか、役立っているのか、今後も継続して利用する価値があるかどうか検討なされていません。一旦契約したら上記のような検証をせず、そのまま使い続けてしまうチームや企業がほとんどです。
「Sastrify」は中小企業がSaaSを管理するのを支援するスタートアップです。今まで購入したSaaSを確認し、十分に活用されていないものを省いてどれだけ節約できるかを示します。また頻繁に活用状況を確認することによって適正価格を計算し、単価の引き下げやユーザープランの見直しを行います。これにより顧客が基本SaaSコストの約20〜30%を節約できているそうです。
「Sastrify」は今年初めにローンチされたにも関わらずすでに黒転しており今後の成長が期待されています。「Sastrify」を使った顧客が平均して6.5倍もの投資収益を上げているといいます。今後米国を拠点としている「Vendr」や「Tropic」などの競合と比べ、どのようにして優位性を勝ち取っていくのか必見です!
記事リンク:https://techcrunch.com/2021/08/27/sastrify-snags-7m-to-help-smes-manage-saas-buying/
今週も読んでくださりありがとうございます🙇♂️
以上が2021年8月第4週に調達している世界の注目事例5選でした!
Gazelle Capitalは今回ご紹介したような既存産業に対するソリューションとしてSaaSを提供しているスタートアップに多く投資をしております。
この事業領域で起業を検討中の方や、このような領域で起業されている方はぜひGazelle Capitalの 問い合わせフォーム または 近藤のTwitter にてDMでご連絡くさだいませ!
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