やりがいを求めて就活・転職する人へ。僕の考えは「いかに自分に合う哲学を持つ企業」と出会うか?だと思う話。

これは僕のオナニー的な投稿になってしまうと思う。
ただ考えが纏まっているうちに、文章に押し固めようと思う。

表題の通り、僕は就活や転職、特に新卒の人で就活をしようとしている人は
企業の企業理念や、今ではパーパスと呼ばれているものをきちんと見たほうがいいと思う。

今は心から感じること。

この後比較していくが、僕はどうしてもドイツの企業「Tchibo」というコーヒー会社のビジネスの仕方にものすごい強い違和感を覚えて、調べた。

ネットで情報を見てみて、軽くだが書籍やショップへ行ってみて
人に聞いてみて。
そこで企業理念を調べたり、そもそもの都市の歴史や文化を調べたりした。
そして、今日ようやく違和感を一度言語化することができるようになった。

この会社は、「コーヒーを売るためになんでもする会社」なんだと感じた。

おそらく、この考えも若干違うところに着地している。おそらく本質的な言語化ではないが、それでも自分の違和感を解消するにはふさわしい言葉が選べたと思っている。

ではそもそも、なぜ企業理念が重要であるかという話に戻る。
それは月並みだがそれが方針だからだ。

そして、その方針だけで、同じ商品を扱う会社に圧倒的な差が出ていることが
肌感だけでなく、企業を比べてみて強く感じたからだ。

もしあなたが仕事にやりがいを重視している人であれば
間違いなく職種で選ぶよりも企業理念で選ぶほうがいいと思う。

僕が前にいた会社の企業理念は簡単に言えばBtoBの飲食業界のためになんでもするというもので

専門商社とは?というくらい幅の広い商品を扱っていた。

でも、これは間違いなく、この会社の方針なのだ。なぜならトータルソリューションサービスを謳っていたのだから。

実際会社にいると、ほとんどの場合で意識している人はいないと思う。
僕の周りの人間で一体何人自社の企業理念を答えられたか実際わからない。
でもそれを基盤とした文化や社会性が、脈々と受け継がれていて
無意識に強みや弱みとなって現れていて、そして新しい施策や商品は
その考えのもとに行われていた。

だから僕は元々入社して一通り経験してから、「企業理念を見るべきだった‥!」と思っているし、今は本当に入りたいところはそこから調べて見ることにしてはいる。

ただ今回は理解するのに難航した。多分似たような業界だったからストンと腹に落ちなかったのだと思う。

Tchiboという会社は、ドイツ・オーストリア地方におけるコーヒーのマーケットリーダーだ。
スーパーにはほぼ100%Tchiboのコーヒーが棚に並んでいるし、自分たちのショップだけで国内に500を超える。日本でいうところのUCCみたいな存在だ。

同じ随一のコーヒー企業であることには変わりがないのに、取り扱う商品に非常に大きな差がある。

それは、Tchiboにはコーヒー企業として考えると非常識なほど、コーヒー以外の商品ラインナップが充実しているのだ。

特にアパレル事業が有名で、なんとTchiboは世界でも有数のコットン輸入企業としても有名な側面を持っている。

しかもドイツ人に聞くと大体コーヒーに加えて「古臭いアパレル」か「ネット通販」が上がってくる。

まあ、なんとも不思議だ。

そして不思議なところがいくつもある。
・なぜかアパレルが有名なくせにメンズは非常に少なく、婦人服と子供服は有名。
・なぜかアウトドア用品を売ってる(テントみたいなのがある)
・なぜか家具も売ってる
・なぜか携帯のSIMカードを売ってる
・なぜかショップの雰囲気はコーヒーが飲める雑貨屋の雰囲気

まじでなんなんだTchibo。
お前はコーヒー会社じゃないのか。

UCCも同じようにいろんな商品ラインナップを持っているものの
そのほとんどがコーヒーであり
違うように見えてもコーヒーに関係していたりする。
HPなんかを見ても一目瞭然。全く違う!

以下はTchiboのHP。ドイツ語で「コーヒー・ファッション・家具・携帯電話の通信など」と書いてある。

そして以下がUCC。ほとんどコーヒー以外出てこない。

この2社が同じように国内のスーパーではお目にかからないことがない巨大なコーヒーメーカーであることには間違いがなく
同様にそのルーツを港町の輸入業から始まっている。

ただ、その後の方向性が少し違うために、大きく結果が変わっていると感じるのだ。

そこで、TchiboとUCCの企業理念(パーパス)についてみてみたいと思う。

まずはUCC。


コーヒー一色!

より良い世界のために、コーヒーの世界を解き放つ。
まず第一にコーヒーが来ます。そして、コーヒーを通じた社会貢献をすることを
パーパスとして掲げている。
見れば見るほどUCCってコーヒーって感じ。
これが僕にとって違和感のないコーヒー企業ってイメージ。

Tchiboはどうだろう?
※UCCのようにかっちりしていない感じなので、
微妙にバリュー(企業が提供する価値)が混じってます。
また、翻訳は僕の意図がかなり入りますので必要があれば翻訳をご自身でお願いします。

企業価値・ビジョンに「家族にようこそ!」と掲げてあって
「私たちは勇気と一緒にいつも新しいことに挑戦をし続けています!」という感じの内容。
コーヒーの話が始めに出てきません。


初めはコーヒーで、今もコーヒーが企業の本質ながらお客様のためにとにかく恐れず挑戦をし続けていく企業風土。それがコーヒー以外においてもそうだと書かれていて、
そのために社員たちがみんな同じ目線で取り組むといった内容。


個人的には後述しますがこれが一番商品に影響されている気がします。時代の流れに乗り、将来の成功のためにハンザ的なハンズオンメンタリティ(現場での経験を重要視する)を持って常に挑み続ける姿勢をビジョンとして取り込まれている。


完璧ではないけど、常に改善思考を持ってアクションを続けることが記載されています。しかもコーヒーの写真ですが書いてある内容の中にコットンが入っているという。仕入量世界3位。


ここはいかにもドイツらしい。多様性のお話です。ただ普通に今の流れでなくともTchiboの思想では多様性が必要とされる環境であるため自然な感じ。

簡単にまとめれば、コーヒーというよりも顧客と共に時代の流れに乗って変化とチャレンジを続ける企業風土であることが理解できる。

コーヒーというよりも商社風土が強い感じだ。いいものを仕入れて時代に合わせて売る感じ。本当に先日行ったハンザミュージアムの時代の流れで変わる交易品と似通っているので面白い。

こうやって比較していると、かなり違う企業としてみて取れる。

実際僕はこれが理解しきれずにかなり時間をかけて調べたと思う。

それくらい、実際にドイツでTchiboを見ていると混乱する。

なぜか。それは彼らのビジネスにおける競合他社が明確ではないからだ。

簡単にChat GPTでTchiboの競合他社を検索すると
主に3つのカテゴリーでヒットしてしまう。

・カフェやコーヒーの販売部門としてのTchibo(スタバとか)
・スーパーなどの小売部門としてのTchibo(Lidlとか)
・家具や衣服などのライフスタイル部門としてのTchibo(IKEAとか)
※ネット通販も有名なため、検索の仕方を変えるとAmazonとかまで競合に入る‥

・・・なんじゃこりゃ。
しかもそれぞれでライバルになる企業がトップクラスのナショナルチェーン。
ただどの企業にも店舗数の規模で負けている。
勝ってるところがどこにもないかと思えば。

実はTchiboは日本のスーパーなどの小売事情とかなり違う。
ドイツのスーパーで独自の棚スペースがあり
コーヒーを販売している「卸含む、Tchiboの販売棚がある店舗数」
で計算をすると競合他社をはるかに超えて、
圧倒的一位に急に君臨してくるのだ。

イメージは、一部のローソンに無印棚が入ってる感じが近い。

このTchibo棚は全てのスーパーにあるわけではないものの、
ドイツで生活したことのある人なら絶対に見たことがあるはず。

とにかく、彼らの商品やロゴが目に入らないことが日常で決して少なくない。
食品がメインのスーパーだけでなく、ドラックストアなどにもこのTchibo棚があるから驚きだ。

しかもこうやってコーヒーだけじゃなくて下着とかも売ってるんだから
真面目に何をどうしたいのか、初めは理解が及ばなかった。

ただ人に聞いてわかってきたのは、彼らのコーヒー以外の商品というのは
「コスパ」がいいのだ。
それは「古臭い」が、「普段着にするなら、人に見せる必要がないなら十分に安くて長持ちする」ところに起因しているようだ。
※ドイツ人は人の見る目を気にしていないとかいうけど、普通に気にしているところが自己に向かっているだけなのでこういう自分が着ていてダサいと思う可能性のある商品は外で着ないきらいはある。

そして、いわゆる「見栄えのいらない普段暮らしのための商品、生活に寄り添う商品」が多く存在していて、
びびったが妻含め、親族全員が、なんだかの形でTchiboの商品を持っていた。

それはほとんどが下着やマット、ちょっとした小鉢などの人のこだわりから少し逸れたところにある領域をカバーしていた。
※非常に残念だがコーヒーを買っている人は一人もいなかった

なんというか、ものすごい話だ。
日本だとこの感じはなんとなく「食材のないコンビニ」のイメージがするのだが
それがもっとこう人が24時間いて、直接サービスをするということで身近になっているコンビニ業態ではなく、プロダクトを通じて身近になるTchiboというか、そんな感じだ。

ものすごい面制圧なビジネスをしていると、ここで感じることができた。

最近だと、以下のようなサービスの開始を検討し始めているみたいだ。

ドイツの出前館的なところと組んで、Tchiboの支店にある商品なら発注から最寄りの店舗から1時間以内に顧客に届けるというサービス。
へ?って感じのサービスだが、雰囲気はコンビニの宅配サービスに近い感じがする。

昔はどこよりも早くネット通販を開始したらしく、非常に優位性があったそうだが、最近はネット通販が普通となり、Amazonのような巨大企業がイニシアチブを取るようになったため、おそらくは実店舗、発送拠点の優位性から来るサービスの提供で少しでもネットへのアクセスや顧客コンタクトを増やそうとしているのだろう。

詰まるところ、これが一番始めにいった「コーヒーを売るためになんでもする」という企業なのだろうと一度自分の中で結論づけた理由だ。

とにかく日常にTchiboが見えるように、生活の一部になるように顧客へのコンタクトを怠らず、そして誰とも競合他社でありながら協力ができるパートナーであるという、お互いがお互いの利益のために協力をする。結構ハンザ同盟っぽい。

そしてその接触していく中で、本命のコーヒーをいかに滑り込ませるか。という感じなのかもしれない。

僕の妻からも話を聞いたが、Tchiboに行く人の大半は「何も考えずにふらりとよる」のだそうだ。目的なく入って、ウィンドウショッピングで気になったものを買う。
それだけTchiboにはなんでもあって、何かがあるとドイツ人に思わせることに成功しているのだ。
僕なんて初めはコーヒーしかないと思っているから、そんな考えにすらならないし、商品の取り揃えが意味不明すぎてテーマ性がないからお店の中身が気持ち悪いとすら思っていた。

その「何かがある」という中で確実に存在しているのが「コーヒー」で、そしてコーヒーもどんな形でも販売できるようになっているのがショップの特徴。
豆も、粉も、カプセルもそしてカフェとしてコーヒーもテイクアウトできるようになっている。
本当に、個人的にはコーヒーを売るための環境をどんどん開拓していった結果、最終的になんでも取り扱うし、ドイツ人の生活に合わせたラインナップが揃って行ったのがTchiboの歴史だと思う。
じゃないと、あんなに気持ち悪い商品ラインナップにならないはず‥笑

長文になったが、それではUCCはどうか。

UCCはもっとシンプルだ。その代わりコーヒーというテーマに妥協がない。
とにかくプロダクトアウトな性格をしているとTchiboと比較して思う。

UCCの最近で個人的に最も驚いた商品は以下になる。

はっきりいう。僕はこの商品の考え方が大好きだ。
簡単に言えばコーヒー味のチョコ。みたいなものなのだが
食べるコーヒーという新たなチャレンジに対して
発表された時すごく痺れたのを覚えてる。

生産量が追いつかず人気のまま販売を終えて
また今年の冬に再販されるらしいが
僕がUCCの営業なら、この商品の販売担当にして欲しいくらい
素敵な商品だと思った。

コーヒーの楽しみ方は人それぞれで
実際に結構「飲む」方法はある。
でも「食べる」方法はほとんど開発されていなかった。
ケーキや料理に混ぜるはあったが、「コーヒーだけで食べる」という
そいういうものはなかったのだ。
そうだとしても、果肉のないチェリーを食べたりするくらい。
※実はUCCが昔に商品化してる。

それをこういった形でアウトプットされるというのは
なんとも素晴らしい話。
冷めていくコーヒーという何時こぼれるかわからない液体を
気をつけながら手でカップを持ちながら運ぶのではなく
これならどこでも気軽に持って行けて、好きな時にコーヒーを楽しめる。
本当に素敵なコーヒー体験だと思う。


ただ、これが現実生産ラインがもっと安定したとしてショップに並べられるか?
というと違う。

はい、6枚で2700円。

たった、6枚で、2700円!!
アルフォードでももっと枚数多いし肉厚!!

消費者舐めてる。
というわけではなく、仕方がない特殊製法なわけだ。

でも実際にUCCが持っている一般家庭用販路で売れるかというと
うーん。だろう。たとえ量産されて安くできても。だ。

UCCはこの類の商品がめちゃくちゃ多い。
いわゆるプロダクトとしての質はいい。
業界にいたら革新的だ!と思うこと多々ある。

でも、誰が求めてるの?ってやつ。

そういう意味では以下のやつが最近だと特にそう思う。

赤いBLACK無糖。今までは黒かったがコーヒーチェリーの赤みを表現し、また味の内容をフルーティー側に寄せた缶コーヒー。とのこと。

・・・。飲んだが確かに美味い。缶コーヒーのクオリティとしては驚くべきだと思う。そして、確かにBLACKで飲むと美味い。

でも、、、誰が飲むの?
違うでしょ。BLACK無糖とか、缶コーヒーって
こう、工場とか現場とかで一服するお供じゃん。
タバコと苦甘い缶コーヒーで肺と口腔をニコチンとカフェインと砂糖で満たして
全てのエネルギーを充填するべくして飲む飲み物じゃん。

なんでハイソにしちゃったの?
しかも違いが業界人とかじゃないとわからない繊細さ。
もちろん普段から飲み慣れてらっしゃる方だとわかると思うけど
これを手に取るくらいならBOSSでいいじゃん?今までのBLACK無糖でよくない?

という感じに思ってしまう。これは個人的な感想なので
実際には人気なのかもしれませんが、それでも販売時は微妙だと思っていた。

ただこれは「コーヒーの力を解き放つ」ことをパーパスとしているUCCでは
ある意味順当な開発だと思います。

多分これがTchiboでの文脈で行うのであれば
そもそも赤いBLACKは発売せず
おそらく黒いBLACKの飲用者と関連付けた
コーヒーとは関係ない商品を売り出して
自分のショップに立ち寄らせることを検討しているか
もはや自販機事業を始めてしまっているかもしれない。
※確かUCCも自販機事業持ってましたが撤退したと思います。

Tchiboはとにかくコーヒーを買う機会を提供することに重きを置くと思いますので
如何に自分たちを見てもらうフィールドを開拓するかに命をかける気がする。

そしてUCCはとにかくコーヒーの可能性を探究して、できた商品になんとかマーケティングでストーリーをつけて売る感じの命の掛け方をしているように見える。

なんというか、比べていてAppleのようにも見る。
技術者と伝道者。そんなふうにもこの2社を比べると見れる気がする。
なんというか、Tchiboはそういってもスティーブ・ジョブスよりも顧客や時代の流れに沿うようにビジネスをするため、やはり違う感じもするが。

以上が個人的に比べてみて思ったこと。

おそらくは企業情報を見た時に一番上の言葉には「コーヒーのリーディングカンパニー」であることは変わらないのに
中身やアウトプットの方法が違いすぎていて、
日本の職人気質なコーヒー文化に染まっていた僕にとって
このものすごい商人文化であるTchiboは異常に思えた。

でもわかってくると僕が日本のコーヒー文化で文句を言っていたところと似通ってて、
特にスペシャルティーなんかは身内でワイワイしたりするんじゃなくて
とにかく新しく飲んでくれる層を集められるようになって欲しいなと思っていた。

だから僕が常に頭の中で思っていることは、如何にコーヒーを飲まない人がコーヒーを飲むようになるのか。ということ。
コーヒーが好きな人ではなくて、コーヒーが好きではない人に、如何にコーヒーを身近に感じてもらえるか。だと思ってる。

だからこそ、僕はあえてコーヒーから離れた人と話すべきだとも思っているし、どんなところに障害があるのかを常日頃から聞いておくべきだと考えている。

UCCの考えは「こんなに美味しいコーヒーだから、貴方が飲んだらわかるよ」で、Tchiboの考え方は「あ、美味しいコーヒー持ってきたけど、とりあえず飲んでみる?」って感じ。

すごく長くなったが、結局のところ企業の掲げる目標が少し違うだけで
同じ商材へのアプローチが全く違うことを、今回の一連で学ぶことができたと思っている。

いきなり新卒の方が自分の哲学にあった会社を見つけるのは難しいと思う。
だから、やっぱり調べてみることがおすすめ。
今回槍玉に挙げたUCCやTchiboはその企業理念がきっちりと商品やサービスに発露されていてみやすいが、
そうではない企業はどうしても見えづらく、また曖昧だったりする。
もしそういった企業にエントリーしたいということであれば
採用担当か社長や役員に、企業理念についてどう思うのか聞いてみるといいかもしれない。
彼らがうまく答えられないのであれば、または自分が考えていることとズレがありそうだなとか、楽しくなさそうだなとか思えば、一度考え直した方がいいかもしれない。

ぶっちゃけ企業や仕事自体はどんな仕事でも必死にやれば何かが見えてきて面白くなる時が必ずある。
だから、夢中になれるような目標を掲げている方がいい。
同じように見えて、ゴールの定義が違えば、至るまでの道のりが全然違う。
今の僕はそう考えています。






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