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小説『雨の日』前編

「私、雨って大嫌いなんだぁ」

そう言いながら私の隣で傘を雑に開く姫菜

「叶芽は雨嫌いじゃないの??」
「ウチは雨好きだよ、理由は内緒」

姫菜はえ〜っと言う私達は雨の中を歩いて行く

「どして雨好きなの?どうして?」
「何でも良いじゃん笑」

何でも良いじゃんは私の口癖だから姫菜はほっぺを膨らませてムッとする

「そんな冷たくするなら叶芽の事嫌いになるよ!」
「…じゃあ嫌いになって良いよ」

嫌いになる…か、いつも同じ言葉を使って私と仲良くしてたいのか?姫菜は

「やだぁ!叶芽は私の友達だから嫌いになれないよ!」
「じゃあ、嫌いになるとか言わないで?」

姫菜はしょぼーんとして隣を歩く

「私、叶芽の事好きだから嫌いにならないで?お願いだよ〜」
「うん、分かった」

姫菜の言葉に対して私は二言で済ませた

「叶芽って何で黒色の傘なの?地味な色好きなの?」
「ウチは姫菜みたいにカラフルなピンク色の傘は好きじゃない」

ウチは姫菜とは違うから…姫菜みたいにグイグイ人に話しかけれる訳じゃない…姫菜みたいに人に対して質問攻め出来るわけじゃない

「えぇ〜、ピンク可愛いのに〜」
「ウチはね、好きじゃない」

口がうるさいな…

「試しに私の服着てみてよー!」
「やだ、姫菜さマスクしてよ」

姫菜は意味を分かっていないようでキョトンとしている

「え?何で?ねぇ?何で何で??風邪引いてないよ?」
「…………」

余計な事言ってしまった、余計にうるさくなった

「叶芽ってクーラーだよね〜」
「は?クーラー?クールって言いたいの?」

こいつは馬鹿なのか、それとも天然なのか?

「そうそう!それ!クール!」
「あ、信号が変わるね」

信号が赤になり止まる

「早く青にならないかなぁ」
「…赤って…気色悪い色だよね…」

ん?と顔をした姫菜を私はジッと見つめた

「叶芽?どうしたの?」
「…あ…な、何でもない…」

気持ちをグッと心に留めて落ち着かせる

「ねぇ…叶芽、大丈夫…?」
「大丈夫…」

早く青になってほしい…はぁ…

ずっと雨が降ってれば良いのに…

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