【悪役】帰ってきた素晴らしき悪役列伝 第12回 「大蜘蛛怪獣クモンガ」
映画「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」に登場。
南太平洋ゾルゲル島に生息していた超巨大クモであり、放射能で巨大化したといわけではなく最初からこのサイズであったナチュラルボーンのバケモノ。(昭和ゴジラも厳密には元々海底にいたのでミュータントであるかは定かではない。)
他にはこの島には牛ほどの大きさのあるカマキリか放射能でより凶悪・巨大化したカマキラスがいたが、これを捕食するほどの実力を有している。
口から液体状の糸を吐き、相手を無力化させてから毒針で一突きにするという独自のテクニカルなファイトが印象的な技巧派の怪獣である。
「ゴジラの息子」ではカマキラスとミニラに襲いかかり、カマキラスを毒針で死滅させることに成功したが、ミニラまで手をかけようとしたことでとうとうゴジラと戦うことになってしまう。
液状糸を吹きかけゴジラの視界を奪い有利に攻撃していたが、熱線攻撃を食らい逆転を許してしまう。
(モスラでの敗戦の時に糸はトラウマになっているのかも、大丈夫か?怪獣王・・・)
ゴジラの巨体と熱線に苦戦を強いられるが、死んだふりをして油断させてから近寄ってきたゴジラになんと毒針での目潰し攻撃をしてからは優位に立つ。
ただの技巧派ではなく目潰し・だまし討ちもできるなど、知能戦にも優れており…まさに怪獣界のリック・フレアーでもある。
体重はゴジラより小柄の8千トンであるが、片目を潰されて手負い状態とはいえ自分より巨大なゴジラにもとびかかり、マウントを取るなどやり方次第では苦戦させることができる中々の曲者である。
しかし、ミニラが勇気を振り絞り戦いに参戦してからは不利に立ち最終的には親子のダブル熱線でKOしてしまい命が尽きてしまうのであった。
長々と書いたが、自分は様々なライバル怪獣がいたゴジラシリーズの中でもこいつが屈指でお気に入りだったりする。
やはりただの力押し・タッグを組んで勝負ではなく、相手を油断させてだまし討ちにして無力化させるという戦い方には知能を感じさせるからだ。
強すぎないが、かといって雑魚でもない。むしろやや強い。
このバランス感覚が何とも楽しい心地よい悪役怪獣である。
また、戦い方が武器が少ない分いかにして使うかを巧みに考えているという技巧派レスラーのそれに近いというのも好印象だ。
武器を少なく、使い方を考える…引き算のプロレスができる、こういう怪獣は中々いないだろう。
初代クモンガはこうやって死んでしまったが、遠い未来を描いた昭和シリーズの集大成的な作品である「怪獣総進撃」でもクモンガは出演している。
そこでは宇宙からやってきたキングギドラを相手に糸を吹きかけ牽制していたり、最終的に地球怪獣総がかりでキングギドラをリンチにして倒した後は勝利の糸を吹きかけて勝利を祝うという役回りであった。
同作に出てきていたカマキラスに至っては出演すらしていないのに本作ではかなり活躍するシーンがあったり、ゴジラを苦戦させた強敵として破格の好待遇であるといっていいだろう。
その後、平成になって以降はリメイクされず不遇の嵐が起きていたが・・・2004年に作られた「ゴジラファイナルウォーズ」では念願の再登板になる。
しかし、本作のゴジラは史上最強の個体であったことから毒針攻撃を披露することもなくあえなくジャイアントスイングされて退場という憂き目を食らった。
これはこの世代のクモンガが弱かったのではなく相手が悪すぎた…というのが理由だろう。
ただし死んでいるかどうかは定かではないということなので、もしかしたらどこかで生きている可能性がある。
陰湿性:B(だまし討ちなど卑怯なファイトスタイルをするが、それ以上悪いことはしていない。)
頭脳:A(策略を練るというほどではないが、自分より格上の相手をいかに封じるかなどを瞬間で思いつくような知性がある。)
強さ:A(毒針・液状糸など様々なテクニックをもっており、その使い方もうまいまさに技巧派レスラーである)
主張:不明(所詮怪獣であるので、政治主張があるかはわからない)
人望:不明(部下がいた様子もない)
権力:不明(ゾルゲル島の実力者であったが、彼が権力を持っていたという描写はない)