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感染症に負けない!

こんなタイトルの冊子を見ました。

小麦を食べる欧米に比べて、米を食べるアジア諸国では武漢肺炎の感染者だけでなく、重症者の割合や致死率が低いというのです。

先生が引用したグラフには、縦軸に100万人当たりの感染者数、横軸には年間の米の消費量が。さらに、次のグラフではアジア9か国の感染者数と米の消費量。

その上、日本での年代別感染者数と米の消費量までありました。じっくり読んではいませんが、趣旨は和食が唾液、腸内環境と関係し、体の芯から温めて免疫力アップするからいいのだ、ってところでしょうか。

でも、マス・○ミと違って、この先生、切り取り、ねつ造による印象操作を目指している訳ではなさそう(笑)。

では、オイラの解釈を少々。

この先生が引用したグラフは観察研究によるものです。観察研究においては、喫煙や飲酒といった嗜好や、ハグする、キスする習慣が介在していても排除できません。これを人為的操作ができないと申します(笑)。

一方、薬や手術による治療効果を調べる介入研究では、人為的操作を行います。念のため申し添えますが、この人為的操作って、怪しい意味ではありませんよ、マス・○ミの印象操作なんかと違って(笑)。

人為的に操作を加える=ランダム割り付けする」ってことの意味についてこれまた、補足を。様々な条件があるのに、その影響を排除しないまま結論を導いても、調べたい要因と結果との間に因果関係があると言えません。ですから、正確を期すために、人為的操作を加えなきゃならないんです。

じゃ、人為的操作を加えられない観察研究で、因果関係があるって言うのは、簡単じゃないってこと? そう、その通りです!! あなたはエライ!! 

先生が引用したグラフは、比較している国における習慣文化の違いといった背景が、まったく考慮されていません。キスやハグする文化を持つ欧米とアジアの国との違いに目をやることなく、結論を急ぐと、米の消費量感染(イベント発生)との間に、見かけ上の相関関係が生じちゃうんです。

これが米じゃなくて、「アイスの消費量が多い国は、感染症が多い」って言われると、「あれ❓」って思うでしょう。

これを業界用語で、「交絡が起きている」って言うそうです。交絡とは、データ解析における因果関係の判断を惑わせる要因のこと。

端的に言えば、米の消費量感染という結果との間は、直接、でつながっていません(笑)。両者の間には交絡要因が介在し、「米の消費量 ⇐ 交絡要因 ⇒ 感染」といった構図になっていて、人為的操作を加えて交絡要因を取っ払っらわないから関係があるように見えてしまっているだけ。

きっと、先生の頭の中には「米の消費が減る ⇒ 免疫力低下 ⇒ 感染症の発生が増える」というルートが見えちゃっていたんでしょうねぇ、悪意はないけれど(笑)。

判断まどわす交絡要因 データ解釈 慎重に   by オイラ

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