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日本型育児両立支援とジョブ型採用は両立不可では?

私は、出産後、8ケ月でフルタイム復帰、その後、保育園の延長保育とベビーシッターさん、実家(長期休暇等)の助けを借りながら、子供が小学2年生の夏休み前まで、外資系企業でフルタイム勤務を続けました。
子供は朝7:50に登園、私の迎えは毎日19:15, 週1でベビーシッターさんにお迎えをお願いし、週末は子供を連れて休日出勤、とまさに綱渡りな毎日でした。

この話をすると日本企業勤務の友人からは、
時短勤務制度とかないの?」
ときかれます。当時も制度としては、存在していたのかもしれませんが、私の頭にはそんな発想はありませんでした。なぜなら、私の採用はジョブ型だったからです。

勘違いしている人も多いと思いますが、欧米でいうダイバーシティーとは、「ワーママには、育児との両立を考慮し結果を出さずとも受け容れます」という考え方ではなく「ワーママでも、結果をだせるのであれば受け容れます」という考え方なのです。

企業のワーママ支援にしても、時短というよりは、ベビーシッター代を補助するという方向性でした。これも当然で、例えば、育休前に毎日17:00の定例作業の担当だったAさんが育休後、「時短を取得するので、その仕事はできません」といった場合、会社側にとってAさんは単なる不要な人材で、「子育てがおわったらまた貢献してくれるのだから」という名目のもとに、ワーママ用の仕事を会社がおぜん立てをすることはありません。

Aさんのジョブディスクリプションには、「17:00の定例日次作業を担当する」ということが明記されているので、Aさんは時短をとらずその業務を遂行するのが大前提で もし保育園のお迎えがまにあわないのであれば、Aさんにベビーシッター代を補助し、保育園のお迎えにはシッターさんにいってもらい、Aさんに業務を遂行してもらうのが筋なのです。

会社としては、ベビーシッター代を補助するだけでも、十分支援をしているので、それでもAさんが「子供と一緒に過ごしたい」という場合は、Aさんは退職を選択するしかありません。

Aさんが育児休業から復帰する際に、Aさんのジョブ・ディスクリプション上に明記された「17:00の定例作業」をなしくずしに同じ部署のBさん、Cさんが負担するということはないのです。

そして、Aさんも自分のキャリアを継続したい場合、シッターさんなり、家族なりの支援を利用して、自分で体制を整えるしかないのです。そのかわり、Aさんはワーママだからというだけで、人事考課で差別されることもありません。

メンバーシップ型の日本企業とジョブ型の欧米企業とは、このように考え方が違うのです。日本企業の場合、Aさんが担当していた「17:00の定例作業」を誰が担うかについては、会社側の責任になっているように思います。
理想をいえば、新たに人員を採用し、Aさんには時短でも対応可能な仕事を用意することになります。しかし、この方法では人件費が上がってしまうため、実際には増員しないまま、周囲の人が負担している例が多いのではないでしょうか?

日本企業も、最近はジョブ型採用を推進しているとききますが、ジョブ型採用社員に対し、育児両立支援をする際には、今までどおりのなんとなく同じ部署の人がカバーするという方式は通用しなくなってくることが明白です。

このあたりの議論を目にしたことがないのですが、政財界はどのように考えているのでしょうか?






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