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夏の終わりに

午後の山を歩く 自転車を押して
ただひたすら だらだらと

別にどこへ行きたいわけじゃない
登り坂だから上ってるだけ

車やバイクが次々追い越していく
その誰より後を 這うように進む

場所取りも一番乗りもいらない
意味なんて ないから

頂上に辿り着くほんの少し手前 
湧き出た虻の群れにたまらず退散

でもそれでいい だって
頂上に意味なんてないから

疲れたら岩場の陰で一休み
苔が生えるまで 

澄んだ川の流れに シャツを絞る
夕方の木陰はもう 秋のにおい

 〇  〇  〇  〇  〇