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サンリオで1番人権がないキャラこと、ゾウ自転車を救いたい。

皆さんは、総数400をも超えるサンリオキャラクター達の中で、最もファンシーかつ、最も力強くデザインされたキャラクターが何か、ご存知だろうか。

それは、

ゾウ自転車である。

サンリオ公式サイト(https://www.sanrio.co.jp/characters/zoujitensha/)より引用


どう考えても悪ふざけにしか思えないが、れっきとしたサンリオキャラクターだ。

しかし、控えめに言って怖過ぎる。

まず名前。愛称とかではなく本当にゾウ自転車なのだ。

"ゾウ自転車"という名前で定義付けられたこいつは、自転車から降りた瞬間に「ゾウ」と「自転車」になってしまう。アイデンティティの喪失はキャラにとって死だ。逆説的に言って、一度も自転車から降りたことがないのではないだろうか?飯を食らう時も、トイレに行く時も、恋人と映画館に行く時も常に𝑹𝑰𝑫𝑬 𝑶𝑵。そんな異常者。

生まれた時から、いや母象の腹の中にいた時から自転車に乗っていたのだろう。そして、深い愛情を受け、すくすくと育ち、比例するように大きくなる自転車。まさに怪物である。

おそらく、"自転車"に見える部分は我々で言う"骨"か"爪"に近い器官なのではないだろうか。あるいは鹿の角や、亀の甲羅に近いものなのかもしれない。タンパク質やカルシウムで構成され、体内の主要な器官を守る鎧であり、素早い移動で獲物を追い詰める矛でもある。

自転車が赤いのは文字通り"血が通っているから"か。

ところで、なぜ生き物には車輪的機構を持つものがいないのかご存知だろうか。これには様々な説があるのだが、一つに「車輪はデコボコした道に弱いから」という理由が挙げられている。

たしかに、自然界は凹凸だらけだ。そこら中に砂利が転がっていたり、ぬかるんでいたり、到底車輪で移動出来たものではない。

そう、ありのままの野生の中では、ゾウ自転車のような生物は発生し得ないのだ。
つまりゾウ自転車は人間が舗装した道路を活用して便利に生活出来るよう適応進化した、新生物だということがわかる。

人間がさき、ゾウ自転車があと。

ところで、類人猿は「笑う生物」と言われる。中でも人類は、円滑なコミュニケーションのために表情筋を進化させた唯一の生物である。

しかし見てくれ、ゾウ自転車も表情が豊かだ。とてもいい顔で笑っている。この事実も、ゾウ自転車が人間社会に溶け込んで、人と意思疎通し生活していることを裏付けている。

考えてみれば、ゾウ自転車は明らかに人間社会に適合している。白のロンTにグリーンのパンツを合わせ、おしゃれな帽子まで備えている。これは完全に猥褻物陳列罪を気にかけており、法令遵守意識の表れだ。
サンリオワールドにおいて、ゾウ自転車は人間の隣人として共に生きているのかもしれない。

名誉人類


しかし実際問題、ゾウ自転車と共存することは可能なのだろうか?
"世界最小のゾウ"と呼ばれるボルネオピグミーゾウですら、成体では体長1.5〜2.6m、体重2500kgと、人間に比べてかなり大きい。自転車の速度平均は15km/hであるとされているが、もし仮に、2.5トンの物質が時速15kmで移動した場合、その運動エネルギーは22050[J]となる。9mm口径のピストルの威力が約450[J]と言われているので、その50倍だ。大砲である。

しかもこれは最小のゾウを想定した場合であるし、自転車はもっと早く移動することが出来る。まさに"動く交通事故"と言えるだろう。おそらくサンリオワールドでは軽車両に分類されている。もはやゾウ自転車は自転車に乗ったゾウではなく、ゾウを乗せた自転車なのかもしれない。

本体はチャリ?


さて、ここまでゾウ自転車について考察を交えながら紹介してきたが、実際、具体的なことはなにもわかっていないのだ。

サンリオ公式サイトを見ても、生まれ年が1981年であること、そして趣味がサイクリングであることしか書かれてない。こいつは一体何なんだ?

また、キャラ紹介を見ると、

ファンシーフレンズで創られたデザイン。ファンシーフレンズとはハイセンスなファミリーに向けて開発されたブランドで、子供から大人まで家族みんなで親しめるよう商品1点ごとにオリジナル性を大切に創られたソフトで暖かみのあるデザインが特徴。

サンリオ公式サイトより

と書いてあるが、これはゾウ自転車についての紹介ではなくデザイナーのエゴだ。
ただ1つのグッズもなく、当然サンリオ人気投票にはエントリーすらされていない。

明らかに愛されていないのである。

キティさんのプロフィールはこんなに充実してるのに。


私はそんなゾウ自転車の現状を打破すべく、今回筆を取った。

誰からも愛されていないお前を、俺は愛してるぞ。


本当は誰よりもファンシーで、力強い、ゾウ自転車のことを、あなた方は舐めていませんかと。

キティだろうがマイメロディだろうが、ゾウ自転車の圧倒的戦闘力の前ではアリに等しい。

水中戦ならハンギョドンが最強?
いや、ゾウだって泳げるし。

キキララは月と同じサイズ?
知るか。ゾウだってデカい。

世界は残酷で、だからこそ美しい。
kawaiiだけでは自然界は生きていけないのだ。
強さと、知性がなければ。

そう、あらゆる面から見て、どう考えたって社会性を持った二足歩行のゾウが最強に決まっている。

キャラクターは人に忘れられた時、死ぬのだ。
サンリオにおいてゾウ自転車の扱いは、明らかに不遇。ほとんどの人に存在を知られていない現状は、言うなればまさに絶滅危惧種だ。
私たちは1000年後も、この多様な生命に溢れる美しい地球を子孫達に受け継いでいくために、ゾウ自転車について語らなければならない。


あなたも、愛すべき隣人、ゾウ自転車を応援してみないか?

いつかサンリオ人気投票で1位になることを夢みて




ゾウ自転車と同じ、1981年生まれのマスターが経営するバー、『札幌パールジャム』

美味しいのでオススメです。


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