曽我灯

Tokyo🇯🇵写真家。東京を中心に活動中。活動報告や日常のあれこれを記事にしていけたらと思います。

曽我灯

Tokyo🇯🇵写真家。東京を中心に活動中。活動報告や日常のあれこれを記事にしていけたらと思います。

最近の記事

真夏の化身。

最近生活改善の為よく歩く様になった。 昨日も深夜にひとり、近所の狭い裏路地を歩いていた。 すると前方で街灯に照らされた黒服男性がこちらに背を向けてひとりポツンと立っていた。 時刻は深夜2時頃。若干の恐怖感はあったし、その道じゃなきゃいけない理由もなかったが、好奇心もありそのまま突き進む事に。 進むにつれて男性の陰に女性がいるのがわかった。ふたりは平日深夜2時に薄暗いT字路のど真ん中でキスをしていたのだ。 はっきりは見えなかったが、お互いに三十代後半か四十代前半だったと

    • 未来人たちは、終電で総武線を走る。

      写真を通さなければ、関わりを持てないものが沢山ある。僕にとって渋谷はそのひとつだ。 破壊と再生を繰り返し、進化し続ける渋谷と言う街は、自分には場違いなのではと感じる事もあるが、不思議と居心地が良い。 社交的な人も多く、缶チューハイを開ければ乾杯の言葉が至る所から飛び交ってきて、それぞれの個体が吸収と分裂を繰り返す。その光景は渋谷と言う生き物が進化の過程に起こす細胞分裂の様にも見える。強制的に自分も渋谷の動脈の一部に組み込まれる強引さが、自分に欠けている社交性を刺激する。特

      • 誰でもない自分の為の遺書と遺影。

        新作ZINE「遺書」が完成しました。 本格的に遺書や遺影に取り組もうと思ったのは、 認知状の祖父が二年前に亡くなった時だった。 昨今では子供の頃からテレビで見ていた著名人も立て続けに亡くなっている。 そして身近でも別れを感じる事が増えてきた。 二年前に盛岡で出逢った居酒屋のママとその居酒屋の常連さんで一緒にスナックへ飲んだ夜があった。 そして今年盛岡に訪れた際に、 ママの居酒屋へ飲みに行った。 「あの時一緒にスナックに行ったおじさんいたでしょ。あのおじさん今年癌で亡

        • 偏愛と、赤毛の洋女。

          ある日、僕は錦糸町の喫茶店でレトロラブホ愛好家のねねさんとお茶をしていた。そんな面識があったわけではないが、同じ熱量、もしくはそれ以上でレトロラブホを語り合える人はとても貴重なのでお誘いをして実現と至る。 互いにラブホテルへの愛を語り尽くし、ひとしきり会話も弾んだ頃に、「もしよかったら、私とナポレオンに行ってくれませんか?」と言うご依頼の提案に、店中に響き渡るか如く珈琲をゴクリと飲み込んだ。 それもそのはず、ナポレオンとは青森県にあるその界隈で知らない人は居ないであだろう

          光の方へ。

          皆さんは「宗教」と聞くと、どんな印象だろうか。 時折メディアでも話題となるが、目にするのは事件性のあるものが多い。 有名な事件の一つで言えば1995年に起きたオウム心理教の地下鉄サリン事件。連日報道されるあの事件を、当時リアルタイムで観ていた僕も「宗教は悪い組織」という印象だったが、北陸の田舎ではテレビの中の別世界のものという認識だった。 多くの人は宗教に対して、不信感を抱いてるだろう。居酒屋で話すべきではない話題として、政治・野球・宗教と言われているぐらいセンシティブな

          光の方へ。

          それ、クールじゃないよ。

          3月上旬。 写真仲間のナッツさんが「渋谷でストリートスナップの仲間で集まるから、よかったら来ませんか?」と誘ってくれた。 ナッツさんに誘われる時は、ワールドワイドで多国籍の集まりとなる事が多い。その中で英語が話せないのは僕だけで、何一つ理解出来ない横文字の閃光弾が頭上を飛び交っている。 外国人の1人が、どうやら僕を知っていてくれていて「ソガ!いつも君のInstagram見てるよ!僕は君の写真がすごく好きだ!」と流暢にその閃光弾を僕の顔面目掛けて連射してくる。 「Oh〜

          それ、クールじゃないよ。

          写真展「青虫な私と抜け殻の僕。」を終えて。

          2022年 大阪 Gallery305さん。 2024年 東京 新宿眼科画廊さん。にて、 写真展「青虫な私と抜け殻の僕。」が、 すべての会期を終えました。 改めて、ご来場してくださった皆様。 本当にありがとうございました。 今回は新宿眼科画廊さんのおかげもあり、 約350人もの方が来場してくださりました。 多くの方に「僕」と「わたし」を知って頂くことができました。 いつもSNSで写真を見てくださっていた方々や、 身近で仲良くしてくださってる方々。 会期が被っていた作家

          写真展「青虫な私と抜け殻の僕。」を終えて。

          おならは、恥の門。

          僕はとにかくおならがよくでる。 体質のせいか、日常の不摂生が祟っているのか。 ある時は、フルートを吹く様な哀愁漂う音色を奏でてみたり、 ある時は、中型犬が「おい。」と吠えた様な音もする。 ある時は、地獄の雄叫びの様な轟音。 そのレパートリーは多岐に渡る。 これはとても恥ずかしく情けない話なので、 あまり言いたくはないのだが。。。 女性に「おならを聴きすぎて、異性としても性的にも見れなくなった。」と言われたことがある。 それはご尤もな意見で。 一応、おならをこく前に断りは

          おならは、恥の門。

          墨壺。

          去年の春、僕は四ツ谷のtattooスタジオの施術台に横たわっていた。窓の隙間からは時折、生暖かい風が心地よく入り込んできている。墨を彫られている痛みにも慣れ始めた頃、うたた寝をしてしまう。 あれは僕が20代半ばの頃に観た、感覚が限りなく現実に近い夢。舞台は北陸の片田舎にある実家の目の前に続く長い道路。そこに僕がひとり立っている。 稲穂の香りと春の生暖かい風が身体をすり抜けてゆく。それはそれは、とても安心する匂い。 目の前には同級生が3人、自分に背中を向けて歩き、遠く離れ

          灯。

          今年の5月頃に活動名を「曽我灯」に改名した。 その真意を公にお話しする事なく、 気がつけばもう今年も終わりそうだ。 改めて何故、この名前に改名したのかをここに記す事にした。 私的な事だが、最後まで読んで頂けたら幸いです。 理由その①  ひとり旅で灯を頼りに歩いていた。 以前から活動名を英語表記から漢字表記にしたいと考えていた。 それは35歳となり、活動名を少し大人らしくしたかったからだ。 しかし考えてみたものの、なかなか良い命名には至らずに日々を過ごす。 去年の年末に東

          劇団家族

          この度、僕が長年やりたかった事を企画してみます。 それは「架空の家族として家族のひと時を過ごす。」という事。 三木聡監督の「転々(2007)」にて架空の家族で食卓を囲むシーンがあり、 この映画を観た時からずーっとこの状況に憧れていました。 しかし、いざやろう。となるとどんな人選をすればよいのかわからず、 足踏みをしていましたが、この度、企画として募集してみたいと思います。 架空の家族でどんな事をするのか? 写真館で家族写真を撮ったり。 一軒家を借りて、家族の時間を過ご

          劇団家族

          my hair is collie.

          先日出張で札幌に訪れた。 札幌に訪れるのは約2年ぶりのことだ。 前回札幌を訪れた時はあまり夜の街を散策できなかったので、今回こそは!とひとり息巻いて夜の札幌を突き進む。 そしてとある一軒のスナックへ辿り着いた。 そこは店主いわく居酒屋ほどちゃんとした料理もない、バーほど酒も詳しくない、スナックと名乗れば若い女の子がいるんじゃないかって思われてしまうかもしれない。だからどれでもない場所らしい。 そんな店主の人間味あふれる独自の雰囲気が居心地よくて、何処か新宿ゴールデン街

          my hair is collie.

          夏の終わりはいつも静かに。

          夏のひとり旅の最後の朝を迎えて、あれだけ夏に取り憑かれていたはずが、なんだか吹っ切れた気持ちで目を覚ました。 そして弁天島から東京へ向かう為に 改札で駅員さんに青春18きっぷを渡すと、 「はい。これで5回目。最後ですね、どうぞ。」 真夏の猛暑日なのに、その瞬間カレンダーをめくり暦上の秋が訪れた様にはっきりと夏の終わりを感じた。 このまま東京へ戻るのも少し名残惜しさがあったので愛しの熱海で途中下車。 熱海に辿り着くと陽気な南国観光ムードがあふれかえる。まだまだ日差しが強

          夏の終わりはいつも静かに。

          夏の定義 2日目。

          昨晩は朝方まで海を眺めていた。 旅だとしても生活のリズムが変わる事はあまりしない。 地元の書店で本を買い。 喫茶店でカフェオレを飲み。 夜はスナックへ繰り出す。 特別に何か理由がない限りは 普段通りの時間を過ごす。 のんびりと準備をして浜松へ向かい、 目星のつけていた「喫茶さくらんぼ」へ。 昭和53年から続く喫茶さくらんぼ。 僕が席に着く頃には会計済みの常連おじいさんが 何度も「おだいはいくらだ?」と言っていた。 「2度3度も払う気はあるけど、払ったことは一度もな

          夏の定義 2日目。

          夏の定義 1日目。

          大阪出張最終日を終えて、 夏の終わりを探す旅へと動き出した。 まずは大阪の金券ショップで 諦めていた夏の青春18きっぷを探す。 丁度よく残り2回分のきっぷが1枚だけあった。 前利用者は長野県は諏訪から兵庫県まで3日間かけて旅を続けてきた切符で、まるで旅人からのバトンを受け取った気持ちで少し心強かった。 僕はこれから海のある街を目指して、 大阪から約4時間半かけて静岡県は弁天島へ。 弁天島である理由は特にない。 ただ知らない街へ行きたかった。 泊まったホテルは弁天島駅の

          夏の定義 1日目。

          夏の定義。

          2023年 7月中旬。 「今週はずっと35度超える猛暑なんだよ。やばいよね。」そう言いながらコインランドリーで洗濯物を畳む恋人たち。 夏は洗濯物が多いのに我が家には洗濯機がない。 なので夏になるとコインランドリーへ足繁く通う事になる。 当然コインランドリーの洗濯機の稼働率は高い。 1台だけ中身が放置された洗濯機に「END」の文字が赤く点滅していた。しばらく待ってはみたが取りに来る様子がないので、あまり好きではないが中身を取り出すことにした。 中は布団のシーツとタオル1

          夏の定義。