サム・ライミ最高傑作「ダークマン」をレビュー
さあ、久々に過去作映画をレビューしていこう。
今回紹介するのは「ダークマン」だ。
なんと本作ができて30年ほどたっているのだからまあ驚きだ。
時の流れは速いもんだ。
現在では「96時間」シリーズでアクションスターとして有名になったリーアム・ニーソンであるが、なんと90年代にもうすでにアクションを経験しているのだ。
本作の主人公は彼扮する青年科学者ペイトンである。
人工皮膚について研究しているペイトンは恋人や忠実な助手などに恵まれ幸せな生活を送っていた。
仕事も順調で、人生上がり調子であった。
(ここの描写は本当に幸せそうで、あとから来てしまう悲劇が余計に悲しくみえてしまうのである。)
ところが、ある日突然ギャングの襲撃を受けて激しい拷問を受け助手は惨殺されあげく自分も爆殺されてしまう。
↑悲惨すぎる↑
恋人も偶然その現場に居合わせてしまいショックのあまり鬱病のようになってしまう。
流石に死んだだろう…。
とそんな時だった。
ある日、突然黒焦げになった男性が病院に担ぎ込まれてきた。
そう、ほかならぬペイトンだった。
ペイトンはその病院で行われた秘密の実験の被験者となり、苦痛を感じず怪力と激しい生命力を持った超人として生まれ変わったのだった。
気がついたペイトンは病院から脱走。
廃墟となっていた工場にたどり着いていた。
二枚目だった容貌も崩れ怪物のようになっていた。
彼はうわごとのようにつぶやく。
「これが俺への仕打ちか…。」
だが、彼は諦めることはなかった。
「俺は科学者だ、研究を再開しよう…。」
やがて、彼は人工皮膚の生成に成功した。
そして…助手を殺し顔を焼いたギャングへの復讐を始めたのだった。
その時、彼は人間ではなくなった。ダークマンになったのだ…。
というのが本作のあらすじである。
まあ、本作の魅力はヒーローだけではない。
出てくる悪役が本当に嫌らしい顔をした観ているだけで腹が立ってくるような連中ばかりなのだ。
まずはギャングのボスであるデュラン。
演じるのはラリー・ドレイク。
「ドクターギグルス」の殺人歯科医や「テイルズフロムザクリプト」で演じた殺人鬼サンタ役など殺人鬼役で有名な俳優である。
冷酷な性格をしており、無表情で相手の指を切り落としコレクションにするサイコパスである。
その反面、気に入った部下をかわいがるところがあり部下は彼に忠実である。
そして、本作の黒幕である不動産王。
ギャングを操り、都市開発計画を裏で操っていた。
ペイントの恋人にNTRをかますというまさかの鬼畜行為を行うが、最終的にはその恋人すらも人質として利用する作中一番のサイコである。
ひ弱なホワイトカラーと思いきや、幼いころから建設現場で育っており常人離れした反射神経でペイトンを迎え撃つ策士だ。
演じるはスコットランド出身のコリン・フリールズであるが、恐らくこれしか代表作はなく不憫な俳優である。
このように魅力的な悪役を魅力的なヒーローが追い詰める、そのはらはら感が何とも言えないエンターテイメントとして成功している。
ダニー・エルフマンのBGMもたまらない。
さて、本作であるがサム・ライミ自身のオリジナル脚本である。
ラストのセリフもカッコいい。
〆に出てくるブルース・キャンベルもまたハンサムなんだなあ!!
「俺はどこにでもいてどこにもいない、誰かのようで誰でもない…ダークマン、そう呼んでくれ。」
元々がホラー畑出身であるため誤解されがちだが、ライミ自身は幼いころからコミックとともに成長したザコミックオタクなのだ。
トレンチコートを羽織った仮面のヒーローという設定はDCコミックスのザ・クエッションに似ている。
顔がただれている設定はバットマンのトゥーフェイスを彷彿とさせる。
そんなライミは本作のヒーローを無敵のスーパーヒーローとして描いていない、肝心の人工皮膚は90分ほどしか持たない。
おまけに超人にはなったが情緒不安定ですぐにキレてしまうという精神的欠陥をもっている。
この設定の細かさはダークマンをより深く暗く悲しい存在として引き立たせている。
ヒーローはやはり、異形でなくてはいけないのだ。
スーパーマンは超人であるが、所詮は異星人。
バットマンはただのコスプレをした変人。
アベンジャーズもよく考えればただの超人集団。
彼らの存在は常に孤独であるからこそそのクールさが際立っている。
このあたりはライミがコミックナードであるからこそうまく作られているのだろう。
つくづく才能がある才人だ。
何気に本作がサム・ライミにとっても、リーアム・ニーソンにとってもベストだったのではないかと思えてくる。
というわけで本作は95点、文句なしの傑作だ。
ぜひ、アマゾンなどで配信されたら購入していただきたい。オススメだよ