場の方向性の捉え方
このブログは「ファシリテーター」のアドベントカレンダーの第1日目になります。
「この場は、どこに行くのか?」
私がファシリテートする場は、その場のゴールへの道のりが明確ではない場のことが多く、参加する人たちで進む道を考えて自ら選んだり、道なき道を行ったり、時にはゴールを変えたり、見失ったりします。そんな中で、この場はどこに行くのか?どこに向かいそうなのか?どこに向かうと良さそうなのか?と方向を模索しながらファシリテートします。ファシリテーターである私の中に進むべき方向があるわけではないので、勝手に「良い」方向も決めつけない。あくまでも場が向かいそうな方向を想定し、その方向で合っているかどうかを場に問いながら進めます。
場の「方向」はどう捉えるのか?
場が参加者の言葉のやりとりで進む場合、言葉の発言は時系列で発生し、ファシリテーターも時系列で受け取ります。その場合、そのまま時系列で受け取っていくと、「方向」は発言と発言の繋がりで「流れ」を持つ感じになります。発言者の中で方向が変わっていたり、発言に対する発言で、逆説になったり、勢いがついたり、止まってしまったりと、今回のTOP画像に選んだ風見鶏のように、流れで風が吹いている「方向」だけがわかる状態になってしまいます。これではファシリテーターも「今」しか捉えられず、この先の未来の「方向」というか、全体の中でどの位置で、どの方向に向かう流れがあるのか?という捉え方ができにくくなります。そこで、場の捉え方は「時系列」ではなく、「全体性」という捉え方をすることで初めて「方向」の先を把握することができるのです。
「全体性」はどう捉えるのか?
その場の全体性というものは、場の最初からわかるものではなくて、ダンジョン型のRPGのマッピング作業と似ていて、真っ白(もしくは真っ黒な)な白紙のマップがあって、明確なゴールや道順がどのあたりになりそう…とかはわからないながらも、ある程度まで進んでみると、全体の構造やダンジョンの端っこみたいなものが見えて、ゴールはどの辺にありそうだというのがわかる感じです。(古いゲームですが、PC版のウィザードリィみたいな。あ、ウィザードリィはマップは正方形だったか…。)つまり捉え方も先ほどの時系列=一本道で受け取らないで、場の扱っているテーマや対象を「真ん中」に据えて、上下左右ができた空間に、場から出た言葉たちを置いてみることで発言に「位置情報」が加わり、空間的な把握ができるようになります。空間的に捉えることで「全体」という捉え方もできるようになります。その発言が何を言っているかというのではなくて、その発言がこの場に置いてどんな意味を持つのか?ということを考えながら場を見ていくことで全体性を意識できるようになります。
捉え方の練習方法
これは私がファシリテーショングラフィックのやり方についてワークショップをする時にやっている方法ですが、本当に紙のど真ん中にテーマを書いて、あとは上下左右に発言を思ったまま書き取ってみます。書き取り方は文章でもいいですし、キーワードでもいいです。そして、書き取った発言と発言の間に関係性を示す矢印や枠を入れていきます。まずは次にどの方向に行くかということではなくて、「捉え方」だけを意識してみましょう。
空間的に散りばめられた言葉から「今日のこの場では皆さんの興味はこの辺にありましたね」とか「この場は全体としてポジティブな感じが多かったですね」というようなことを思い浮かべられるようになったら、「場としての捉え方」が身についてきている証拠だと思います。
私は耳で聞いて、目で観て、可視化することで場を捉える力が身についたと思っています。人それぞれに「認知」する手法に得手不得手があるとも思いますので、この書くことでの「捉え方」がしっくり来ない方は、自分なりの「全体」「空間」の意識の仕方を考えてみてください。
明日はアドベントカレンダーの2日目、私のファシリテーションの師匠の1人でもある本間直人さんによる「ファシリテーターがまとめるのか?みんなが考えるのか?」です。今日のファシリテーターの在り方にも繋がる内容になりそうで楽しみです!
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