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茜図短刀鐔が届きました


おかえりなさい

装剣金工師の片山重恒様にお願いして制作していただいた
『黄銅地茜図短刀鐔』が我が家に到着しました。
「長旅を終えて、ついに我が家に来た」という流れなのですが、
妻の名前の花をモチーフにして、既にすごく色々と感情移入してるので、
「おかえりなさい」と言って迎えました。
完成してから、1年経っての帰宅となりました。

黄銅地茜図短刀鐔(表)
黄銅地茜図短刀鐔(裏)


喜ばしく、誇らしく

完成後の1年間は、
東京の両国にある日本美術刀剣保存協会の刀剣博物館と、
岡山の瀬戸内市にある備前長船刀剣博物館で展示されていました。

約一年の旅路

 
思いや願いや色々を込めた鐔を、大勢の方に見てもらって、
その存在を知ってもらえるというのはとても嬉しかったです。
なんというか、込めた思いの存在強度が上がった気がします。
他者からの観測によって実存が確定した、みたいな。
ローカル保存データがクラウドに移行した、みたいな。
――いや、ちょっと表現が難しいのですが。

自分自身も東京と岡山に行き、それぞれの展示を見てきましたが、
それが今、自分の家にあり、実際に触れられるというのが、
なんだか不思議な気分です。
 

同封されていた感動

片山さんからお送りいただいた荷の中に、封筒が入っていました。
なんだろう、領収書とか? と思って中を開けてみると、
水色の荷札? 伝票? のようなものが……

オンリーワンにもほどがある

現代刀職展にエントリーした際の受付票でした。
おそらく作品を持ち込んでエントリーする際にこれを書き、
作品に上を付け、切り取り線から下の引換券を制作者が手元保管し、
選考後、あるいは展示期間終了後にこれを持参して作品を受け取る、
というようなものだと思います。
片山さんの場合は岡山県から郵送でのエントリーなので
そのまま作品と一緒に同封されてきたんだと思うのですが、
注目ポイントは中央に書かれた赤字の「会長1」の文字。
これ、
「日本美術刀剣保存協会 会長賞 第一席」
という特賞受賞の書き付けですよね……

作家さんにとっても記念の品なのでは? と思って、
これを見た直後に片山さんにtwitter でDM を送って、
「同封されていたのですが、頂いても大丈夫なものですか?」
と、確認を入れました。
もちろん大丈夫だから入れてくれたんだと思うのですが、それでも。
結果、
「職人にはいつもの物ですが(一般の方には)珍しいかなと思って」
との事でした。
珍しいどころか、一生拝む機会がないレベルのもので、
とても嬉しく、お礼と感謝をお伝えしつつ、小躍りして喜びました。
鐔と一緒に、ずっと大切にしたいと思います。
 

壇に供えてみた

妻側の家系とうちの家系の特殊な事情のせいで、
妻には位牌と霊璽がある、という不思議な状態になってます。
本来、仏教なら仏壇に位牌、神道なら祖霊舎に霊璽、となるのですが、
うちはその両方があって、線香立てがあって鏡があって、
米と塩があって、なんかすごい事になっています。
宗教に厳密な方からしたら「けしからん!」という感じですが、
うちの妻はこういう所に寛容だったので、まぁいいだろう、と思ってます。
そもそもそういう事を言い始めたら我が家は神道の家系なのに、
私自身は高野山大学密教学科卒で真言宗の権大僧都の位持ちだしなぁ……

お花増やしすぎな感はありますが

ともあれ、壇に茜図鐔を供えて手を合わせました。
めっちゃ綺麗でしょ、茜の花の鐔だよ、と――
 

短刀と鐔

短刀と鐔が揃ったので、一緒に飾ってみました。
感無量です。

鐔と白鞘袋。

鐔と白鞘。

とりあえず一枚の写真に収めてみた、という感じなので、
鐔の飾り方も考えないとなぁ、と思うのですが、
空気にさらしていいのか光に当てといていいのか、湿度管理は?
など、色々悩ましい事が多いので一旦、鐔箱の中に納めています。
 

しみじみと

短刀に合わせて、茜の図柄の鐔を作っていただきたい、
と考えた所からここまで来ました。
あの時、思い切って良かったなぁと思います。

仮に、時代物の茜図鐔を見つけて入手したとしても、
こんな経験はできなかった訳で、御縁とめぐり合わせに深く感謝です。
  



 
#刀 #日本刀 #短刀 #鐔

 
ヘッダー画像:自撮り写真・黄銅地 茜図短刀鐔


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