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「プロセスやツールよりも個人と対話を」に救われた話

プロセスやツールよりも個人と対話を

アジャイル開発宣言の一文目として語られるこの文章。ダイアログ・ファシリテーターを名乗る私にとって、この文章が開発の世界にあることはすごくうれしいことなのです。

組織で対話は自然発生しずらい

しかし組織の中では対話は自然には生まれにくいとも感じています。挨拶、報告など組織で言葉を交わすことはそれなりにありますが、自分の考えを伝えること、いわゆる対話というお互いの双方向の言葉のやりとりは自然には起きずらいです。さらに開発や組織の中では人数は2人というわけではないので、人間関係による複雑さを出してきます。AさんとBさんだけであれば話ができていたのに、Cさんが入った時にAさんとCさんの関係性とBさんとCさんの関係性で同じように話ができるかというとそうでもないのです。それぞれの持っている情報の差もありますし、Aさんだけに話したいことがあれば、Cさんがいたら話さないかもしれません。

だからこそ1on1という場やランチミーティングや合宿などが会社の中の仕組みとして用意されるのだと思います。

対話の効果

オンラインになって雑談が少なくなったという話も聞きますが、ではリアルの時にどんな話をしていましたか?と問うと、そこまでは話をしていないという実情を思い出すということもあります。「そこに居る」という存在感の大事さがここに現れていると思いますが、そもそも対話ができている関係性があれば、そこまで仕組みで話をする必要もありません。でもその関係性が構築できる場や時間が取られていないのであれば、対話の効果を考えた場や時間を用意することが大事だと考えています。

正直に言えば、アジャイルもスクラムも、そして研修の場でさえも自分にとっては「対話」を組織の中に持ち込む手段にしかしていないのかもしれないと行き当たりました。ダイアログ・ファシリテーター、そしてコーチング。内製化支援で行なっていたのも「対話」を軸にした活動です。

自分の身の上話しとして、個人が組織からの影響を受ける良くない状況というのをいくつも経験しています。事業部縮小からの親会社への吸収や、事業部譲渡、希望退職など。もちろんシステム開発におけるクライアントのとの齟齬や開発メンバーとのギクシャクした関係も…。そのいずれにもどこかに「伝えていれば」とか、「話し合えていれば」というところがあったのかもしれません。まぁ、当時はそんなことを考える余裕もなければ、そうなるかなり前に考える必要がありましたが。対話不足が一つの原因だったと思っています。

アジャイルマニフェストとの出会い

ようやくタイトルのアジャイルマニフェストの話に辿り着くのですが、この「プロセスやツールよりも個人と対話を」という言葉に出会えた時に、現場で「対話」について考える余地ができたと喜びました。話し合うことが必要だと応援してもらえる気持ちがしました。

それまでも話し合う場のファシリテーションに興味をもち、社外のコミュニティでは話し合う場を行なっていましたが、担当していた研修でも、チーム支援でも対話を手法の一つとして行うようになりました。仕事の場では業務を行うことだけが「話す」内容だったところから、個人個人の感情や想いを語った上での業務の話ができるようになってきました。業務に馴染ませる対話の場であれば、定例会を単なる報告会ではなく対話の場にすることもしてきました。アジャイルで言えば、ふりかえりこそは対話の場ですし、プランニングも対話できる関係性があることでより良いものになります。クライアントワークの要件定義も必要なことだけを決めるのではなくて、どういう想いで仕事をしているのか、システム開発をどう考えているのかなどを話せるようになっていきました。

対話の手法

対話の手法として、以前はタバコ部屋や給湯室という場もありましたが、最近だと1on1も対話の場だと思います。さらにワールド・カフェや、オープンスペーステクノロジーといったワークの場も会社のイベント、合宿で使われるようになってきました。読書会のABDという手法も対話が使われている場だと考えています。
それ以外にも、多くの話し合うための手法は生み出されていて、それらは対話する目的や人数、時間や場所に合わせて選ぶことでより良い対話の場が提供され、会社における関係性は一度きりのものではないので、その後のコミュニケーションにも影響が出てくると思います。
以下に会社の中で使えそうな対話の手法(ゲームやワークも)を挙げておきます。興味があれば調べていただいてもうれしいですし、今後のブログで少しずつ手法についても書いていければと思っています。

・ワールド・カフェ
・オープン・スペース・テクノロジー
・未来会議
・レゴ®️シリアスプレイ®️
・ダイアログ・イン・ザ・ダーク
・1on1
・システムコーチング
・チームコーチング
・グループコーチング
・NVC
・Point of View
・ローリーズストーリーキューブス
・対話型美術鑑賞
・哲学対話
・智恵の車座
・円坐
・ラーニングバー
・ハンガーフライト
・リーン・カフェ
・タバコ部屋
・給湯室
・稲盛流のコンパ
・フェニックスプロジェクト
・SOUNDカード
・フューチャーセッション
・ヒーローインタビュー




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