
【詩】新宿駅
見事な腸詰めウィンナー
ずらり並んでやって来た
フォークでちょいとつついたら
ぞろぞろ肉が溢れだす
ほらほらオイラの出番だぜ
やかまし笛の鳴る前に
あたらし肉の詰め替えだ
コートもスーツもダウンもフュゾーも
破れぬように願いまーす
財布も鞄も名刺もかつらも
落とさぬように願いまーす
ごった返しのホームには
骨のぶつかる音がする
朝に追われた能面が
裂けた歩幅で消えて行く
おいおいオイラを詰るなよ
駆け込むあんたが悪いのさ
聞こえるだろう笛の音が
人を操る笛の音が
生徒も教師も被告も検事も
足場確保に躍起でーす
ペットもナイフも火薬も麻薬も
持ち込まぬよう願いまーす
中吊り広告痴漢を挑発
多大なご注意願いまーす
頭痛に腹痛陣痛腰痛
多少のガマンを願いまーす
ジリジリジリジリ
ゴトゴトゴトゴト
自利自利自利自利
冱都冱都冱都冱都
20代前半の頃に書いた詩です。読み返してみると尖ってるなぁ、と (^^;
おそらく昭和60年頃、バブル景気が到来した年辺りでしょうか・・
発車ベルの音、駅員さんが鳴らす笛の音、いまではどちらも無くなってしまいましたが、ごった返す新宿駅の風景は、あの頃と変わらないままです。