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短編小説 『復讐』

ねぇ、こんな噂知ってる?夜中に旧校舎の二年生の教室に行っておまじないをすると、死を招く幽霊が現れるんだって…

突然、優華がそんな事を言い出した…何でだろうと思った

「あ、玲子に噂の幽霊見に行ってもらおうよ」
「それな〜、賛成〜」

ユミが私に行かせようと唆して優華もそれにノリで賛成してた

「えー、何で私が…」
「玲子ってまさか幽霊信じてるタイプ笑?」

あーあ…めんどくさいなぁ

「怖くないよ」
「じゃあ、今日の夜中に行ってきてお願い!」

二人にお願いのポーズをされて渋々行く事になった

深夜二時旧校舎

「…やっぱ旧校舎だから…古いなぁ…」

二年生の教室

「えーっと…霊を呼び出すおまじない…」

ユミから貰ったメモを見る
①黒板に赤のチョークで挨拶をする
②一番後ろの床にチョークで逆さの星を書く
③最後は目を瞑ると現れやすいよ♡

逆さの星…

「逆五芒星か…ユミ知らなかったのかな」

そして目を瞑る…

〔お前が…私を呼んだのか…?〕

え…?もしかして本当に…?私は恐る恐る目を開ける

「えっ…ぁっ…」

目の前には黒い霧に覆われて目が真っ赤な幽霊

「ゆ…幽霊…だ…」
〔幽霊だと…?私は死の悪魔だ…〕

死の悪魔…じゃあユミたちが言ってた事ってこれの事?

〔…血が…足りない…〕
「あ…悪魔さんは血を飲むんですか…?」

恐る恐る聞く私に悪魔は答える

〔…私の呼び出し方を失敗したのか…だからこんな姿になったのか…〕

悪魔は言ったあと一つ足りないものは人間の血だと

〔…お前が血をくれるなら…望みを叶えてやろう…〕
「……の、望み…?」

望みを叶える死の悪魔…私は…

翌日

「玲子〜、昨日ちゃんと行った〜?」
「うん、行ったよ…でも幽霊なんて居なかったよ?」

優華が昨日の事を聞いてきた、悪魔を見たなんて信じて貰えるわけない

「何だ〜、ただの都市伝説か、つまんないの」
「ところでユミはまだ来てないの?」

いつもは優華と一緒に居るユミが今日は居ない

「あれ?ユミ、図書室に行くって言ってたけど…戻ってくるの遅いなぁ…」
「ユミが図書室って珍しいね」

私と優華が話していると廊下がザワザワしていた

「ん?何だろ、騒がしいね?」
「見てみる?」

私と優華が廊下を見てみると騒ついているのは図書室の方だった

「あ、あの!先生、何かあったんですか?」
「あぁ!鈴村と加原か…宮脇が図書室の本棚の下敷きになったんだ」

え…だから、こんなに騒ついてるのか…?

「ぇ…ゆ、ユミは大丈夫なんですか…?」
「分からない…宮脇が居た場所が分厚い本がある重たい本棚の場所なんだ」

重たい本棚が倒れる…どうしてその本棚が倒れたんだろう…?

「え、重たい本棚って普段ネジとかで固定されてた筈じゃ?それにあの本棚って複数人で持たないと持ち上がらないし」
「…そうなんだよ、その本棚がどうして倒れたのかまだ分かってないんだ」

私と優華はユミの無事を祈るしかなかった
だけど、結局ユミは搬送されたが全身骨折頭蓋骨骨折で亡くなった

あの本棚はネジが古くなっていたのが原因の事故として片付けられた

ユミが居なくなり優華はあまり喋らなくなった…教室で静かにじーっとしている優華に私は話しかける

「優華」
「ぁ…玲子…あ、あのさ…話聞いてくれる?」

優華は小さな声で話し始める

「ユミね…図書室に行く前に、私に耳鳴りがする頭痛がするって言ったの…その後に急に『あ、図書室行かないと…』って言ってそのまま図書室に行ったの…
「…そうなんだ、でも何で急に?」

優華とユミは特に仲良かったなぁ…私によく話しかけてきたし

「分からないよ…ユミってそんなに本好きじゃ無かったし…」
「そうなんだ」

下校時刻になり私達は帰宅した

「さて…」

夜になって優華から電話がかかってきた、こんな時間に電話なんて珍しいな

(あ、玲子…あの…えっと…)
「…どうしたの?そんなに慌てて」

電話越しの優華は慌てている感じだった

(…分からない…何で…私…)
「優華?おーい?」

急に優華の声が聞こえなくなったと同時に電話は切れた

何だったんだろう?あの後、優華から再度電話はかかって来なかった

「まぁいっか」

私は特に心配せずに寝た

翌日、私は昨日の事を考えながら学校へ行った

「あれ?優華来てないんだ、昨日の電話何だったんだろう?」

席に着くなり担任の先生が入ってきた

「みんな落ち着いて聞いてほしい、昨日の夜鈴村がマンションから転落死した」
「………」

みんながザワザワし始めるのを先生は止める

「両親から聞いた話なんだが鈴村が転落する前にガラスが割れる音を聞いていて部屋に入ったら窓ガラスが割れていて鈴村は部屋に居なかったらしい」
「先生、どう言う事ですか?優華が自分で窓ガラスを割って飛び降りたって事ですか?」

優華に窓ガラスを割れるほどの力は無いと思うけど…

「加原、鈴村に変わった事は無かったか?」
「…そういえば夜に優華から電話がかかって来たんですけどよく分からずに切れました」

先生はうーんと考える仕草をする

「すまない、みんな今日はこの話だけだから帰っていい」
「「はーい」」

夜になり私は旧校舎に向かった

二年生の教室

〔また…来たのか…〕
「こんばんは、死の悪魔さん」

私は普通に死の悪魔と話をしたくなった

〔…お前の望み…叶えただろう…?〕
「はい、私の望んだ結果になりました」

あの二人が死んだのは私がそう望んだから

そして私はこの死の悪魔の噂を二人から聞かされる前から知っていた

[回想]

私の望みは…あの二人を消す事…

「分かりました、血をあげます」
〔ほう…話が早くて助かる…ではこの円の中に血を滴らせ〕

私は果物ナイフで腕を切り血を垂らす

〔久しぶりの血…礼を言う若者よ…望みを言うのだ…〕
「…宮脇ユミ、鈴村優華を殺してください」

そしてあのユミの事故が起きた、最初はただの事故だと思ったけど…噂通りだと確信した、そして次に起きた優華の事故…何で私に電話してきたのかは知らないけど、二人は仲が良いからあの世でも楽しくしているだろう…

[現在]

〔…お前は私の噂を知っているのだろう…?〕
「はい、望みを叶えて貰う代わりに寿命を少し差し出すと言う約束ですね、分かってます」

そう、死の悪魔を呼び出して望みを叶えて貰う代償として寿命を差し出す

〔…お前ほど肝がすわっている奴は久しぶりに見たぞ…十年寿命を貰おう…〕
「はい」

死の悪魔は私の胸に手を合わせて寿命を吸い取る

〔…また叶えて欲しくなったら私を呼び出せ〕
「分かりました、ありがとうございました」

死の悪魔はすぅーっと目の前から消えた

はぁ…これで、私は自由だ…

                       END

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