【映画】ジャン・レノを知ったのは実はこの映画が初めてだった「おかしなおかしな訪問者」
ジャン・レノといえば一昔前までは日本でも有名で、ローランド・エメリッヒ版ゴジラなんかでは印象的なフランス人の兵士を演じていた。
まあ、人気が爆発したのは「レオン」で演じた殺し屋のおじさんだろう。
でも、俺がそんなジャン・レノさんを始めて知ったきっかけになったのは本作「おかしなおかしな訪問者」であったりする。
本作ではあのシリアスでクールなイメージ溢れるジャン・レノがびっくりするほど汚くお下劣なコメディに出てきているのだ。
あのジャン・レノがレオンで演じた役柄とは真逆のバカ殿を演じており、本来はこういう演技もできる役者だったんだなと敬意を感じてしまう。
本作は中世の騎士が間違って現代にやってきてしまった話だが、まあ騎士さんたちがヒジョーに汚い汚い。
土足のまま上がり込み、問答無用に暴力に走り、風呂は服を着たまま入り、おまけに臭く、露骨に人種差別をしてしまうという全くリアリズムにおいて作られているのだ。
いわゆる耽美派的な要素はまったくかけらもなく、ひたすらに汚く醜い差別的でいわゆる騎士のむき出しのリアルを描いている。
コメディ映画であるが、であるからこそこういった要素を億面泣くそのまま描いているところは好感がもてるだろう。
あらすじの内容は中世フランスで蛮勇を振るっていた貴族ゴッドフロワ伯爵が魔女の呪いにかかってしまい、謝って婚約者の父親を殺害してしまうところから始まる。
このゴッドフロワ伯爵、時代が時代だから仕方ないかもしれないが傲慢で下品で粗暴でとにかくどうしようもない騎士道のかけらもない横暴な性格をしていた。
従者のジャクイユに対しても人間扱いしておらず、パワハラも暴力もなんでもありのエゴイストであった。
とは言え、そんな彼でも婚約者のお父さんを殺してしまったことはショックでかなり凹み従者とともに、フランス一の魔術者に頼んでタイムトラベルをして父を殺した過去を清算しようとする。
ところがどっこい、魔術は大失敗し未来に飛んでしまったのだった。
舞台は1993年のフランス。
騎士も城もなくなった世界を見て驚愕する伯爵と従者。
「あれれ!?おかしいな!?」
すると伯爵は道路の真ん中に出てきて、車と遭遇する。
従者は指をさし悲鳴をあげる。
「伯爵様、魔物でございます!!」
中世からきたバカ二人は車を車と認識せず魔物と決め込んで斬りかかる。
車の中からは黒人が出てきて、「何すんだYO!!!」と抗議をあげる。
この描写は今じゃ差別につながるからダメだろうな・・・・。
すると主人公ゴッドフロワーは黒人を指さして「ヌビア人か!!くろんぼが何をしている!!!」と問答無用で切り捨てようと襲い掛かるが、黒人の運転手は何とか逃げだすことに成功をする。
そんなこんなで現代で暴れまわったバカ騎士と従者は警察に捕まってしまうのだった
バカ騎士はそんなこんなで現代に生きていたかつての貴族の子孫である大金持ちの女の元に引き取られるのであった。
フランス革命を何とか生き残っていた子孫はゴッドフロワを事故で生き別れした従兄と勘違いしているのであった。
ついでに従者もそっくりな親戚がいたので気にもとめないのであった。
ラテン語とフランス語がまざった伯爵たちの言葉にも「まあ、事故でボケてしまったのねー大変お気の毒」と気にしないのであった。
ずいぶんと世間知らずな連中である。
とりあえず武士は食わねど高楊枝、なんとか子孫の元でやりすごすバカ二人組であったが、道中で散々問題事を起こしつつも自分たちが来たのが未来であることにようやく気が付くのであった。
ゴッドフロワーは子孫たちに子供をみせてもらい、感激するが不気味なおっさんにドン引きの子供たちは泣き出すのであった。
そんなこんなで情報をかき集めた二人はかつての魔法使いの子孫が生きていたことを知る。
魔法使いの子孫は彼らが来るのをわかっており、過去に戻る薬を事前に作ってくれていた。
途中で従者は自分の子孫から騎士の時代は終わり自分たち平民の時代が来たのだと教わると騎士を非難してその場を去ってしまったり、彼女ができたり現代社会に適応をし始めてしまう。
だがどんなバカ騎士でもわかっていたのであった。
過去の存在である自分たちがこのまま未来に居座ってしまえば、子孫たちに未来はない…。
子孫も、その子供たちのためにも…自分が立ち上がり中世に戻らなくてはいけないのだ。
愛する婚約者のため、子孫を守るためゴッドフロワーは涙をしながら立ち上がる。
「子孫よ、我を忘れるな。今より我は汝らを救うために旅に出る!」
従者を無理矢理引き連れて、ゴッドフロワーは薬を飲んで過去の時代に戻ってしまう・・・・・。
なんとか無事過去の時代に戻り、婚約者の父の死を防ぐことに成功したゴッドフロワー・・・・。
これで安心したかに見えたが…実は従者は本人ではなく子孫でした!!
というオチがついて本作は終わる。
以上が本作のあらすじである。
こんなバカ殿の異世界転生物であるが、当時のフランスでは大ヒットをして続編が二つ作られて、おまけにジャン・レノをスターダムに押し上げた作品でもあったりする。
おまけにハリウッドでリメイクされ、そのリメイク作にもジャン・レノと従者を演じたクリスチャン・クラビエが出演しているのである。
しかし、ハリウッド版は普通のラブコメになっておりオリジナル特有の毒気は薄れてしまい味気ない映画になっていたのであった。
確かに本作に出てくるゴッドフロワーはバカであるが、それでも彼なりに仁義があり従者のジャクイユに対しても暴力を振るいつつもなんだかんだで気にかけており憎めないキャラをしている。
さらに今や絶版になったが、吹き替えはなんとあのダチョウ倶楽部がやっており、バカ従者役を上島竜兵がしているが中々原典に負けないバカ演技を披露していた。
当然今や鉄板ギャグの「冗談じゃないよぉ~~~!」も披露されており中々ダチョウ倶楽部ファンは必見の物である。
そんな本作だが、当然DVDにはなっているが中々手軽にみることができない幻の品になっている。