脱・ギャンブル採用!理想の仲間と出会うための戦略的採用マーケティング
~理念と事業計画から逆算した採用ペルソナ設定と魅力的な採用サイト構築のススメ~
こんにちは、ギャブリッジパートナーズの松尾です。
前回のコラムでは、マグネット採用戦略の根幹をなす経営理念の重要性についてお話ししました。 今回は、「採用すべき人の要件をどのように決めるべきか」についてお話しします。
価値観の多様化が進む現代において、優秀な人材を採用し、定着させることは容易ではありません。 せっかく採用した人材が早期に離職してしまう… そんな悩みを抱える企業も多いのではないでしょうか?
早期離職を防ぐために
早期離職を防ぐためには、「ミスマッチ」を解消することが重要です。私はミスマッチには、大きく分けて2つの種類があると考えています。
価値観のミスマッチ: 企業の経営理念と、従業員の働く上での価値観が一致していない場合、従業員は「この会社で働く意味を見出せない」と感じ、離職してしまう可能性があります。
スキルのミスマッチ: 業務で求められるスキルと、従業員が保有するスキルや、やりたいことに乖離がある場合、従業員は「自分の能力を生かせない」「成長を実感できない」と感じ、離職してしまう可能性があります。
これらのミスマッチを防ぐためには、採用活動を始める前に「どんな人を採用すべきか」を明確にする必要があります。
採用ペルソナ設定の重要性
そこで重要になるのが、「採用ペルソナ」の設定です。 採用ペルソナとは、自社で活躍できる理想的な人物像を具体的に描いたものです。年齢、性別、経験、スキル、価値観、ライフスタイルなど、様々な要素を盛り込み、まるで実在する人物のように詳細に設定することで、採用活動の精度を高め、同時に早期離職を防ぐことができます。
経営理念と事業計画から逆算する
では、どのように採用ペルソナを設定すれば良いのでしょうか? ポイントは、経営理念と事業計画から逆算することです。
まず、前回述べた通り、ビジョン、ミッション、バリューで構成される経営理念に共感できる人でなければ、日々の業務に面白みを感じることができないでしょう。特に、経営者が業務上大事にしたい考え方や行動を言語化したバリューに共感できない人は職場に馴染めないでしょう。
次に、今後の事業計画を具体化することで、これからどのような顧客にどのような商品をどのような販売戦略で対応していくのかが導き出されます。今、会社に必要な人材ではなく、将来の会社に必要な人材に必要な資質やスキルを明確化することが重要です。
「アジャイル型」事業計画
アジャイルとは、元々はソフトウェア開発の分野で使われていた言葉で、顧客や市場環境の変化に迅速に対応するために使用される手法です。現代の社会変化のスピードや多様な価値観に対応するためには、詳細な事業計画を作っても1年後には方針変更を余儀なくされるような可能性があることは否めません。しかし、それでもなお、これから目指す売り上げや利益目標、それを可能にする商品やマーケティング戦略、投資やシステムの導入計画、そしてこれらを実行する上で必要な組織や各ポジションに求められるスキルなどを一旦整理した上で採用を始める必要があります。
これらの分析結果を踏まえ、自社で活躍できる人物像を具体的に描いていきましょう。
魅力的な採用サイトで惹きつける
採用ペルソナを設定したら、次はそれを効果的に伝える必要があります。そのためのツールが、「採用サイト」です。 採用サイトとは、企業が従業員に与える職場の魅力や、将来職場で得られる素晴らしい未来を求職者に24時間伝え続けるものです。ホームページが企業が「顧客に与える」企業の商品やサービスの価値を伝えるもの」であるのに対し、採用サイトは「企業が従業員に」与える職場の魅力を伝えるものであるという違いがあります。
スマートフォンを皆が持っている現代、ハローワークの募集からでも会社の情報はインターネットで検索されます。求職者は、企業のホームページだけでなく、採用サイトを見て、「ここで働きたい!」と思えるかどうかを判断しています。
採用サイトがない、あるいは魅力的でない場合、せっかく求人広告やハローワークで興味を持ってくれた人がインターネットで会社を検索しても「あれ?求人している会社は本当にここかな?」と思われたり、「やっぱりここじゃなくてもいいかな…。」と思われたりして、面接への応募というアクションに繋がらないことになります。
「働く上での給与以外の心理的報酬」SEARCH
では、採用サイトに何を書けばいいのでしょうか?マグネット採用では、人が働く上での給与以外の心理的報酬を「SEARCH」としてフレームワーク化し、以下の6つに分類しています。このSEARCHに沿って、採用ペルソナに近い従業員に彼らがリアルに感じている職場の魅力をヒアリングしてみるといいでしょう。経営者としては本当に職場の魅力があるのかどうか不安に思われる方もいるようですが、このように職場の魅力を因数分解してヒアリングすると、意外とたくさんの具体的な職場の魅力が出てくるものです。
S: Stability(職場における心理的安心感・安全性・安定性)
E: Excitement(仕事のワクワク感・自由裁量権・責任を持たせてもらえる喜び)
A: Achievement(仕事を通じて得られる達成感や成長、スキル取得の喜び)
R: Recognition(評価や褒賞、承認してもらえる喜び、ねぎらいの言葉)
C: Contribution(社会貢献や奉仕、お客様の笑顔を通じて感じる喜び)
H: Human(あたたかい人間関係やチームワーク、団結感の喜び)
SEARCHは職場の魅力の伸び代も映し出す
このSEARCHのヒアリングをする時に、是非やってみていただきたいことがあります。それは、SEARCHの各項目に対して「もしこんな制度や仕組みがあったらもっと魅力的な職場になるのに…」という(否定ではなく)前向きな提案をしてもらうことです。そうすることで、経営者はどうすればより魅力的な職場になるのかのリアルな施策のヒントを手にすることが出来ます。そして早速その制度の導入に動き、それが完了したら採用サイトや会社説明会資料に反映させ、求職者に伝えていけばいいのです。
採用サイト構築の重要性
戦略的な採用活動には、経営理念と事業計画から逆算された採用ペルソナの設定、その採用ペルソナに合わせた職場の魅力の言語化、そして発信を可能にする採用サイト構築がとても重要です。そうでなければたまたま会社の条件に合う人が現れるのを待つコストのかかるギャンブル採用になってしまいます。採用広告は「使い捨て」のメディアですが、採用サイトは一度作ると改善しながら長く使えます。闇雲に採用広告を出す前に採用サイトの構築を検討してみてください。
合理的に設定した採用ペルソナに合わせた魅力的な採用サイトの構築と戦略的な発信で、理想の仲間と出会い、共に成長していきましょう!
次回は、会社説明会と動機づけ面接の重要性についてお話しします。
このマグネット採用の全体像をお話しするマグネット採用習得・実践講座を2025年の2月まで行っています。