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アルフレッド大王 No.7(326)
ちょうど半世紀前、アルフレッド大王とデーン人との戦いを描いた『アルフレッド大王(Alfred the Great)』を劇場で観ました。オイラは、その時、まだ中学生。
greatという形容詞にthe がついて「the Great」になると「大帝」とか「大王」になること、その映画で初めて知りました。
今のイングランド(グレート・ブリテン島、以下、ブリテン島)はローマ時代、属州のブリタンニアでした。住民はケルト系ブリトン人。ガリア人、ゲルマン人は兵士として渡来。ブリテン島の南部には、五賢帝の一人ハドリアヌスが築いたハドリアヌスの長城があります。
ユトランド半島(現在のデンマーク)が鍵!
民族大移動が起こった5世紀、北方系ゲルマン人デーン人によって圧迫され、ユトランド半島の付け根~北ドイツ低地にいたザクセン人(サクソン人)、ユトランド半島のアングル人、ジュート人がブリテン島に上陸します。そして、デーン人はユトランド半島にでーんと腰を据えちゃいます(笑)。
アングロ=サクソン七王国(ヘプターキー)
ヘプターキーとは、ブリテン島の南部から中部にかけて建国された7つの王国のことで、古代ギリシア語の「7=ヘプタ(ἑπτά)」と「国=アーキー(ἀρχή)」の造語。
「アングル人の土地」イングランドの名前の起源となったアングル人が建国したのが、ノーサンブリア王国、マーシア王国、イースト・アングリア王国の3つの王国。
アングリアに住むサクソン人、のちにアングロ・サクソン人と呼ばれる人々によって建国されたのが、ブリテン島の南部にエセックス王国、ウェセックス王国、サセックス王国。そして、ジュート人がブリテン島の南東部に建国したのがケント王国。
9世紀初頭、ウエストサクソンに由来するウェセックス王国のエグバート王がブリテン島を統一し、ヘプターキーの時代は終わりを告げました。
8~11世紀、北方系ゲルマン人であるノルマン人はヨーロッパ各地に出没し、ヴァイキングと呼ばれ、人々から恐れられていました。北ヨーロッパにあるスカンジナビア半島一帯に点在するフィヨルド(ヴィーク)に住むノルマン人だから、「ヴィークの人々」でヴァイキング。
怖ろしいヴァイキングのうち、ブリテン島やアイルランドに来襲したのがデーン人。5世紀に自分たちをユトランド半島からブリテン島に追いやったあのデーン人が、またやってきたんです。
アルフレッド大王
劇場で観た『アルフレッド大王(Alfred the Great)』に描かれていたのが、9世紀末のウェセックス王アルフレッドとデーン人との戦いでした。海上で敵を迎え撃ち、上陸を阻止した初めての君主として、アルフレッド王はのちに英国海軍の父とも呼ばれます。そして、878年のウェドモーアの和議によって、南西部をウェセックス王国が支配し、北東部はデーン人の領域(デーンロウ)に。
法律を整備し、学問を奨励して王国の基盤を作ったアルフレッド王はのちにアルフレッド大王と称されることに。『アルフレート』はスメタナと共にチェコを代表するドヴォルザークが作曲した最初のオペラで、アルフレッド大王の物語。
振り返ってみれば、オイラが歴史やヨーロッパに興味を持ち始めてから半世紀が過ぎちゃったんですねぇ。専門バカになりきれず、その分野でgreatにはなれませんでしたが、アルフレッド大王の映画との出会いが、人生における楽しみの幅を広げてくれたことは間違いないようです。改めてアルフレッド大王に感謝。