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2023/12/25日 長男が絵に戻ってきてくれた

この一年、長男が絵を描くことはほとんどなかった。
理由は色々あるだろう。
私や妻も絵を描くから、それと比較して、上手くいっていないのが分かるから。もちろん、それが分かるぐらいまで知能が発達してきているわけで。
二男が、生まれたからかも知れない。
二男は、今年の3月に生まれた。当然、母親の注意はより幼い子に向くわけで。
その葛藤で心が一杯になって、絵どころではなくなってしまったのかも知れない。
保育園の先生たちも、厳しくなった。
いわゆる年少クラスに進級した。すると、突然先生たちが厳しくなったようだ。
3月から6月ぐらいまで、ずっと、保育園に行きたくないと言って、大暴れしていた。
とくに3月は辛かった。
妻は子供の出産で1ヶ月実家に帰っていた。私と長男はずっと二人きりだった。長男が喜ぶように美味しいご飯を作ったり、公園に遊びにいったりしたが、それで保育園の辛さが軽減されるわけではない。私には仕事もある。毎日、泣く思いで保育園に連れて行き、それから出勤していた。

子供は、絵以外の色々な遊びを見つけた。まず、ポケモンGOだ。母親が戻ってきて、保育園行きたくない病が徐々に治って、そうしたらゲームに熱中し始めた。お風呂でも、寝るときでも、車での移動でも、ずっとポケモンの話をしていた。
ストーリー性のあるアニメも理解できるようになってきた。食事中、咀嚼するのも忘れて画面に見入っていることもしばしばだった。

あと、これが一番大事なのかも知れないが、友達と遊ぶ面白さを知ったようだ。保育園で、親友ができて、休日にお祭りに行った。友達がいるから、なんとか我慢して保育園に行っているのかも知れない。
(私は保育園で友達なんていなかったから、この子に友達ができて、本当に良かったと思う)

だから、絵はもう描かないかな、と思っていた。絵より、ブロック遊びとか、機械工作の道に進むのだろうか、そんな話を妻としていた。

だが、突然、彼は絵に戻ってきた。


2023/12/25 に描いた海の絵

一番手前に、砂浜と岩礁がある。緑色の貝が転がっていて、中央部で焚き火をしている。灰色の煙が上がっている。その奥、水色に塗られた部分が海だ。緑の貝、黄色い魚、赤いタコ、灰色で三角形のイカ、そして黒とオレンジの「クマノミ」が棲息している。その両脇には、木が生えている。

思えば、長男は良く海に行っている。家の近所にも海があるし、母方の祖母の実家にも海がある。沖縄に旅行に行った時にも、海で遊んだ。
彼にとって、海は特別な存在なのだろう。

それにしても、ずっと、丸い果物の絵を描いていた長男が、一年間の空白を経て、突然風景画を描くとは…! やはり、人間の脳の発達には時期があって、時期がくれば、できなかったことができるようになるのかも知れない。
このことを知っていれば、子育てで大きな間違いをおかすことも減ると思う。

二男という新しい仲間が増えて、今年一年、辛いことも多かった。
だが、子供達のために命を懸けてもいいと思い出したのも、この一年のことだった。直接出産はしない男親にとって、子供と過ごした時間が長いほど、愛情も深くなるのだろう。
こんな感情は、今までに抱いたことはなかった。
子供が生まれるまで、唯名論とか実念論とか、実存主義とか構造主義とか、そんな抽象的なことに思考を巡らしてはいても、誰かを深く愛するなどということはなかった。なのに、若い頃愛した抽象的なことを土台にして、今、小さな仲間たちを守りたいと思っている。不思議なものだ。

長男が今後も絵を描くかどうかは分からない。二男がどういう子になるかも分からない。だが、私は彼らに何か強制することなく、でも、道を誤ることのないよう、育てて行きたいと思う。

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