ベトナムの経済成長率がヤバイ、その理由 ▶IMF発表最新GDPデータから日本と比べてみる
2001年から2024年の期間における日本とベトナムのGDP成長率の違いと、その背景について可能な限り詳細に分析します。長期的な投資先の検討にお使いください。
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2001年-2024年の成長率比較
実績値の差異
・日本:年平均約0.7%
・ベトナム:年平均約6.3%
約5.6ポイントの顕著な差が生じています。
差異が生じた主要因
経済発展段階の違い
日本:
成熟経済としての低成長期
高付加価値産業中心の産業構造
限界生産性の低下
イノベーションによる漸進的成長
ベトナム:
工業化・産業化の進展期
農業から製造業へのシフト
急速な生産性向上
海外からの技術移転効果
低コストの労働力を活用した輸出主導型成長
人口動態と労働力
日本:
生産年齢人口の継続的減少(年率約0.8%)
高齢化の進行
労働市場の硬直性
人件費の高騰
ベトナム:
若い人口構成(平均年齢約32歳)
人口ボーナス期の恩恵
豊富な労働力供給
相対的に低い人件費
教育水準の向上
投資環境と資本蓄積
日本:
設備投資の伸び悩み
財政制約による公共投資の抑制
既存インフラの維持管理中心
低金利環境下での投資効率の低下
ベトナム:
積極的な外国直接投資(FDI)の誘致
インフラ整備への大規模投資
工業団地の開発
都市化の進展による建設需要
中国からのサプライチェーン移転の受け皿
国際競争力と貿易
日本:
高付加価値製品の輸出
国際競争の激化
円高による輸出環境の変動
ベトナム:
輸出製造業の急成長
FTAネットワークの拡大
グローバルサプライチェーンへの組み込み
電機・電子産業の集積
繊維・アパレル産業の競争力
2024年-2029年の見通し
予測される成長率
・日本:年平均0.7%程度
・ベトナム:年平均5.9%程度
約5.2ポイントの差が継続する見込み
今後の成長要因とリスク
成長戦略と産業構造
【日本の強み】
高い技術力と品質管理
堅固な産業基盤
研究開発能力
安定した事業環境
【日本の課題】
生産性向上の必要性
デジタル化への対応
新産業創出の遅れ
人材確保の困難さ
【ベトナムの強み】
デジタル経済への積極的な投資
製造業の高度化
スタートアップ・エコシステムの発展
内需の拡大
【ベトナムの課題】
技術力の向上
人材育成の必要性
環境規制への対応
インフラ整備の遅れ
投資環境の展望
日本:
財政制約による投資抑制
既存設備の更新需要
グリーン投資の増加
デジタル投資の拡大
ベトナム:
FDI流入の継続
インフラ整備の加速
都市開発の進展
環境関連投資の増加
ハイテク産業への投資拡大
外部環境とリスク要因
日本:
地政学的リスクの増大
エネルギー価格の変動
国際競争力の維持
財政健全化の課題
ベトナム:
インフレリスク
為替レートの変動
対外債務の増加
環境問題への対応
地域間格差の拡大
政策対応の方向性
日本:
構造改革の推進
デジタル化の加速
グリーン成長戦略
労働市場改革
ベトナム:
産業高度化の推進
人材育成の強化
環境規制の整備
デジタル化の促進
インフラ整備の継続
国際競争力の展望
日本:
高付加価値分野での優位性維持
イノベーション力の強化
グローバル展開の最適化
ベトナム:
製造業の競争力強化
サービス産業の発展
デジタル経済の成長
輸出市場の多様化
このように、両国の成長率格差は今後も継続すると予測されますが、以下の要因により、その差は徐々に変化する可能性があります:
ベトナムの経済発展に伴う成長率の自然な低下
日本の構造改革・デジタル化の進展
グローバルな産業構造の変化
環境規制の強化による投資環境の変化
地政学的リスクの影響
インド編、アメリカ編、UAE編もご参照ください。