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英語で「夜に」は "at night" ではなく "in the night" という場合もある

英語で一日の時間帯について述べる表現は、

朝に: in the morning
昼に: in the afternoon
夕に: in the evening
夜に: at night 

と学校では習います。夜の場合だけ前置詞が at で、定冠詞の the もありません。

「なぜ夜だけ言い方が違うのか」という疑問に答えるための前提として、まず in と at の違いから確認しておくと、両者は時間的な広がりの差に応じて以下のように使い分けがなされます。(※便宜上 on も含めて記載します)

at:時刻、特定のタイミング(at seven, at noon, at that time など)   
on:日付、曜日(on 9th November, on Mondays, on that day など)
in:週、月、季節、年(in April, in winter, in 2022 など)

このように at → on → in の順に、担当する時間の幅が広がっているのが分かります。

次に the についてですが、数ある役割の一つに「範囲を限定する」というものがあります。以下の使用例を見てください。

山脈: the Alps(アルプス山脈), the Rocky Mountains(ロッキー山脈)
川、海:the Nile River(ナイル川), the Pacific Ocean(太平洋)
半島、砂漠: the Malay Peninsula(マレー半島),  the Sahara Desert(サハラ砂漠)

それぞれ国境のように「ここまでが○○で、ここからが××」と明確に区分できない、どれも境界線があいまいなものです。そこに the を用いて、意識上で範囲を限定をしているのですね。ちなみに広場や公園といった、境界がはっきりした固有名詞には the をつけないのが普通です。

以上のことを踏まえて、WEB上で公開されている福岡大学・英語学教授の白谷敦彦氏が書かれた、興味深い論文を見てみましょう。以下のリンクです。

氏は「夜に」という場合、時間帯や出来事などによって at night と in the night それぞれが区別して用いられるということを、コーパスの用例から分析して述べられています。簡単にまとめると、

at night:概ね20~23時台に、寝る・帰る・戸締りをするなどの、能動的な行為をした時に用いる
in the night:真夜中(常識的に人が寝ている時間)に、目を覚ます・強盗に遭うなどの、非能動的な行為や被害を表現する際に用いる

と分類されるようです。

at night の方は行為が主体的であるため、その時間が点として意識されるのに対し、in the night は出来事の明確な時間が意識されず、寝ている間という境界があいまいで幅のある時間であるため in と the が用いられるということなんですね。

そこまで細かい使い分けのある表現とは知らなかったので、非常に面白い内容でした。また、論文の最後では at morning や at evening の使用例についても述べられています。

英語に限ったことではありませんが、やはり言語の世界は奥が深いですね。大学受験レベルの英語なんてまだまだ入口のところです。

今後も英語に関する面白い話を折に触れてご紹介したいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。





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