君の夏に
だってそうじゃない そう言って君は
靴下も履かずに サンダルで出ていった
傾き始めた午後の太陽は けだるく
赤みを帯びて 早くも夕立のにおいがしてた
途方に暮れた僕は 追いかけることもせず
テレビの高校野球を ぼんやり眺めてた
何を話したかも 君の顔さえ 覚えてないのに
ライン際に落ちた打球と歓声だけが はっきりと
多分今は 違う町で違う人と暮らす君は
お互いどれだけ 違ってしまったのだろう
湧き上がる黒い雲 突然の通り雨
上手く泣けない君と僕のかわりに 空が泣いた
あの夏も この夏も 同じ雨雲の下
同じ痛みが今も この胸でうずいてる
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