【対談】「糸魚川の水産業の魅力ーー人よし、水よし、魚よし。」磯谷光一組合長(上越漁業協同組合)×保坂さとる糸魚川市議
人よしーー誰もよそ者扱いしないから、人材が集まる
保坂さとる市議(以下、保坂):私は1996年(平成8年)にから5年に渡って、カニ漁船の乗り子(船員)として、こちらで働かせてもらいました。
当時、若い世代の船員も多かったですね。思いっきり働き、語り、一緒に働いた仲間たちは家族のような絆を感じています。
船乗りの仕事はオン・オフがはっきりしていて、一度、沖にでれば戻るまで四六時中、働き詰めですが、地上に戻れば1週間休みだったりして。
休日はサーフィンに汗を流す同僚も多くいましたね。
磯谷組合長(以下、磯谷):若い人に活気があって、元気な雰囲気は、今も変わらないですよ。特にカニ船は、概ね40代と若い漁師が多いんです。半分は地元の人ですが、もう半分はいろんな地域から、糸魚川に集まってきています。
糸魚川の漁師は本当に人が良いんです。外から来た人でも「よそ者」扱いしない。そういうウエルカムな雰囲気があるから、辞める人も少ないばかりか、口コミで糸魚川を目指して人材が集まってくるんです。
保坂:私の時もまったくそうでした。私自身も山の育ちでしたが、受け入れてくれ、一緒に語り合えた日々は忘れられません。皆で輪になって、一緒に道具を作ったり、補修したり、現場で何でも教わりながら、なんでも言い合える雰囲気にあふれていましたね。
磯谷:「皆で合議して、一緒に進めていこう」という雰囲気は大事にしてますね。
そして一度決めたことは愚痴も言わず、全員で「よし、やろう」と決め、役割分担して、スッと進める強さがあります。
保坂:磯谷さんはじめ、先輩方の人柄ですよね。若い人も挑戦しやすい雰囲気づくりは素晴らしいです。
磯谷:「失敗してもいいよ!それも後々、いい酒のツマミ話になるから」って笑い飛ばす朗らかさが良さだよね。
保坂さんが務めていた時も、まさに若手で提案してくれ、地域の小学校との「お魚教室」を始めました。地域で捕れる魚を触ったり、海洋高校の実習船で、実際に海での沖網見学をしたり。
この取り組みは30年ほどたった今も、変わらず続いていて、親子2代で参加したという人もいて、とても豊かな体験学習となっています。
水よし。魚よし。ーー糸魚川の魚は旨味が違う。
磯谷:糸魚川は世界ジオパークや、ひすいで有名になりました。
その一方で、糸魚川の自然は山や地質的な魅力だけでなく、海にも大きな恵みをもたらしてくれています。
保坂:糸魚川の水産業は、漁師一人当たりの生産高が県内トップクラスを誇ります。特に能生地域は、新潟県をリードする水産の重要地域です。
磯谷:そうなんです。糸魚川の魚は「旨味」が違う。特に糸魚川のメギスは、全国でもトップクラスの水揚げ量を誇ります。山の雪解け水の豊富なミネラルに育まれ、脂ののった魚は栄養価も高く、骨まで柔らかいと喜ばれています。地理的な恵みに起因した「他にはない豊かさ」があります。
糸魚川の「海の魅力」を、もっと多くの人に知ってもらいたいと率直に感じています。
保坂:大事なことです。能生地域のすごいところは、豊かな地域資源を活用して、新たな付加価値を生み出す取り組み「6次産業化」を何年も前から行ってきたことです。食品加工品の販路を日本中、世界にも広げている製品も生み出しています。
糸魚川の魅力である、豊かな自然と「人のよさ・あたたかさ」が、ちゃんと伝わって、糸魚川のファンが増えるような取り組みをしていきたいですね。
地域の魅力をもっと!ーー世界に誇れる糸魚川を。
磯谷:本当にそう思います。この能生地域には、漁協があり、マリンドリームがあり、海洋高校もある。観光面でもキャンプなど自然体験や、サーフィンなどマリンスポーツにも適しています。弁天岩付近なんかは、海に潜ると絶景が広がります。
とっても素敵な場所です。
保坂:糸魚川市としても、漁港やマリンドーム能生をはじめとした地域一帯での整備活用の推進ビジョンを策定しています。私自身も議会を通じて、多くの人の声を届けてきました。多くの人が地域の魅力を感じ、また県内外からの交流人口・関係人口の増加が見込めるような、希望ある未来を開いていきたいと強く決意しています。
磯谷:保坂さんには、ぜひ地域振興、水産振興をしっかり推進する要になってもらいたい。「新潟の中の糸魚川」ではなくて「日本の真ん中・糸魚川」そして「世界に誇れる糸魚川」を開いてほしいと念願しています。これからも頼みますね!