アオダイショウと偉大なる母の思い出
残業を終え、帰路につく。
自宅の最寄駅から、朝の通勤時に辿った道を逆走しながらとぼとぼ歩くと、いつの間にか目の前に自宅がある。帰宅の間、自宅がある方向に焦点を絶えず合わせ続けているだけ、といった感じで特別何かに注目することは無いが、今日は違った。目の前を一匹のヘビが横切った。
ヘビは私の目の前を体をくねらせながらするすると進んでいく。陸上を移動するのに足を用いない生物の存在に今更ながら驚いた。ヘビはコンクリートの擁壁にぶち当たり、擁壁の水抜き穴にするすると――「するする」とい