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備前長船刀剣博物館に行ってきた


事の経緯

過去記事でも少し触れておりましたが、
作刀依頼をし、自分にとって最高の短刀を打っていただいた助光刀匠から
「長船博物館に展示する自作品として、あの短刀をお借りしたいのです」
というお声掛けを頂きました。
自分の所持品が博物館に展示される、大勢の方に見てもらえる、というのは
すごく喜ばしいことですし、光栄なことですので即、快諾。是非に、と。
そして、ほぼ同じタイミングで鐔の作成をお願いした重恒様から、
「両国から鐔が帰ってきたので、お送りしますよ」
とご連絡をいただいたので、それなら、もし可能なら……
と、助光刀匠と重恒様にご相談して、短刀と鐔を一緒に展示していただく、
という形にしていただきました。

元々、短刀の作刀依頼をし、続いて鐔の作成依頼をしました。
短刀と鐔がそれぞれの職人さんのお手元で完成し、
短刀は助光刀匠の手から、私の元へ、
鐔は片山様の手から、両国の刀剣博物館へ。
そして初めて同じ場所に揃ったのは、故郷である備前長船刀剣博物館――
という素敵な展開と相成りました。

そりゃもう、見に行くしかありません。
という事で、子供達を誘って行ってきました。日帰り岡山の旅。
 

腹が減っては戦ができぬ

岡山行きを決めたのは、11月の中旬の事でした。

土日の一泊二日にして岡山巡りをするか、
日曜のみの日帰りにするかは色々検討したのですが、
娘の部活が土曜日にあり、無理に休ませたくなかったので日帰りに。
となると、備前長船刀剣博物館とランチくらいで時間いっぱいかな、
という計算になりました。
備前長船刀剣博物館は現在、事前予約必須となっており、日程を決めたら
公式サイトから予約の手続きを行う必要があります。
この時期、国宝・山鳥毛の特別展示と重なったため、土日は激戦区。
ガンガン予約枠が埋まっていき、日程の取得に苦労しました。

本当は『備前長船日本刀傳習所』さんにも行きたかったんですが、
見学対応の時間と、長船刀剣博物館の予約が取れた時間が丸かぶりで
色々難しかった…… 次回の目的地にしたいと思います。

で、備前長船刀剣博物館の予約を入れた後で、時間を組み立て、
ちょっと早めにランチを食べてから向かうとちょうどいいかな、
という事でどこでお昼にするかを検討。
色々悩んで、決めました。焼肉ふくざき さんに。
いや、なかなかパワーのあるメニューが並んでまして。ランチ。

子供達と色々相談して、豪勢にランチを決めてきました。

息子 = 肉タワーランチ 7cm(350g)1,760円
父 = どぇれぇステーキ 1ポンド(450g)1,920円

娘はヘルシー焼肉定食みたいな感じのメニューでした。鶏肉メイン。

おいおい、ランチからすごい事になってるなぁ、って感じなのですが、
今回の旅のコンセプトは「長船の地にお金を落とそう」でした。
いや、短刀を作っていただき、鐔を作っていただき、
それを刀剣博物館に展示していただくという栄誉に預かり、
国宝・山鳥毛を見に来た人に見てもらえるという喜びですよ。
感謝の気持ちを何で表すかって、消費者なら消費するしか!(謎理論)

お肉、大変美味しかったです。みんなお腹いっぱい。
 

かくして備前長船刀剣博物館に

車で現地入りしたのですが、警備員の方に駐車場入口、駐車場内、
博物館前、博物館入り口、計4人とお会いして、その都度、
「ご予約はしていただいていますか? 何時からの回で?」
と、聞かれました。
すごく丁寧な、笑顔での対応だったので嫌な印象はないのですが、
予約せずに来ちゃう人が多いんだなぁ、とその苦労が偲ばれました。

入館して、まずは1階の展示室に。
入って左手、最初に在ったのが村正でした。真田幸村佩刀との由来。

刀 銘 村正(刃長 68.5cm)
説明文の中の「真田信繁」=「真田幸村」
伝来について書かれた書

いや、いきなりすごいぞ。備前長船刀剣博物館。
このお部屋の展示は令和5年冬季テーマ展『新収蔵品展』との事。
なるほど、新入りさんな訳か。いや、でもすごいです。流石。
 

脇差 銘 冬廣

その次に並んでいたのは冬廣の脇差。薙刀直しでいいのかな。
薙刀樋に鵜の首造りで、私の大好きな姿です。

こんな感じで色々写真を撮りながら、説明を読みながら見学したのですが、
ライティングがすごく計算されていて、とても刃文が見やすかったです。
 

頂に昇る

ホールの階段を昇ると、真正面に展示ケースが見えます。
階段の右側を昇っていると、キラリと輝く金色が目に付きます。
あれは、もしや ――

山鳥毛の特別展示室(2階)のすぐ手前にあります

現在 7名の刀匠が所属している『瀬戸内刀工会』の作品展示コーナー。
今回その中の一人、助光刀匠の作品としてうちの短刀が展示されています。

中央に短刀、その左下に鐔

たまたまこの展示のお話を頂いたタイミングと、
茜図鐔が両国の刀剣博物館から長船に帰ったタイミングが同時だったので、
助光刀匠、片山様にご相談して鐔も一緒に展示していただいたのですが、
この一角が元々『瀬戸内刀工会』の作品展示コーナーであり、
今回、助光刀匠の展示回として用意された枠なので、
鐔に関しての説明・紹介はありません。

各説明の内容

「作 片山 恒<雅号:重恒> 装剣金工師:備前長船刀剣博物館職方」
みたいなご紹介文があってもおかしくはないと思うのですが、
助光刀匠の作品展示が主題なので、鐔はそっと添えられる形です。
(12月10日現在)

でも、私達がこの展示コーナーに着いた時に、
一組前に女性の二人組がいらっしゃって短刀をご覧になっていたのですが、
その内のお一人が、ふと目線を下げ、
「あれ? これ、あの鐔じゃない? ほら、絶対そうだよ!
 片山さんの鐔! ほら、やっぱりそうじゃん!」
と、気付いて喜んでおられました。
そのお姿をすぐ後ろから拝見していて、なんか目頭が熱くなりました。

茜図鐔 近影

自分が色々な思いを込めて作っていただいた作品が、
見ず知らずの方に知っていただけている、見て喜んでいただけている、
というのが、なんかとても、嬉しかったです。

自分の妻に対する思いがなければ、この短刀と鐔は生まれていないので、
逆説的に、この短刀や鐔を色々な人に見て、知ってもらえたら、
妻がこの世にいたってことの間接的な存在証明になるんじゃないかな、
みたいな事を、極々個人的な感情として、抱えています。

背景まで知っていただく必要は全くないので、一人でも多くの方に、
短刀と鐔を見て、いいね、きれいだね、と思っていただけたら幸いです。

薙刀直し造り短刀と茜図鐔

見どころしかない

備前長船刀剣博物館に行ってきました。
見どころがたくさんあり、写真もたくさん撮ってきたのですが、
ひとまず自分事だけまとめてみました。

近日、他の写真もまとめて、追いかけ記事を上げたいと思います。

 

ヘッダー画像:自撮り写真・「『瀬戸内刀工会』 森 光秀」展示区画

#刀 #日本刀 #短刀 #鐔 #鍔 #備前長船刀剣博物館

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