シェア
「災難だったな。地獄の中の地獄で有名だぞ、あの部署」 仲のいい同期が肩を叩きながら慰めて…
「いってきます!」 彼は元気よく家を飛び出した。今日も今日とてなんてことない朝…… ……な…
シン・始皇帝。そう呼ばれる英雄が数百年前にいたとかいなかったとか。そんな伝説がぼんやりと…
椅子に座って早20分がたっただろうか。 何かをふと思い立って机に向かってペンをとったのだが…
寒さ、と一言で言っても様々な寒さがあると私は思っている。 私には好きな寒さがある。『寂し…
大都会。そこで暮らす若者たちが集まる渋谷の中心は日本中の喧騒が集められたのかと思うほどに…
パシャッ…… 僕は何も無い青空をフェンダー越しに覗いた。 僕はいつからか、景色だけをカメラに収めるようになっていた。その写真は枚数だけが溜まっても画角は何ひとつ変わっていない。 その理由はわかっていた。写したい「被写体」が無くなってしまったからだ。 僕がファインダーを覗くようになったのは大学1年生の夏休み前。大学の中庭のベンチに腰掛ける彼女を思わずスマホのカメラに収めたあの日だった。 カシャッ…… 「え?」 「あ、ごめんなさい。すぐ消します」 「ううん。どうし
キュッ……キュキュッ…… リノリウムの床と上履きの擦れる音が人が少なくなった廊下に響いて…
1枚の枯葉が風に押されて冷たいアスファルトの上を滑っていく。笑う君の顔がぼんやりと霞み始…
ザッ…… 僕は暗い路地裏から大通りを覗いた。そこには溢れんばかりの人が行き交っていた。 …
ギギッ… 手にくい込むほど強く握ったフェンスは錆だらけで今にも切れてしまいそうだった。 …
さっきまで手に持っていた箸を置いて代わりにジョッキを握るようになった頃。僕は居酒屋の喧騒…
「ねぇ、昨日の夜どこに居たの?」 彼女と同棲してる部屋でふたりで昼食を取っていた時、不意…
ガタンッ…… うつらうつらしていると地面が大きく揺れて隣の人と肩がぶつかった。 「……すいません」 顔も見上げずに小さく頭を下げた僕は指を引っ掛けていた吊革を握り直した。 AM8:17。大学へ向かう僕を運ぶ電車は大きなカーブを曲がってトンネルに向かって勢いを上げた。 ファン! 警笛を高らかに鳴らし、衝撃音とともにトンネルへと突入した。 さっきまで街並みが流れていた車窓が真っ暗になり、そこには就活に疲れた男子大学生の顔が浮かび上がった。 「……おっさん」 その