がらなが

性癖を探し求めるオタク

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終末世界のモラトリアム

 かろうじてアスファルトの体裁を保っている道路を息を切らしながら走っていく。  靴の裏で何か硬くて小さい物を踏む嫌な感覚がしたが、気にしないようにした。二十歳そこらだからまだ体力は衰えてないが、追いかけ回されて走るというのはかなり疲れる。 「お前今、歯踏んでたぞ!永久歯か乳歯のどっちだと思う!?」  後ろから脳天気で弾むような声がする。色々言い返そうとしたがやめた。長く喋れば舌を噛みそうだ。 「良いから黙って走れ!」  俺達の後方から、狂ったように鳴く犬の鳴き声がどんどん近

    • いわく付き道具の鑑定人

       俺の前には5つの拳銃が置かれている。それを置いた男は辛気臭い顔をしていて、目の下には濃いくまが染みついていた。  拳銃と辛気臭い男の後ろにも数人、スーツを着た人間が俺の動向を睨むように観察していている。その中で一番小綺麗で身なりの整った女が俺に近づいてきた。 「3日前、近くの集落で少年が行方不明になりました。その少年は妙な道具を持っていて、その道具を見せびらかすために友人達を引き連れてこの森に来ていたそうです」  張り詰めた緊張感が辺り一帯を占めている。しかし、女の声に緊