組織に対話の場をどう持ち込むか
『ダイアログ・ファシリテーターのガオリュウ です。』
2008年あたりに勉強会でファシリテーターを名乗り始めた頃からこう名乗っていました。「話し合う」というその行為自体はさほど難しくないものでありながら、相手との関係性を考えると言いたいことが言えないとか、一歩踏み込んだ発言ができないということはよくあるのではないでしょうか?その時にファシリテーターという存在がいることで、それぞれの考えを引き出したり、人と人との間に入ることで「いい感じ」の話し合いができたりします。特に組織の中には継続性のある「関係性」が存在します。その関係性のある中に対話の場をどう持ち込むかというのは、「まずはやってみる」というのもありですが、少し考えを巡らせてから場を用意するのも大切に思います。
組織の中に対話をつくること
リモートワークが多くの場で普通に行えるようになってきて、コミュニケーションについての課題も顕著化してくる中で、雑談の場をつくろう!というのは自然な流れではあります。そして、そういう「制度」を利用した場をつくることも今は必要な時期だと考えます。ただどうしても「制度」というか会社からの「コミュニケーションしなさい」というメッセージが読み取れる場では、なかなか参加者同士で自然な対話というのは難しくて、もう少し「目的」があり、なんのためにこの場があるのかを受け止めた上で対話を始められると良いと思います。特にリモートですと「話さないですむ」ので、少しだけ押し付けな対話の場をするのは必要だと。
場の立て付け
その「少しだけ押し付けな対話の場」というのは、「コミュニケーション不足だからコミュニケーションしなさい」というような直接的なメッセージを発信した場と、直接ではなく間接的に対話を促進する場の2つが作れます。直接的なメッセージが響く人たちと、直接渡されるとつらくなってしまう人がいて、組織の中ではいろんなタイプの場の立て付けを用意して、どれかがその人に合ったものになっていると良いのかもしれません。ちなみに直接的な場は「シャッフルランチ」などの「コミュニケーションするための場」となります。
間接的に対話を促進する場について
これが今回お伝えしたいことなのですが、例えば「社内研修」の中で行われるグループディスカッションがこれにあたります。普通に考えるとというか、デザインすると、単に学んでいることを言語化して伝えることで学びになるというものですが、社内のメンバーで、もっと言うとチームのメンバー同士で学びのために対話すると捉えれば、立派にコミュニケーションの促進としての対話になります。そしてそれは講師側が「組織内での対話である」と意識したファシリテーションを行うことでより効果的に場を作ることができます。
研修を内製化することの意義
この間接的なやり方も「社内研修」という、内製で行うことがポイントになります。外に受けに行く研修は研修で知識習得・体験の価値はあります。社外の人とコミュニケーションとること自体もそれはそれで対話の場ともなります。その上で、内製することには組織の強さに結びつく活動にすることでその「意義」が追加されます。
内製化という視点
今後、組織に対話を持ち込むのには「内製化」というキーワードは大事で、自分たち事にしていくためのアプローチの1つになると思います。
チームを見つめ直すという対話の場
間接的に対話を促すのに「テーマ」を与えた場というのも良くて、自分たちはどうなっているのかをチーム単位で知る方法は意外に少なく、「評価」されるのではなくて、「知る」ことをするのに向いているのはチームアセスメントと呼ばれるモノだと思っています。組織的に受けるサーベイなどは最近使われ始めていますが、このチームアセスメントを活用した対話に注目が集まり始めています。
そもそもアセスメントは「可視化」するもので、結果を見るということが主な目的になりますが、それをチームの対話に活用することをデザインしたチームアセスメントがいくつかあります。
・Ocapi
・Team Vital Signs
・Team Journey Supporter
これらは対話を想定したチームアセスメントで、ファシリテーションのガイドがついていたり、ファシリテーターを含めた形での提供がされていたりします。チームでの対話には関係性をいかに対話に合わせた形で活かすかが大切なので、ファシリテーションのガイド、アセスメントから提供される対話のプロセスを利用するといい感じに実施できると思います。
チームを見つめ直すという意味では「ふりかえり」という場も対話の場になります。またチームメンバーでカードゲームするというのも対話の場になりますね。カードゲームはそのモチーフによってテーマが変わることでしょう。
・The 残業
・心理的安全性ゲーム
・マネジメントカードゲーム「人月神話ヒトナラベ」
カードゲームなどはランチタイムにやってみるのもありでしょう。オンラインではできないという話もありますが、最近ではオンラインでカードゲームを再現できるサービスなんかも開発されてきているので、その辺りはまた別の機会に紹介させてもらいます。
対話の形は様々に
無理に一つのやり方に拘らずに、多様な人の集まりに、多様なアプローチを考えて、自分たちのチームには何があうのか考えて試してみましょう。場合によっては「全員で」をやめて、小さい集まりでやってもいいでしょう。1on1だって、インタビューだって、対話の形ですし、2on2、ワールド・カフェ、オープンスペーステクノロジー、手法もたくさんあります。大事なのは自分ごとに、チームごとにして対話を考えることです。オンラインもブレイクアウトルームで2人組作って話すこともできる環境です。場のつくりは丁寧に用意することで、十分に安心して話せる場を作ることができると思います。
これからも対話についての話題を書いていきますので、この話題のフォローしていただければと思います。
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