傘で雪の塊をひたすら破壊する遊びについて
昨夜から、上越には寒波が押し寄せてきています。
暴風に交じる細かな雪。
風が強すぎて、雪が積もる間もなく飛ばされてしまうのが救いです。
積雪は思ったほど伸びず、私の自宅の周りでは2,3㎝ほど。
それでも今シーズン初めてのまとまった雪に、
浮足立ってしまうのは雪国に生きる人の性でしょうか。
大雪になるかもという不安と、今年も冬が来たかという
どこか誇らしげで胸躍る気持ち。
雪と人の関係は一言ではなかなか言い表せません。
さて、雪の日の思い出といえば、こどもの頃の雪遊び。
「雪遊び」と言えば、何を思い浮かべますか?
スキー、スノボ、雪合戦、かまくら作り…
どれも楽しいものばかり。
だけど、私が一番印象に残っているのは、
小学校の下校中、道端の雪の塊を傘で破壊していく遊びです。
除雪車が通った後の通学路には、除雪された雪の塊が転がっています。
それらをひとつずつ、友達と傘で念入りに粉々にする。ただそれだけ。
学校から自宅までの距離=1,500m。
通常30分ほどの道のりを、倍以上の時間をかけて帰ります。
「そんなことの何が楽しいの?」って思う人います?
わざわざ言うまでもなく、めちゃめちゃ楽しいんですよね。
人間は、いくつになっても自分の力を誇示することに
無上の喜びを感じるという、愚かな生物です。
固い雪をバラバラにすることは、自分の強さを見せつけることと同義。
つまらなかろうはずがございません。
まして、下校中のこどもが持っているのは傘。
冬の傘は、雨や雪から身を守るものではなく、主に「剣」として使う。
そんなことは、雪国のこどもなら誰だって知っている常識です。
こども達の手にあるのは100均の傘でなく、
エクスカリバーとか正宗とか真魔剛竜剣とか…ともかく伝説の剣なのです。
下校中の通学路は、いわば冒険の道行き。
行く手を阻む障害は、必殺技で全て叩き切る!
みんな思い思いの剣技で雪塊に挑んでいましたね。
傘を逆手に持って、アバンストラッシュの練習をした小学生、
日本に1億人位いるのではないでしょうか。
…今日雪が降って、そんな雪遊びのことを思い出しました。
時は流れ、周りに転がっているのは、
あの頃とは比べ物にならないくらい強固な障害ばかり。
昔、手にしていた傘があれば、一刀両断できるかも…
そんなことを考えながら、窓の外で北風が吹き荒ぶ小さな家の中、
「プレス機でいろんなものを押し潰す動画」を見続けています。