見出し画像

他者とかかわる料理

友人が韓国出張のお土産にと、胡麻油をくれた。
韓国海苔だけのつもりだったようだが、私が自炊をすると知って、それならば…と追加してくれた。「SESAME OIL」と印字されたグレーのスティック・タイプで、オシャレだねぇと言うと、現地の百貨店で買ったとの事だ。同時期に韓国を訪れていた父からのお土産は、とてもカラフルで、目の付け所によってこんなにも「韓国」そのもののイメージが違ってくるのかと驚く。胡麻油はチャーハンに使った。なかなかよい出来だった。

姉夫婦の家はとても近い。私の家にはTVが無いので、どうしても観たい番組がある時には寄らせてもらう。いつでも来て良いよと言われているのだが、平日の夜に(義理の)妹がのんびりしていたら嫌ではないか…?と懐疑的になってしまう。そこで、急ぎ、ブリ大根と酢蓮根を仕込む。味が薄くなるのを避ける為に水を使わないことにしている。酒とみりんを沸騰させてアルコールを飛ばしてから、砂糖と醤油を加えて煮立たせる。大根はあらかじめ下茹でしておき、ブリは綺麗に洗ってから、さらにお湯をかけて半生状態にする。そうして臭みを流しておく。すべてを鍋に入れて、短い時間だけ火にかける。火を止めて、あとは味が染み込むのを待つだけ。
最近は、スーパーで28円の麺類×4パックをまとめ割の96円で購入している。それを基にメニューを組むので、炭水化物が中心になりがちである。お腹は満たされるが、心が満たされないことが増えてきたので、ありとあらゆる野菜と安売りのお魚を買い込んだ。姉夫婦の家を訪問することが急に決まって、自分を労わるための食材が、他者とかかわるための食材に様変わりした。姉はすっぱいのが苦手なので、酢蓮根には砂糖を多めに入れる。ブリ大根の味見はきちんと小皿にとってする、衛生も考える。他者のことを考えながら料理するのは久しぶりで、ドキドキした。2人に食べてもらっている間も、美味しいと言ってもらった後もドキドキは止まらず。作り手の緊張感を知っているので、旦那さんが作ってくれていたチャプチェを1番に平らげるようにした。姉が買ってきたという梨も剥いてもらったのだが、それも美味しい、美味しいと言って食べた。姉は「もうちょっと甘いほうが良くない?」と不服そうで、やはり自分が用意したものに対するジャッジは厳しくなるものなんだなと思う。
これは楽しい食卓と言えるのだろうか…?他者にかかわる料理のゴールを、美味しいと言ってもらうことに設定すると、皆んなに自分の緊張感を伝播させてしまう。TVを見せてくれてありがとうって伝えたくて料理を作ったんだ〜!って、それだけで良い気がする。美味しい、はプラスαと思うことにしよう。2人と一緒にご飯食べられて嬉しかったよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?