バリュー(行動指針)にまつわる7つのワナと形骸化させないコツ
こんにちは、合宿人(がっしゅくじん)です。
今回は、合宿のメインテーマとなることも多い、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の、バリュー(行動指針)についてお伝えしていきます。
どんな企業や団体でも、ビジョンの実現に向けて戦略を策定し、組織を成長させていくために、バリュー(行動指針)を作ることは、多くの人が重要であることを認識してい流ともいます。事業を成長させ、チームの結束を強化し、カルチャーを形成するために欠かせない要素の一つです。
しかし、実際にバリューを作り、体現していくに当たり、いくつもの罠に陥りがちです。
今回は、よくある罠とその解決策について深掘りしながら、バリューを効果的に体現し、ビジョンの実現に向かうためのポイントをお伝えします。
よくある罠とその解決のポイント
1. 「カッコつけ」の罠:美しい言葉も自分の言葉になっていない
経営陣やコピーライターにお願いして、いくら美しい言葉のバリューを作ったとしても、現場のメンバーがそれを受け入れるかどうかは別問題です。
特に、経営者自身がそのバリューを「自分の言葉」として話せていない場合、メンバーの共感を得ることは難しいです。特に経営トップが、創業ストーリーや経験から培われてきた哲学から生まれた言葉を使うことが、何よりも重要です。
バリューは「お飾りの言葉」であってはならず、経営者の体温が伝わる「生きた言葉」である必要があります。
解決策: バリューを定義する際には、トップ自身の言葉や経験からスタートし、自らが日常的に語るストーリーやエピソードと一貫性を持たせることが重要です。これにより、経営者自身がバリューを自然に語れるようになり、メンバーにもその熱意が伝わります。
2. 「我々らしさ」の罠:現状を肯定するものに留まる
多くの企業で、バリューをこれまでのカルチャーや価値観を「現状肯定」するために設定してしまうことがあります。しかし、それでは現状が強化されていくのみで、変革や挑戦の促進にはつながりません。バリューは、企業の未来のビジョンに向けた「新たな行動指針」としてあり続ける必要があります。
解決策: バリューを作る際は、「未来の理想の姿」を描き、そのために必要な行動や考え方を明確にしましょう。過去や現状を振り返るだけでなく、ビジョンに基づいて行動指針を構築し、成長を促すメッセージを込めることが重要です。
3. 「解釈バラバラ」の罠:人によって都合よく解釈される
バリューの言葉はどうしても抽象的な表現となりやすく、メンバーによって解釈が異なり、組織内の行動に一貫性が失われることが起こります。
人は、自分の考えや行動を正当化すべく、悪気なく都合よく解釈することが多くあります。
たとえば、「チャレンジ精神」というバリューがあったとしても、人によって「リスクを取ること」や「新しいアイデアを提案すること」など、捉え方が異なることもよく起こります。
解決策: バリューを具体的な行動レベルまで落とし込みましょう。どのような行動がそのバリューを体現しているのか、具体的なエピソードや事例を通じて共有することで、解釈のずれを最小限に抑えることができます。
特にオススメなのが、
バリューを、
Yes:増やしたい行動
No:減らしたい行動
のYes/Noの行動リストを作り、アップデートし続けることで、具体的な行動レベルで足並みを揃えていきます。
4. 「温度差」の罠:理解はしたけど自分ごと感なくスルー
バリューが一方的なトップダウンで決められると、メンバーが「自分ごと」として捉えにくくなり、バリューが現場に根付かないケースがあります。現場で働くメンバーが共感し、日常的に意識するためには、バリューが「自分たちのもの」と感じられる必要があります。
解決策: バリューの策定には、現場のメンバーを巻き込むことが重要です。ワークショップやディスカッションを通じて、メンバー自身が関与し、意見を出し合うプロセスを設けましょう。これにより、バリューが「押し付けられたもの」ではなく、「一緒に作り上げたもの」として認識されます。
また、バリューを共有する際は、メンバー1人1人の大切にしている価値観とのつながりを見出し、自分の言葉で話せるようにすることが大事です。
5. 「共有しておしまい」の罠: 放っておくと発表したその日から形骸化の一途を辿る
バリューを一度策定し、全社集会や掲示板で発表して「共有した気になる」ことも、よくある落とし穴です。バリューは、掲示物やスローガンとして存在するだけでは意味がなく、日々の意思決定や行動に結びつけることが重要です。
解決策: バリューを実際の業務や評価基準に組み込む工夫が必要です。具体的には、バリューを日々の行動や成果と関連づけ、評価制度や目標設定のプロセスに取り入れることで、形骸化を防ぎます。また、定期的に振り返りを行い、バリューが適切に実行されているかを確認しましょう。
6. 「時代遅れの罠」:環境変化や戦略に合わずに老朽化
企業が成長し、チームの構成や事業環境が変化する中で、最初に策定したバリューが現状と合わなくなることがあります。しかし、多くの企業は一度定めたバリューを見直すことなくそのままにしてしまい、結果としてバリューが形骸化してしまいます。
解決策: バリューは固定されたものではなく、時代や組織の成長に応じてアップデートが必要です。定期的に現場の声を集め、企業の成長や外部環境の変化に合わせてバリューを見直しましょう。特に、経営層が変化に対して敏感であることが求められます。
7. 「有言不実行」の罠:トップの言動は常に見られている
バリューを策定しても、トップがそれを自ら体現しない限り、メンバーに浸透しません。リーダー自身の行動がバリューと一貫していない場合、メンバーは「言っていることとやっていることが違う」と感じ、バリューの信憑性が失われてしまいます。
解決策: 経営陣が自らバリューを日々の行動で示すことが重要です。リーダーが率先してバリューを実践することで、メンバーもその行動をモデルにしやすくなります。特に、難しい局面でバリューに基づいた意思決定を行う姿勢を見せることで、メンバーの信頼と共感を得ることができます。
まとめ
バリューの策定と浸透は、企業文化を形成し、チームの方向性を一貫させるための重要なプロセスです。しかし、美しい言葉だけを並べるだけでは、メンバーにとって「響かない」バリューになってしまいます。経営者自身が体現し、メンバーと共に作り上げることで、バリューが「生きた指針」として機能し、企業の成長に寄与します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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