展覧会
やけに晴れた秋と夏の間みたいな日
君と絵を見に行った
やたら人が多くて それでも気にせず
ゆっくり ゆっくりと 一枚一枚
君は確かめるように 眺めてた
血の滴るヨハネの首と サロメのまなざしに
思わず息をのんで 君の背中を見た
小難しい話なんて よく分からないけど
描きたくて描いた絵なんかより
描かずにいられなかった絵を見たい
帰りの喫茶店 チーズケーキをつつきながら
コーヒーを飲む君と そんな話をしたのは
いつの秋だったか それとも
あるいは他の 誰かだったのかさえ
もう上手くは 思い出せないけど
まだ夏の顔をした雲が西へ伸びる
遠い秋の入り口の午後にひとり
いつか見た絵を 見に行く
※画像は Gustave Moreau『L'Apparition 』(1876-1898)
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