2022年4月17日(土) 「ベイビーわるきゅーれ」「黄龍の村」(阪元裕吾)
早めの時間からビールを飲みはじめて最近毎日飲んでいる。今日の一杯目は山王ブルワリーのKAORUという銘柄で、こういうIPAがもっと飲みたい。
noteをはじめて1週間経って、映画を観るか酒を飲むかしないと日記に書くことがないとわかったので、このブログの名前を「映画と酒の日記」に変更した。
それで今日は目黒シネマで阪元裕吾監督の特集があると知り、「ベイビーわるきゅーれ」はジャック・アンド・ベティで予告編を何度か観ていたし、それを知りながら見逃していて、そのときは阪元裕吾の名前すら知らずに、明確に見に行かない意思決定をした感覚がある。
阿久津さんと飲んだ時に、「大地も俺も作家主義に囚われているからね〜」と話していた記憶が蘇る。結局、監督名を知っているか、あるいは信頼のおける第三者からのレコメンドがない限り一本の映画すら見に行けないのだ。その信頼のおける第三者の代表格が蓮實重彦で、彼がリドリー・スコットを全否定すると、リドリー・スコットを肯定的に捉えられなくなる程度の脆弱さだ。
その後、2021年半ばから積極的に閲覧するようになった映画系youtuberがあちこちで阪元裕吾への熱狂や、ほとんど偏愛のメッセージをさんざ目にして、見逃してしまった感をずっと引きずっていたのだ。
だから偶然目黒シネマでの坂元監督の2本立てを見つけたときはテンションあがるし、目黒といえば世界一好きなカレー屋さんmayaがあるので重い腰をあげれば一気に楽しみになる。
mayaでバターチキンと2本目のビールをあけながら、すっかり幸せな気分になり、いよいよ目黒シネマ。「ベイビーわるきゅーれ」と「黄龍の村」を2本続けて大変楽しく観て2本立てでもトータル150分くらいでバットマンより短くていい。
阪元裕吾はジャンル映画の登場人物である紋切り型の「殺し屋」という存在を一般人との境界はほとんどないということを描く。
たとえば、「ベイビーわるきゅーれ」は、殺し者として超カッコいいのにもも関わらず、日常はバイトの面接すら落ちまくる社会不適合者であり、僕らと同じように「布団から出たくない」「働きたくない」と嘆く姿を見たり、友達に言い過ぎた夜は自己嫌悪に陥る。
メイド喫茶で知らない人だらけの飲み会にまぎれこんでしまい、下手に注目されてしまった瞬間の居心地の悪さは最高だ。途端に生まれてごめんなさいという気持ちになるのは、殺し屋のまひろと(他人からはそう思われないが)ただの人見知りな僕と変わらないのだ。
「黄龍の村」でも復讐者とただの大学生は断絶しない。冒頭/ラストシーンと対称的に描かれる、かつて大学生であった者であれば誰もが「やってしまった」記憶のある飲み方(それをスマホで映像に撮られる時代でなくて本当によかった)をするただの大学生4人の飲み方と、復讐を終えた4人の飲み会の違いは、観客にとっては一切変わらないのだ。復讐者も復讐をしていないときはただの大学生なのである。
しかい、まひろは、友人のお願いに「もう、1回だけだよ〜」、「黄龍の村」の復讐4人組は「青春を取り戻しにきた」という合言葉で、彼らは殺し屋/復讐者となる。それは日中はプロフェッショナルである僕らが仕事のスイッチが入る瞬間となんら変わらないのだ。
どちらも大変おもしろかったのだが、個人的には「黄龍の村」のやべえ村に迷い込んじまったところからミッドサマー的な話が始まるのかと思いきや予想外な爽快さが心地よく、また、いかにも主人公顔の水石亜飛夢が生き残り復讐劇を果たす話なのかと思いきや、次の瞬間に殺されて、実は主人公そっちじゃなかったという展開は、去年「ザ・ハント」に当てられた身としては、日本でついにブラムハウス映画を撮れる監督が現れたぞ、と嬉しくなる。
さて、映画が終わってもう少し飲みたい気分だったので目黒の鳥芳。
昔来た記憶はあるが、別の店だったかもしれない。男女の客がいちゃこいていたり、隣に座っていたおじさんが店主や若い女性店員に絡んでいてお店の民度が低い。
働きはじめて2日目という20歳の中国人の店員さんに直接「かわいいじゃん」「日本語わかりますかー?」と絡むおっさんは、ここまで誰にも矯正されなかったのだろうか。居心地の良い場所にだけ居続けることの危うさ、とう言葉が思い浮かぶ。僕はいろいろな店を回りたい質だから、顔と名前を覚えられるほど常連になれたことはあまりない。
目黒は民度が高く「かっこいいお客さん」が多い印象があったのだがそれはかつて不動前に住んでいた、10数年前の記憶で歳とともに目黒は朽ちていったしまったのか。
「ベイビーわるきゅーれ」の伊澤彩織のyoutube見て、すっげえってなる。ここから彼女はスタントウーマンだけでなく、女優としてどんどん出てくるし、美しくなるんだろうなと思う。
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