映画について記す③PERFECT DAYS
こんばんは。恐竜のフレンチです。
年明けの仕事一週間を終え
2025年初の週末をどうお過ごしでしょうか。
私は高校時代の友人に会いに
東海地方に行ってきました。
その友人とは映画の話や
人生について話すことが多く
今日も積もりに積もった話をしてきました。
プライベートで話しておきたいこともあったので
良い時間になりました。
特に派手なことをしたわけでもないですし
観光名所に行ったわけでもないですが
確かに豊かな時間が流れていたと思います。
さて、今回は映画について記します。
この作品は
ストーリーの進め方も素晴らしいですし
音楽も素敵なものばかり。
新しく好きになった曲も多かったです。
作品概要
『PERFECT DAYS』
公開日(日本):2023年12月22日
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬
配給:ビターズ・エンド
出演:役所広司、柄本時生ほか
主な挿入歌:『Feeling good』ニーナ・シモン
あらすじ
主人公は役所広司演じる平山という男。
東京にある公衆トイレを掃除する
清掃員 平山の日常を描く。
住んでいるのは東京スカイツリー近くの古いアパート。
毎朝暗いうちに畳の部屋で目を覚まし
歯磨きをし、植物に水をやり
身支度をして家を出る。
いつも家の前にある自販機で買うのは
ボスのカフェオレ。
都内のおしゃれなトイレを巡り
丁寧にトイレを掃除する。丁寧に。
時には便器の裏を鏡で写して磨く。
同僚はやる気のない若い男タカシ。
仕事の合間には公園の木をフィルムカメラで写真に収める。
仕事終わりには
近くの銭湯に行った後
行きつけの居酒屋で
焼酎水割りを飲む。
こういった日々の決まりきった行動を
繰り返しながら物語は進む。重ねていく。
完璧な日常
平山の日常を邪魔するというか、入り込んでくる人物がいます。
・タカシが恋しているガールズバーのアヤ
・アヤと遊ぶために金をせびり、車を貸せと言ってくるタカシ
・姪っ子のニコ
・妹のケイコ
・休みの日に行く飲み屋のママとその元夫
この人たちとの平山の関わり方が
とても気持ちいい。なんというかとても柔らかいんです。
いろんなエピソードはあるんですが
特に印象深かったのが
最後の飲み屋のママと元夫との関わりです。
もともと平山は
ママに少しだけひいきをしてもらえる立場で
他の客から冗談混じりの文句をもらうような
いわゆる美味しい位置にいました。
なんとなく、なんとなく
平山はママの過去がどうであれ
この距離感を心地よく感じていたと思われます。
淡い好意を抱いていたことでしょう。
個人的にしんどいことがあった次の日に
いつもの休みの日のルーティンを外れ
早めに飲み屋についた平山。
そこで見たのは
見知らぬ男(元夫)とママが
抱き合っている姿でした。
動揺してすぐにその場を離れ
角ハイ3本と
普段吸わないタバコを
コンビニで購入。
川沿いで角ハイをあおり
タバコを吸って咳込む平山。
そこに元夫が現れて
自分がママと結婚していたこと
自分が癌であることといった
身の上話を始めます。
ママに謝りたかった、いや違う、お礼を言いたかった、いやちがうただ会いたかっただけかも…みたいな話をします。
私が平山なら
そんな話自分にしてくるなよ、と
怒りを覚えると思います。
なんなら無視をしたくなります。
しかし平山は違いました。
きちんと元夫の話を受け止め
自分の角ハイを渡して乾杯までします。
カッコ良すぎる。
平山の行動は完璧なんです。
なんというか、優しすぎて
人間味が無いというか。
人と関わっている時は
完璧に優しい人なんです。
元夫がその流れでぽつりと
「影が重なると濃くなるそうですね」
とこぼします。
おそらく癌の影についての話を
するでもなく、ただこぼしたかった言葉。
その言葉を受けて
平山は「試してみますか」と
自分と元夫の影を重ねて
「濃くなっている!」と笑います。
元夫は認めませんが、
「何も変わらないなんて、そんな馬鹿な話はありません」と平山。
この言葉は、元夫ではなく
自分に言っているような
言葉でした。
なんというか、
自分のこの生活を
肯定したかったのでしょうか。
分かるかい、この気持ちが。
Feeling Good.
ラストシーンでは
ニーナ・シモンの「Feeling Good」をカセットテープで流しながら夜の東京をバンで走る平山の顔が流れ続けます。
その時の平山の表情が本当に絶妙です。
泣いているんですが
少し微笑んでもいる。
苦しみの表情にも見えるし
満足そうにも見える。
自分の人生はこれでいいのだ。
自分の望みは叶えられないが
人に優しく、寄り添う自分で
いられる。なんて完璧な人生
と言い聞かせているように感じられました。
誰にもこの気持ちはわかってもらえない
それでいいのだ。
と自分にバリアを張って生きている平山。
そこに流れる「Feeling Good」
最高でした。
黒人差別に対しての強いメッセージが込められたソング。
まだまだ語りたいことは
山ほどあるのですが
ひとまず視聴速報としての
noteはここまでと
させていただきます。
また続編を書きます。
また今度。
ではまた。
🦖🍽️