3マンスプリットツアー「BAND BOOM」@大阪GORILLA HALL OSAKA
今回はワタシの好きな音楽のテイストからはすこし離れたところのバンド3組を1日で観れるというお得なイベントにお邪魔した。それが3マンスプリットツアー「BAND BOOM」である。
事前にこのイベントがあることは知っていた。しかし、自分の好きなジャンルとは異なるため行くかどうか迷っていた。そのため、チケットの確保は当日となりSNS経由で譲り受けることができたので感謝である。
大阪GORILLA HALL OSAKAを訪れるのは2回目。
このライブハウスは出来てまだ新しい所であるため、設備や音響とも非常に良い。個人的には好みのライブハウスである。今回は2階が開放されていなかったのが惜しかった。しかし、キャパの大きいライブハウスだからこそ1階のフロアが広く、今回は観客がぎゅうぎゅうになることなく快適な状態で観ることができた。
アーティストレポ
すべてのバンドが初見、かつ楽曲の予習もあまりせずに訪れたため、偏った感想になることを了承ください。
SIX LOUNGE
大分発の3ピースバンド。チケットを譲ってくれた方の推しだったため、その方について前方で彼らの演奏を観た。
会場の熱はまだ高まり切らないままに始まるが、彼らのロックンロールはすでに熱かった。
Gt/Voヤマグチさんは一目見たときにTHE BACK HORNの山田さんっぽさを感じた。強くも甘い声という印象が強い。
Ba.イワオさんは観客側に向いて弾く姿が多く、ファンとの対話をしているかのように歌詞を自ら歌っている様子がみられた。
Dr.ナガマツさんのスラっとした姿から繰り出される音に驚いた。
見た目とは異なり、ガツンとくるドラムを叩く。びっくりした。
このバンドは「リカ」が有名ではあるが、今回のセットリストで胸を打たれたのは新曲の「Madness」である。
「Madness」はFODオリジナルドラマ『REAL 恋愛殺人捜査班』のために書き下ろされた楽曲である。そのため、「恋愛感情のもつれによる犯罪特別対策班」がテーマとなっているため、そこから生まれてくる感情"愛憎"や"狂おしい愛"がそのまま反映された歌詞になっている。
このフレーズの「人は誰も」の部分におけるヤマグチさんの音程の上がり方がとてもまろやかで甘い。
ほんの一瞬だが、この一瞬でこの楽曲に惚れた。
歌詞なんてその場ではわからないので後追いで調べるのである。
MCではヤマグチさんが3か所だけのスプリットツアーじゃ足りないとのことで、全国でライブがしたいとの話が出た。
そう、それくらいの勢いがあるんだ。非常に勢いを感じた。
w.o.d
兵庫県出身の3ピースバンド。
彼らのホームである関西での演奏を魅せてくれた。
彼らの演奏を聴いて、ワタシは目の前でカラフルで幾何学的でソリッドな音を聴いているような気がした。
w.o.dの音楽という法則性は持つが、そのなかで繰り広げられる音楽はとても多彩なのである。
Vo/Gtサイトウさんは遠目から見るとTHE YELLOW MONKEYの吉井さんを若くしたような風格を感じた。(これは個人的見解です)
「BAND BOOMってなんですか?」というサイトウさんのMCには笑ってしまった…大勢の前で話すのはあまり得意ではないのだろうか。ちょっとへらへらしながら話す彼の姿は可愛らしさも感じた。
彼らのセットリストのなかで刺さった楽曲は新曲である「喜劇」である。
この曲が始まると赤一色の照明を斜めから照らす演出がこの楽曲と合致していた。その景色がとても印象的である。
イントロから聴こえる音はどこか寂し気で廃れたような印象をもち、ひとりぼっちでとぼとぼ歩くようなシーンが思い浮かんだ。サビに入り、胸のうちにあるエネルギーを表現するような激しさをもつ音楽になり、アウトロではイントロと同様の寂しさを感じさせる。楽曲の中で緩急をつけ、最初と最後は同じ曲調でまとまっているクールな楽曲だ。
この楽曲をはじめ、セットリスト全体ではつんざくようなベースの音が耳に残る。ライブハウスを低音で揺らすような感じで、ベースに魅了された。
a flood of circle
大阪公演のトリは彼ら、a flood of circleだ。
このバンドを見たのはいつぶりなんだろう、というくらい間が空いている。
その間にメンバーの出で立ちは変化して、よりパワーアップしていた。
彼らの演奏のときは、照明は1パターン。
そこから伝わるのは「俺らの音楽を聴け」といわんばかりのストレートさである。
Vo/Gt佐々木さんは今日も変わらず革ジャンを着て、途中に酒を飲みながら目の前の観客に真っ向から歌ってくれたのだ。
如何様師のバラードでは、佐々木さんがマイクをもってフロアに降りてワタシの目の前を通過していき、観客と同じ目線で歌い上げていた。フロアに降りて来るんだ…
ただ言える、アツい。本当にガツンとくるアツさ。
男、佐々木亮介の歌がここにあり。
泥臭いんだ、彼らの音楽は。でも、それが彼らの魅力。
今回のセットリストで印象的なのは、FM802DJである深町さんがおっしゃるとおり、ワタシも「Honey Moon Song」にやられた。
ワタシは人生における自らの立ち位置を迷っている。
この先どうなるんだろう、と不安が強いなかで毎日を生きている。
色んな理由をつけては現実を変えることを避けてきたような気がする。
そんな心境で聴いたこの楽曲が胸を打たれたのだった。
我慢して苦しんでなんとかやってきた。
でも、新たな場所に行きたいと願う自分の背中を押してくれる歌詞と音楽に自然と涙がこぼれた。
彼らの音楽は何の濁りもなく、ただ純粋に胸にストレートに伝えてくるのであった。
※Instagramの投稿は利用ユーザーしか見れないようなのでご了承を。
各バンドとも、そのバンドごとのロックンロールを体現しているような公演であった。お互いの曲をカバーするようなレアなコラボもあり、リスペクトするからこその演奏なんだろうなと感じた。
ラストはSIX LOUNGEのヤマグチさんとw.o.dのサイトウさんが登場し、ボーカル3人で「The Beautiful Monkeys」を披露。会場のボルテージは上がり、ダイバーが現れ、観客同士でぶつかり合い、フロア中央前方はもみくちゃになっていた。これぞロックバンドのライブか、と目の前の光景を見ていた。
足を運ぶか迷ったライブであったが、結果としては行ったことでの満足感がとても高かった。改めて、音楽って最高だな。