写真展「青虫な私と抜け殻の僕。」を終えて。
2022年 大阪 Gallery305さん。
2024年 東京 新宿眼科画廊さん。にて、
写真展「青虫な私と抜け殻の僕。」が、
すべての会期を終えました。
改めて、ご来場してくださった皆様。
本当にありがとうございました。
今回は新宿眼科画廊さんのおかげもあり、
約350人もの方が来場してくださりました。
多くの方に「僕」と「わたし」を知って頂くことができました。
いつもSNSで写真を見てくださっていた方々や、
身近で仲良くしてくださってる方々。
会期が被っていた作家さんたち。
そして、写真に写ってくださった人。
多くの感謝をお送りいたします。
田舎で生きづらさを感じながら、腐り生きてきたこと。
家族に隠れ、負い目を感じながら女装をしていたこと。
どれだけ白い目で見られても、自分が好きなことを貫いてきたこと。
すべての事柄が一本の道筋になって、
まるで35年の人生が、この展示の為にあったかのような時間でした。
作家としては、来場者数や物販の売れ行きも確かに大切ではあるのですが、
やはり「どれだけ人の心が動いたのか。」というところが要でした。
多くの方たちと作品についての意見交換をさせて頂いたり、
自分の人生と重ねて想いを重ねて、
泣いてくださった方もいてとても嬉しかったです。
僕がなりたかった女性像を投影して撮っていることから、
身近な人には全部僕自身に似ていると言って頂けて嬉しかったです。
最近はひとりの人間として自立しつつある。
自立というか、「すべての物事を自分ひとりで
受け止める覚悟が出来た。」の方が近いかもしれない。
だから自分じゃない自分に頼る必要がほぼなくなってしまった。
そんな話をすると、とある来場者さんがご自身の経験と重ねて
「昔は大切にしていて、一緒に歩いてきた自分がいたはずなのに、
変わってしまう自分が、その頃の自分とはもう共存できないかもしれないし、
裏切ってしまうのではないかと思うと怖い。」と泣いていた。
その後、会場でひとりになった時。
この題材は「一生続く地続きなもの。共存。」という認識だったので、
今までそこまで悲しみはなかったんですが。
突然、「もしかしたら、もうこのまま会えなくなってしまうのかな。」と。
自分から「女性らしさ」というものが雫のようにこぼれ落ちて、
何度すくってもすくっても、指の隙間から抜け落ちて、
その感覚すらも残らなくなるのではないかという一抹の不安が襲いかかる。
その時、展示していた写真たちから祝福にも似たお別れを告げられた気もした。
実際に最近では女性的な感性が少し薄れてきている実感があり、
「女性を撮りたい。」というよりは旅や路上を撮ることに気持ちが向いている。
ここ5年くらいはずっとこのテーマを形にしたいと動いていたので、
いざ、これを手放すことが、自分をどう変えてしまうのか
過去とはバランスが崩れて写真の印象も変わるかもしれない。
変わることも楽しみながら写真を続けていこうと思う。
僕が生きている限りはこのテーマは続くと思います。
また何年かかけて撮り溜めて、続編を展示予定です。
その時にふたりがどんな姿で、どんな関係性にあるのかは分かりませんが。
その時も暖かく見守って頂けたら幸いです。
最後に、改めまして今回の展示にてたくさんの方の想いを受け取れたこと。
心の底から感謝しております。ありがとうございました。
曽我灯