大人の想像も広げる絵本『りんごかもしれない』
絵本って大人になると、というか小学校にあがるころには読まなくなる人がほとんどだと思います。一部、大人になっても趣味として絵本を買って読んでいる人を見かけますが、多くの人はそもそも「自分が読むもの」という考えがないでしょう。
わたしも大人になってから絵本を読む機会はほとんどなかったのですが、この絵本に出会ってからその考え方が少し変わりました。
『りんごかもしれない』
https://www.amazon.co.jp/dp/4893095625
たしか、何かのWEBの記事で話題の絵本として取り上げられていて興味を持ち、本屋で手に取ってみたのですがその考え方に惚れて買ってしまいました。それ以降、著者のヨシタケシンスケさんの絵本は何冊か買っています。
身近なりんごの「かもしれない」を想像してみる
本書で描かれているのは、主人公の男の子がキッチンに置いてあるりんごを前にして、その存在や、役割について色んな角度から「かもしれない」と考えるお話。そもそもこれは「りんごじゃないのかもしれない」と考えてみることからはじまり、どこからきてどこへ行くのか(時間軸を変える)、大きくしてみたりすごく近くでみたらどうなるか(縮尺を変える)、食べたらどうなってしまうか(効果)など、観点をいろいろと変えながら「りんごかもしれない」ことを考えていきます。
「かもしれない」で広がる想像力
この本が面白いのは、大人でも今まで考えもしなかったようなりんごについての「かもしれない」を考える機会が得られることです。そして、その「かもしれない」は大人の常識から外れたものばかり。りんごが何かのたまごなんじゃないかとか、さらに大きくなれば住めるんじゃないかとか、普段は考えないような捉え方をすることで、身の回りのいろいろなモノやコトについても想像を広げるきっかけになります。
わたしはよく、企画を考えていて煮詰まったときや、考え事がもやもやと解消されずに一度リセットしたいときなどにパラパラと眺めたりしています。
「かもしれない」を早めに覚えるきっかけに
大人の自分がこの本を楽しむ中で、「自分の子どもにはこの本を早めに読んでもらいたいな」と思うようになり、自分は子どもがいないのでちょうど絵本を読みはじめたお子さんがいる知り合いのママさんにあげてみることにしました。
すると先日、そのあげた男の子が熱心に本書を読み、最近では「かもしれない」という言葉を覚えて自分で使うようになった、とそのママさんから教えてもらいました。この「かもしれない」という言葉、早めに覚えておいて損はない言葉だと思います。目の前にあるものを「かもしれない」と疑ったり、違う角度から見ようとすることで、想像力や批判力など自分で考える力が身につくと思うからです。彼の成長に少しでも貢献できたと思うと嬉しかったです。
ぜひ、小さい絵本を読み始めたお子さんがいる方は手に取ってみてはいかがでしょうか。もちろん、大人の方も楽しめるので興味ある人は見てみてはいかがでしょうか。
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