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それ、クールじゃないよ。
3月上旬。
写真仲間のナッツさんが「渋谷でストリートスナップの仲間で集まるから、よかったら来ませんか?」と誘ってくれた。
ナッツさんに誘われる時は、ワールドワイドで多国籍の集まりとなる事が多い。その中で英語が話せないのは僕だけで、何一つ理解出来ない横文字の閃光弾が頭上を飛び交っている。
外国人の1人が、どうやら僕を知っていてくれていて「ソガ!いつも君のInstagram見てるよ!僕は君の写真がすごく好きだ!」と流暢にその閃光弾を僕の顔面目掛けて連射してくる。
「Oh〜!Thank you〜!」と僕も負けじと、
舌を踊らせながら英語を誇張してネイティブに話す。
その後も閃光弾を浴びるも、
僕が受け答え出来ずに愛想笑いしか出来ないものだから、彼は銃口を逸らし、少し悲しそうな顔をして、次第に焼き鳥に夢中になってゆく。愛を伝えてもらってるのに、答えれないやるせ無さはない。
そして僕らは渋谷の街へと飛び出し、とある外国人が集まるバーにたどり着いた。そこは外国人で溢れかえり、まだ肌寒い渋谷が熱帯夜と化していた。
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それぞれが各々のアプローチで写真を撮り始める。
僕も英語を話せないなりに、翻訳アプリを使って声を掛けようと試みた。するとナッツさんに「それは童貞っぽいから辞めた方がいいよ。クールじゃない。」
僕の人生で、自分由来でクールを産み出したことがあるだろうか。そもそも人と接する時に、クールかどうかなんて考えたこともなかった。
するとナッツさんは黒人男性グループに声をかけた。彼らは女の子を見ているが、恥ずかしくて声をかけれないらしい。屈強な黒人男性でも、この場では「クールじゃないゼ!brother!」と妙な親近感が湧いた。
するとナッツさんは別のグループの黒人女性と黒人男性を一緒に写真撮りたいと話し、黒人男性は「彼女がいいならいいよ。」と照れ笑いをする。
そしてさっきまで他人だった男女が一瞬にして急接近し、彼はそれを写真に収めた。「もしかしてこの後、ふたりに進展があるかも。」そんなドラマまで感じさせる瞬間だった。
こ…これが"クール"か…ごくり。
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ナッツさんは「ソガさんは普段距離感の近い写真撮ってるじゃないですか。写真が人見知りじゃない。筋が通らない。」と話してくれるのだが、それは相手が僕を認知してくれていて、ある程度の安全圏内からアプローチしているからだ。
それはそれ、これはこれ。
こちらからすると、動物園の飼育員が、突然サバンナの野生獣たちに挑んでいる様な状況だ。
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結局その夜は納得のいく写真は撮れず、
この悔しさ、情けなさはなかなかに引きずった。
それだけ今の自分とって路上撮影でのときめきを大切にしている。
ナッツさんの様な”クール”な人間になる事はきっと難しいだろう。彼には彼なりのクールがあり、僕は僕なりのクールを見つける。それが課題である。
そして、2週間後。
僕はひとり武者修行として、週末の渋谷に乗り込む。前回の二の舞にならぬ様、いくつかの試みをする。
まずは、即席でストリートに馴染む為に、髪を三つ編みにした。HIPHOP界でもSnoop DoggやD.Oの三つ編みスタイルが有名だからだ。
そして普段自発的に飲酒する事はないのだが、
少しでも緊張感を緩和する為にファミマで緑茶割りを買った。あとは翻訳アプリも禁じているので「picture ok?」だけを頼りに。
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三つ編み・お酒・picture ok?は三種の神器である。
鼻息荒くセンター街を歩いていると、早々にまさかの偶然ナッツさんたちに出逢う。出逢うべくして出逢ったというか。単身武者修行で乗り込んだが、内心は身ぶるえする子鹿ちゃんなので安心した。
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そして屈辱を味わったあの"熱帯夜"に再び乗り込む。
ハートランドをグッと喉に流し込んで、
「picture ok?」と言う一本刀で群衆に飛び込んだ。
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その後も移動しながらシャッターを切り続ける。
緊張感を緩和する為に、まだまだお酒を飲む。
普段なら吐いてる量だったが、不思議と身体は絶好調だった。
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まだまだ課題はあるが、前回よりは進歩したと言える結果だった。路上で出逢う人たちとの関係性にもときめきはある。
武者修行はまだまだ続く。