自分にとっての、理想の短刀を考えた結果、 これはもう作刀依頼するしかない、と思い至り、 刀匠にお願いをして短刀を打っていただきました。 そして、そこに色々な思いを込めながら、 鐔、目貫、縁頭と進んで行く様子をまとめました。 以降も、短刀に関する記事が増えたら、ここに追記していきます。 ※ 画像クリックで、各記事へ飛びます。 【短刀】『作刀依頼にて短刀を願う』 欲しい短刀について考えた結果、刀匠に頼むしかないと思い至る話。 『刀匠とのキャッチボール』 希望の姿を考えて、
価値観はひとそれぞれ、とはいえ ある博物館の刀剣展示に対して、 「人殺しの道具に美術的、文化的価値なんてない」 みたいなコメントをしている人がいました。 まぁ、価値観は人それぞれだし、そういう人もいるよね。 ただ、一応言っとくぞ。 パソコンもインターネットも、スタートは戦争の道具だからな! そんな昂ぶる感情を抱えたまま、ちょっと色々調べてみました。 「国宝」 国宝の件数は、2023年1月1日の時点で、1,132件。 大カテゴリーで分けると、 ○ 建造物
短刀の拵製作までの道のり 短刀の刀身ができ、鐔ができました。 縁頭と鐺ができ、目貫ができました。 一般的な拵製作依頼だとこれくらい揃っていれば頼めるのですが、 茜図短刀鐔には小柄櫃孔が開いています。 小柄を通す穴だから小柄穴、と呼ぶパターンもありますが、 「小柄櫃」というのは、鞘に作られた小柄を差す溝の事です。 位置関係を見ていただければなんとなく分かる通り、 小柄櫃孔というのは、刀を抜かずに小柄だけを抜けるように、 鐔に開けた孔のことです。 もちろん、鐔に小
おかえりなさい 装剣金工師の片山重恒様にお願いして制作していただいた 『黄銅地茜図短刀鐔』が我が家に到着しました。 「長旅を終えて、ついに我が家に来た」という流れなのですが、 妻の名前の花をモチーフにして、既にすごく色々と感情移入してるので、 「おかえりなさい」と言って迎えました。 完成してから、1年経っての帰宅となりました。 喜ばしく、誇らしく 完成後の1年間は、 東京の両国にある日本美術刀剣保存協会の刀剣博物館と、 岡山の瀬戸内市にある備前長船刀剣博物館で展示され
衝撃 短刀を作刀していただいた助光刀匠が、 注文打ちの受注を終了する、との事です。驚きました。 経営の難しさ 驚きました――とは書きましたが、 ブログをずっと追っているので経営が大変だというのは知っていました。 助光刀匠のブログではちょくちょく出てくる話題で、 刀鍛冶という職業がどれだけ大変かというのが伺いしれます。 刀を打つには玉鋼などの原料、松炭などの燃料が必要で、 長い時間をかけて鋼を鍛え、刀の姿を作っていきます。 ですが、焼入れの際に刃切れが起きれば全てが
「今年のこと」で書いたこと今年1月の記事の後半で、順調に行けば今年はこの辺が進むはず―― みたいな記事を書きました。 今回は、これが今、どんな感じなのかざっくり まとめ。 1年も 1/3 が終わりましたのでね。 …… え? もう? そんなに? 鞘書きの入った白鞘が――届いた 「1月中に完成予定です。」 と、書きました。 無事、予定通り完成し、手元に到着。 素晴らしい字形で、お願いして本当に良かったです。 作刀依頼した短刀が、どこまでも自分好みになっていく喜び
テーマ展『鐔の世界』へ 令和6年2月10日(土)~4月21日(日)の10週間に渡り、 備前長船刀剣博物館にてテーマ展『鐔の世界』が開催されています。 14世紀の室町時代から、安土・桃山時代、江戸時代、現代まで、 様々な時代の鐔が合計 110点 展示され、そのうちの1点として、 うちの『茜図鐔』が展示される事となりました。 前回行った時も『茜図鐔』を展示していただいていたのですが、 その時はあくまで短刀が主役。鐔は添えられた形でした。 でも今回は鐔が主役です。 なんせ鐔
鞘書を守りたい 「この短刀には、できそうな事を全部してやりたい」 ――そんな思いで、フル装備フルカスタムを進めています。 今回考えたのは、白鞘袋でした。 普通の白鞘であれば凹んでも水気を含ませて復元できたり、 汚れても表面を削って新品同様にできたりしますし、 なんなら丸ごと新調したりもできる訳ですが、 鞘書が入った白鞘だと、なかなかそうは行きません。 鞘書入りの白鞘を、できるだけ大切に保護したい。 その為に重要なのが、白鞘袋です。 短刀が完成し、最初に送っていただいた
刀の写真は難しい 年頭に書いた記事「昨年のこと、今年のこと」の中で、 コレクション情報様の刀剣撮影サービスに乗り気、と書きました。 理由は色々あるのですが、一番の理由は自分に撮影機材と技術が無いこと。 スマホのカメラはダメになってる。デジカメもコンパクトなやつしかない。 撮影用の空間や照明も、適切なものが用意できておりません。 とはいえ、自分の愛する刀の、しっかりした写真は欲しい。 特に自分の場合、写真をあれこれ加工するのが大好きなので、 充分な大きさ、解像度の画像が
テーマ展『鐔の世界』 令和6年2月10日(土)~4月21日(日)の10週間に渡り、 備前長船刀剣博物館にてテーマ展『鐔の世界』が開催されます。 14世紀の室町時代から、安土・桃山時代、江戸時代、現代まで、 様々な時代の鐔が合計 110点 展示されるという鐔特化の展示会となります。 110点の中で、現代の作は4点。 そのうちの1点として、うちの『茜図鐔』が展示される事となりました。 公式ページのリストには、それぞれの鐔の 名称(呼称)、銘文、横幅、時代、所蔵が記載され
鞘書とは 鞘書(さやがき)とは、刀を保管するための白鞘に、 筆と墨で文字を書くこと、また、そうして書かれた文字の事です。 なぜ白鞘に字を書くのか、というのは色々な理由があるのですが、 事の起こりは、名刀を数多く所蔵していた大名家が、 刀を鞘から抜かなくてもどれがどれか分かるよう分類記号を書いた、 というのが始まりのようです。図書館の背表紙の分類番号みたいな感じ。 刀剣類はある程度のサイクルでお手入れをする必要があります。 何十振りとある刀剣を手入れする中で、うっかり見落
目釘抜きとはなんぞや「目釘抜き」というのは、目釘を抜くための道具です。 「目釘」というのは、刀の刀身と柄(つか)を固定する小さいパーツです。 目釘はほとんどの場合、竹を削って作られます。 ぎっちり詰まった繊維質が、折れたり割れたりしにくく、丁度良いとか。 柄には刀の茎(なかご)を差し込む為の穴が空いています。 当然、ただ差しただけだと振った瞬間外れてしまいますので、 柄と刀身を貫通させる形で目釘穴(めくぎあな)という穴を開けます。 そして、目釘穴に目釘を通すことで、振って
年始なので、昨年の大きな出来事を振り返りつつ、 今年の展望をざっくりまとめてみようと思います。 昨年のこと鐔が特賞に輝いた 6月22日。 装剣金工の片山様にお願いしていた茜図鐔が、 日本美術刀剣保存協会主催の「現代刀職展」にて特賞を受賞しました。 亡くなった妻を偲んで茜図の鐔を依頼しましたが、こちらが賞を頂き、 東京・両国にある刀剣博物館にて展示されました。 また、作者である片山様の「名刺代わりの作品」に入れていただきました。 自身が依頼した作品が多くの方に見てもらえ
拵を直してやりたい 以前の記事で、槍の短刀拵に関して、こんな事を書きました。 拵自体を丸ごと新しく作る、という方向性も考えたのですが、 総桜皮巻きの拵という風情に惹かれて購入を決めた、というのもあるので、 このまま直せるなら直してやりたいなぁ、と思います。 いずれにせよ、「何をどうしたいか」を整理して、 それが可能かどうかの判断をしていただく必要があります。 という事で、現状の気になる点と、目指す方向性についてまとめます。 各項の記載順は、「どうにかしてやりたい順」です
専門用語の難しさ 業界、界隈の専門用語というのは色々と難しいです。 歴史と伝統がある分野だと、特に。 刀剣業界も非常に専門性の高い用語が無数にあるのですが、 ちょくちょく判断が難しい言葉があります。 要は、調べても調べても、正解が分からない用語です。 個人的には「冠落とし」と「鵜の首」がその筆頭格で、 ちょくちょく、思い出したかのようにツイートしています。 このツイートに、あれやこれや、色々とぶら下げています。 人によって、どれが何を指すかが微妙に違う問題をザックリ
そんな予感はしてた カマイタチの目貫を依頼した後のツイートです。 鐔の制作を依頼したタイミングから、合いそうな刀装具を探していました。 刀剣専門店のWebサイトやヤフオクを見て回る日々。 しかし、やはり黄銅地の刀装具は数が少ない。 どなたかにお願いしようか ―― そういえば以前、鐔をお願いした片山さんも制作依頼を受けて、 縁頭を作ってらっしゃった事があったな、とも思い浮かんだのですが、 さすがにあれもこれもと調子に乗って依頼しては図々しいかな、 と思いとどまりました。鐔を