韓国:月城原発、問題ないってよ

日本の処理水に関連して、日本では急浮上した感のある韓国月城原発の三重水素。どうなの?と思って、少し過去のニュースを振り返ってみました。
※原文はリンク先で確認を。

先にまとめると、
・月城原発つくるときに節約のため、汚染水処理装置を省略。
・事故が起きる度に「健康に害の無い三重水素」濃度をアピール。
・(未処理の)三重水素(放射線もモリモリ)に国民が気づきご立腹。
・しょうがなく除去装置を自国開発導入「韓国の技術絶賛」
・その後も事故起きて、月城原発1号機やめちゃおっか。
・後に残ったのは「三重水素=放射能」という嫌悪感。

韓国の原発運営がまねいた不信感が根底にあるのですね。

もう月城原発はやめるから、問題無し!
いや、そんなわけないよねって感想です。

월성원전 、ウォルソンウォンヂョン〜月城原発
삼중수소、サンジュンスゥソ 〜三重水素
ちなみにALPS処理水のトリチウム(三重水素)は1リットル当たり約77万ベクレルだそうです。参考)福島民友新聞「トリチウムとは」
これを再浄化処理して、1リットル当たり6万ベクレル以下で放出する予定でしたが更に海水で薄めて、WHOの飲料水基準1500ベクレル以下とするそうです。もちろん、これらに含まれる放射線は自然環境レベルです。

現地の月城原発関連のニュースより

例によって韓国毎日新聞をソースにしています。
建設前は地域住民の反対運動もあり、その安全性の議論が多かった様子。

1996.8.9 「(原発側によれば)三重水素が多少多く発生するがその量は法的許容値の0.1%以下」

稼働が始まると、韓国初の重水炉である月城原発1号機での放射性物質を含む三重水素の大量放出が問題視されます。

1996.11.13 「原発周辺の村から奇形の子牛と犬の出産で論議」
「月城1号機が国内の他の軽水炉原発に比べて放射性物質が1百倍以上高く放出」
「月城1号機が昨年大気と海に放出した放射性物質の総量は、すべて3万6千8百15キュリで、他の軽水炉原発1基当たり年間排出量3百24キュリより1百13倍多い」
「二重放射性物質である三重水素の場合月城1号機は昨年1万6千5百12キュリで、他の国内の原発より60倍」
「放出される放射性物質が軽水炉に比べて高いが、土壌、雨水、植物など自然界に比べて濃度がはるかに低い」

三重水素は危険でない、という学者の報告がしばらく続きます。

1996.11.14 「原子力安全技術院が過去92年から95年まで月城1号機から20㎞も離れた地域の三重水素を毎月測定した結果、雨水、水、植物、大気、土壌、牛乳など自然界の濃度よりもはるかに高い三重水素が検出」
「韓電当局は、現在の三重水素放出は発注であるカナダ現地原発でもあることであり、それほど心配することではない」
1996.11.14 「原発側は、原発周辺地域で三重水素などが他の軽水炉に比べて113倍の1万6千5百キュリが放出されたが、放出許容15万6千キュリの10分の1に過ぎず、人体に危害がほとんどない」
1997.2 【事故】試験稼動中の月城原発2号機で18tの重水漏れ
1997.3.1 「月城原発バクジョンウォン発電所長は、三重水素が議論になっているが、人体への影響は小さいため、心配することはない」
1997.8.13 「月城原発周辺試料から放射性物質である三重水素が微弱に検出されたが、基準値より非常に低いレベルでの環境への影響を与えないことが明らか」
1997.8.20 【事故】試験稼動中の月城3号機で13tの重水漏れ
1998.7.10 「月城原発周辺の海水のトリチウムも0.04%以内、非常に安全レベル」
1997.10.7 2月と8月の事故が国政監査で明らかに。ただし燃料棒装着前。

重水漏洩事故とその隠蔽が明らかになり原発への不信感が高まり、三重水素への不安もさらに高まっていきます。三重水素濃度が段々上がっていること、そしてその放射線濃度に触れられてないことが不信感ありありです。

1999.9.4 「(月城原発周辺の)三重水素は雨水で1ℓ当たり22万2千(最大許容濃度)の0.23%に過ぎない非常に低いレベル」
1999.10.6 【事故】4日、22人が三重水素に被曝、月城3号機重水漏洩

とうとう、稼働中の事故が起きてしまいます。
が被爆の原因は事故処理が規定通りでなかっためと説明、また周辺環境に影響がないことで幕をひきます。

1999.10.8 「重水漏れ後の事故処理作業者が規定どおり装備を着用していない放射線被曝量が多くなった」
2001.3.8 【事故】月城原発2号機の停止 三重水素漏洩

またもや事故です。
今回は被爆も無く前回と同じく周囲に影響は無いと幕をひきます。

2001.10.30 「(月城原発周辺の)三重水素は、雨水でℓ当たり296ベクレルが検出されたが、これは基準4万ベクレルの0.74%に相当されて人体には全く影響がない」
2002.7.19 【事故】17日、月城原発2号機、重水漏れ10人放射能被曝
「被曝許容値を超えていない上、この故障は軽微な事項」

三重水素の安全性を繰り返し周知してきましたが、事故が相次ぎます。
とはいえ防護策を講じてでも多少なりとも被爆した事実は決定的。
いよいよ三重水素放出対策が叫ばれ、やっと除去装置を導入することに。

ちなみに建設時に導入しなかったか理由は「韓電は重水炉除去設備の輸入を検討したが、カナダから原発1号機に匹敵する巨額を求められ(節約のために)2005年の完成を目指して自主開発することにした」から。導入までに健康や環境への被害を想定しなかったらしいです。
2003.1.15 「韓国水力原子力(株)は、月城原子力1、2、3、4号機の三重水素除去設備設置工事(152億2千万ウォン)の契約を大宇建設コンソーシアムと正式締結したと14日明らかにした。三重水素除去設備設置工事は、国内で初めて」
「外部に放出される三重水素を根本的に遮断する」
2004.5.26 【事故】25日、月城原発3号機で放射能漏れ。原子炉停止。
2004.6.19 【事故】18日、月城原発2号機で三重水素濃度が増加し停止。
2004.9.17 【事故】14日、月城原発2号機で重水漏れ、10人が被爆。
2004.10.8 国政監査で月城原発が地盤沈下により使用済燃料庫に微細な亀裂が報告された。排水槽流水や地下水から三重水素が検出。
なお、最近3年間の三重水素濃度は毎月前年度を更新している状況。
「原発側は三重水素の検出は降水量の変化による一時的な現象であり、構造物の状態も健全であると報告。」

相次ぐ事故、三重水素の言い訳が続けば不信感高まりますよね。
このほかにも今年に至るまでたくさんの汚染疑惑(資料が削除されたり逆に流出したり、天下り汚職など国民の信頼が失墜することが続きます。)

それらはまたの機会にゆずり、いったんこの記事を締め、追記のたびに更新することにします。

正直、アルプス処理水に韓国の人たちが敏感になるのも仕方ないほど原発は信用されてないのが良くわかりました。




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