学習する組織レビュー③〜共有ビジョン〜

共有ビジョンとは

 ビジョンという言葉自体も聞きなれない言葉だけどそれを共有するとはどういうことか?まずビジョンの意味だけど、「目標」が一番近いかもしれない。「目的」よりも具体的でめざす姿がはっきりしているものということだと思う。そして共有するとは当然組織の人達がそのビジョンを一緒に描くということだ。

共有ビジョンをどう作る?

 では共有ビジョンを作ろうとなったときの注意点として、上から与えたものは決して共有ビジョンにはならないということだ。この本では繰り返し「上から与える」ことの不毛さを説いている。共有ビジョンも同じで、組織のトップがビジョンを作ってそれを周知したとしても「私たちのビジョン」には決してならないという。これはイメージ的にもよくわかる。押しつけの学校目標とか学級目標が陳腐化するのはよくある現象だ。
 共有ビジョンを作るうえで大事なのがリーダーが自分の個人ビジョンを提示することだと言っている。自己マスタリーのとこでも出た、模範たれ、に似ているかもしれない。まずは自分のビジョンを見せて、ついてきてくれるか?をといかけないといけない。つまりリーダーのビジョンも組織の一人としておんなじテーブルにのせるということだ。
 そしてそのビジョンが機能し続けるには探求のプロセスが必要になる。たとえばチームで共有ビジョンができ、それについて常に意見交換をした結果、より多様なビジョンが生まれたとする。するとこれらのビジョンが対立するようになってしまう。ここで互いが主張だけを続けると分裂して終わってしまう。だからチームとして探求を行い、よりチームとして望ましい未来を創造していかないといけない。
 また、ビジョンを実現しようとした結果、目の前の困難にうちひしがれて熱が冷めてしまうこともある。これに対抗するにはより短期的に集中して取り組み成果を上げるしかない。
 とくに熱が冷めてしまう、という部分は参考になるなぁと思った。ビジョンの話って長期的な話になりがちなのでこういう瞬間は絶対来ると思う。これもチームに引きつけて考えると、優勝を目標にしてたとしても連敗続きだったらもう冷めてしまう。そんなとき現実の問題をより短期的に解決できる道筋が見つかればやる気を取り戻せるかもしれない。

チームにどう応用する?

 ここからは個人的な話になるけど、自分が今指導しているチームでいうならやはり目標設定とたえず目標に対しての振り返りをすることだと思う。目標を設定してもそのまま放置というのがよくあることだ。けど一人一人がちゃんと目標を共有していれば個人の目標に自然とつながるはずだ。たとえばリーグ戦で3位以内に入るという目標なら、個人としては右足のクロスの精度をもっとあげなきゃいけない、とか、ドリブルの成功回数をもっと増やさなきゃいけないとか。
 ただチームの目標が自分のものになっていないとそれは意味がない。だからチームの目標についても絶え間ない振り返りが必要だし、それをしていかないといけない。

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