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30を過ぎて初めて大学に行った今だから思う、18の時の決断
まずはこちらの記事をご覧ください。
9浪はまいさんという、高校卒業から延べ9年をかけた努力と苦労の末、厳しい環境下から第一志望の大学への進学を果たされた方のインタビューです。
非常に考えさせられる内容でした。
私の田舎は、はまいさんがインタビューでお話しされているほど苛烈な環境ではありませんでしたが、大学進学に対する意識という点では似たような状況でした。
一例を挙げると、20代の頃に私が勤めていた塾では、高校受験を終えた中学生の大半はそのまま塾も勉強もやめてしまっていました。
ほとんどの親が「高校さえいいところに入ってくれれば後はどうでもいい」という考えだったからです。
都会だと「いい大学さえ入ってくれれば」という感じですが、田舎だと親が大学に行っていないケースが多く、「大学に行って何の意味があるの?」という空気があるのは否めません。
仮に大学で高度な知識や技術を身に着けても、それを存分に生かせる環境が乏しいという現実があるので、大卒の人が田舎に帰ってバリバリ働くということもそんなに多くはありませんでした。
そのため、大学に行く意味や価値を自分の言葉や背中で伝える大人があまりいないから、子供も大学進学・卒業後の自分のイメージが湧きにくいというスパイラルになるのです。
ちなみに私の父も高卒、母は中卒でした。
誤解のないように断っておきますが、中卒や高卒がダメで、大卒が偉いというのではありません。
ただ、子供のときに周りの大人から大学に行く意味や将来どのような道が拓けるかというのを教えてもらう機会があり、それを踏まえて大学進学を決断できるかどうかというのは、まだ世間を知らない中・高校生にとっては大きな違いだと思います。
色んな条件と情報を吟味したうえで大学に行かないという選択をするのであれば、それはもちろん尊重されるべきですし、他人がどうこう言う問題ではないでしょう。
ただ、ほとんど何も知らないまま周囲の環境に流されて、「それが普通だから」という理由で進学の選択肢を捨てるというのは、非常にもったいない。
33歳にして初めて大学に行ってみて、改めてそう感じます。
私の場合は、高2の時に父が他界して経済的に困窮し、勉強したいことも無かったので、当時大学に行くという選択肢は捨てました。
私の両親だけでなく、親戚一同にも大学に行った人は一人もいなかったのでモデルケースもなく、私にとって大学は「目的もなしに行けば時間も金も無駄にするだけのところ」というイメージしかなかったからです。
しかし、あの時私に大学に行く意味を説いてくれる大人が周りにいれば、きっと違う人生になっていたのだろうと思います。
学費免除のシステムや奨学金制度など、探せばいくらでも金銭面の問題を回避できる可能性はあったでしょうし、ただ何となく大学を卒業するだけでも何かしら得るものはあり、将来の選択肢は少なからず広がっていたでしょうから。
私は高校受験の時からずっと人生の選択は自分でしてきたので、もちろん今までの歩みに対してまったく後悔はありませんし、むしろ人と違う経験がたくさん出来て幸せに感じています。
ただ、私に後悔がないのは色んな条件が重なり、運に恵まれていただけなのではという思いもあります。
やはり多くの子供たちにとって、高校を卒業するタイミングで進路の選択肢が多いに越したことはありませんし、その先の可能性を教えてくれる存在が身近にいるかどうかというのは大きな差ではないでしょうか。
今は手軽に色んな情報を得られる時代になりましたが、やはり周囲の環境や空気というのは子供にとって非常に影響の大きいものだと言えます。
どんな結果になっても自分で決断した選択であれば受け入れられる余地があると思いますが、冒頭のインタビューを読んで、どうか一人でも多くの子供が自分の人生に後悔のないよう歩んでほしいと、老婆心ながら感じるのです。