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「何故、カフェを始めようと思われたんですか?」

何百回もされた質問だ。

そう、中華料理屋さんでも、洋食屋さんでも、ベトナム料理レストランでもなく

カフェ。それも、ギャラリーカフェだ。

それ以外であれば、お店のオーナーにはならなかったと思う。

そもそも、料理人という自覚がない。

料理人、シェフと一緒にお店をするという選択肢があればそれもありだと思うけど、残念ながら、たったひとりでこの船旅に出た。

影響を受けた店がある。

渋谷Bunkamuraが創業された時にオープンした「ド・マーゴ」というカフェレストラン。

だが、正確にはその店が名前の由来にしたフランスの「ド・マーゴ」というカフェ。老舗のカフェで現在もあるらしい。

渋谷のお店がオープンした頃、偶然訪れ

お店の入り口にパリのカフェのことが書かれたものを読んでピンと来た。

パリの文化人がそこに溜まり場のようにして集まり、コーヒーを飲みながら

芸術論などを語り合っている。友情や恋愛がそこで生まれ、マダム(マスター)は、それを優しく見守っていて、陰でお金に困っている芸術家の手助けをしてあげたり、人と人とを繋げてあげたり。

そんな文化の拠点となる飲食スペース、それがカフェなんだ!

そんな場所を私も作ってみたいという思いがふつふつと沸き上がって来たのだ。

それは、ただのカフェ巡り好きの中年女性のぼんやりとした憧れだったが、次第に、カフェを実際にやらなければ、一生後悔するだろう。

そんな風に思うように、いつしかなっていた。


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