華佗よりムチャだ!― 初めて「バリウム検査」を受けて
「バリウム飲んだ」というフレーズ。自分より年齢が上の身内から、聞いたことがありました。
でも、聞くとやるとでは大違い!
こんな突拍子もないことが、普通に行われていることに驚愕しました。
というのも、今まで受けていた自治体の健康診断では、「バリウムを飲む」ことになる胃がんの検診は希望制で、やったことがなかったのです。(それもよくないことでしょうが ^^; )
ところが、新しい職場の健康診断では、40 歳以上の健診の「必須項目」に胃がん検診が!
⋯⋯ えっ !?
ということは、これ、毎年やるのっ !?!?!?
こちらのサイト ↓ を拝見しますと、「年 1 回の受診を推奨」と、さらりと書いてあります ^^;
うーん ⋯⋯。
まあ、イヤなことは、あまり考えないでおこう。
「バリウム検査ってこんなでした」という体験談
すでに「バリウムを飲んだ」ことのある方なら、何をいまさらというところでしょう。
しかし、初めての体験としては、全く事前の知識も無しに受けると、「とんでもなく意味不明」と感じる検査でしたので、概略を書き記しておこうと思います。(実際、これは一体何をやっているんだ !? と、検査を受けながら調べてみたくなった、というのもあります。)
🏥 🏥 バリウム検査の概要 🏥 🏥
0.前日( 10 時間前)より食事禁止。飲み物は飲める。
当日朝からは、水・白湯以外摂取禁止。3 時間前からは一切の飲食禁止。
1.検査用の服に上下とも着替える
(私のところでは、中学生が着るようなジャージでした)
2.発泡剤を少量のバリウムで飲む
3.Мサイズのドリンクくらいの量がある、紙コップ入りバリウムを飲む
4.検査台に載り、指示に従って体を動かす
5.検査が終了し、検査台から降りると同時に、下剤を服用
6.下剤が効いて、バリウムが体外に排出されたら、検査完了
🏥 🏥 🏥 🏥 🏥
📌 こちらのサイト ↓ の説明も、図入りでわかりやすいです。
⋯⋯ と、まあこんな具合でして、10 時間の絶食の果ての、最初の食事が大量の「バリウム」というだけで、悲しい。(そのくらい空腹の状態だから、なんとか飲めるのかもしれないですが。)
🔵「発泡剤」が抜けるともう一度飲むハメになるので、ゲップは厳禁
大量のバリウムの前に飲む「発泡剤」ですが、それを飲んで体内で二酸化炭素を発生させ、胃を膨らませて、より胃の中を見やすくするためのもの、だそうです。
これがまた!
飲んだとたんに、鼻から口から「プス、プス⋯⋯」と、自分が活火山にでもなったように、気体が噴出。
そのあと、大量のバリウムをなんとか飲んで、いざ検査台へ向かったら、ほどなくして検査台から降ろされ、
「ゲップが出ちゃったみたいですね」
と、「また」発泡剤を飲むハメに!
バリウムもですが、この発泡剤も何気に後味がしばらく残る感じですので、二度も飲むことにならないよう、「気体噴出」はガマン、です。
で、再び検査台に載りましたら、「体を回して」「左を向いて」「右を向いて」「息を止めて」と、矢継ぎ早に指示が飛ぶ飛ぶ。
載っかっている台も、上下、左右と動きますし、まあ、そんなところでいい大人が、中学生ジャージを着てのたうちまわっている図は、はたから見たら、珍妙極まりないですね。
🔵 怒涛の検査台アトラクションの後は、下剤によって帰宅を阻まれる
5 分弱の検査台アトラクションが終了して、ほうほうのていで検査台を降りると、看護師さんから「これを飲んでください」と、下剤を 2 錠渡される。
それも渡された時点ではなんだか全くわかっておらず、一緒に渡された紙を見て、それが
一生懸命飲んだ大量のバリウムを、今度は強制的に体外に出す
ために飲むものだ、とわかりました。
^^;
当初は、午前中で済むかなと思っていた健康診断ですが、検査そのものは午前中で終わったものの、そんな状態で帰路に就くのは甚だ不安。お腹が落ち着くまで街をブラブラし、結局一日がかりになりました。
なんというか「事実は小説より奇なり」といいますか、検査台アトラクションといい、バリウム強制排出といい、バリウムを飲む胃がん検診は、かなり「ぶっとんでいる」と思う次第です。
▶▶▶▶▶ 以下、蛇足ですが、もう少し気になったことを書きます。
🔵「発泡剤で二酸化炭素(炭酸ガス)が出る」の化学式
調べるのに少々手間取りましたが、こちらのサイト ↓ に化学式がありました。
発泡剤の主成分は、炭酸水素ナトリウムと酒石酸なるもので、これらは水に溶けやすいので、少量の水で化学反応を起こす、ということです。
それゆえ、粉末の発泡剤を、「水」に混ぜた少量のバリウムで飲む、ということになっていたわけです。
🔵 なんでバリウム?
「バリウム飲む」と言っているけど、正確には、「硫酸バリウム」だそうです。↓
「バリウムを飲む」胃がん検診は、胃部X線検査の名の通り、X線を使って体の内部を見るもの。そのままだと、X線が胃を通過してしまうので、「X線を透過しない」硫酸バリウムを飲んで、それを胃の壁にくっつけたり、胃の中で流したりすることで、胃の形状に異変がないかを見ることができるということです。(それで、検査台の上で「のたうちまわる」わけです。)
また、検査のために必要で「飲む」わけですが、「飲む」にあたって、「におい・味がない」こと、「胃液や腸液に溶解せず、消化管から吸収されない(=検査後は、すべて体外に排出できる)」ことも、硫酸バリウムが使われる理由ということです。
▶▶▶▶▶
ということで、検査を受ける前よりは、だいぶいろいろとわかりましたが。わかってもやっぱり「あれをまた来年やるのか ⋯⋯」と考えると、気が重いものには違いなかった ^^;
まあでも、こちらのサイト ↓ を拝見しますと、代替の「内視鏡検査」もどうなんだろうというところ。
「バリウムを飲む」方が費用が安く、デフォルトで健診項目に入っているんだから、それでいいか。なんにしても、今年は終わってよかった!
📖 ちょこっと古典 📖
のどがつまっているのに、にんにくの和え物は入るの? とか、和え物を「飲む」の? とか、つっこみどころ満載なのはおくとして。
「升」の単位は、現在の日本で使われているものだと、1.8 リットル。しかし、ここでの「一升」は 2 デシリットルほど、ということですので、「三升= 6 デシリットル」。それでも、ドリンクのLサイズでは足りず、その上のサイズ級になります。
そんなに大量の「にんにくの」和え物を飲んで、一匹の「蛇を吐き出して」、この人は助かったんだとか。
中国では蛇を食べるそうなので、本当に蛇が出てきたのか、何か悪いものを象徴して蛇なのかは定かではありません。
それはともかくも、紀元 200 年頃の名医の治療というのは、非常に荒唐無稽な感じで、まあ「伝説だよねえ」なんて思っていましたが。
現代の「バリウム検査」も、かなりクレイジーな域だよねえ⋯⋯ ^^;