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【徹底解剖】 A cappella Medley 2024

こんにちは、ガオラー1年生のRyuです。いつもnoteを読んでいただきありがとうございます。

今回は全ガオラーに超弩級の衝撃を与えたこちらの動画、A cappella Medley 2024について、現時点での最大努力で徹底解剖します。もしまだ見ていない方がいたら、絶対にチェック!

このアカペラメドレーのどこがそんなに素晴らしいのか。

それはクライマックス。This Is Meからエンディングにかけてのリトグリらしい元気いっぱいで情熱的なハモ→そして最高にHappyな全員での「Yeeeeeey!!!!!!」で終わる爽快感と幸福感ではないでしょうか。これまでの第2章の美しく丁寧な雰囲気だけではなく、少し荒々しくも全力で音楽を楽しむ感じ。メンバーに笑顔が溢れて、目を合わせながら、体を揺らしながら全身で表現し、仲間と喜び合うこの感じ。これが「リトグリらしい!」「こういうの待ってた!」というたくさんの感動に繋がったのだと思います。

最高の「Yeeeeeey!!!!!!」までにどんなストーリーや仕掛けが散りばめられているのか、徹底解剖していきます。

前置き

そもそも「音楽を聴く」のは直感的に「なんかいい!すごい!」と聴くのがよいと思います。アーティストとしてもそうやって聴いてもらうことを目指しているはず。それが「音楽の魔法」です。なので、今回徹底解剖は「こういう風に聴いてくれ!分析的に聴くべし!」と言いたいわけではありません。
僕が情報提供することで、みなさんがこの素晴らしいアカペラを聴いたときに感動するポイントが増え、より盛り上がってもらえれば嬉しい、と思っています。

とはいえ、そんな素人に解説されても、、、というのはあると思います。が、少しは解説できる自負もありますので、まずは僕の自己紹介です。

幼少期から中学〜高校まで、サックスを主としてエレクトーン、ギター、ベース、ドラムなどを演奏。大学1年時にはトランペットで早稲田のビックバンドジャズサークル(本間将人さんの古巣)に在籍した後、2年時からは多数のバンドでサックスとして活動。複数大学選抜メンバーバンドに選出されてプロと共演したり、六本木を拠点に活動するキューバ人バンドのメンバーとしてお金をいただいて演奏したりしていました。大学4年次には母校のジャズビックバンドにてコンサートマスターとしてディレクションを担当。アメリカー演奏ツアーを行い、プロのミュージシャンを招いてレコーディングも経験しました。

というわけで、ある程度音楽は語れる方かな、と思っております。。。

でも僕はジャズの人。アカペラ独特の観点はわからない!ということで、今回徹底解説にあたっては、加藤ぬさんの知恵をお借りします。加藤ぬさんはアカペラ全国大会2度優勝、ハモネプ優勝を果たした「たむらまろ」というグループの代表の方です。

加藤ぬさんの以下動画はガオラーさん必見です。素晴らしい解説に加え、「やっぱりリトグリはすごいんだ」ということがよくわかります。

加藤ぬさんはこの動画のなかでアカペラの難しさ、そしてリトグリの素晴らしさについて以下のように語っています。

Little Glee Monsterも一人ひとりに声の特徴があって、それがすごく魅力的に、しかも有効活用されているっていうのがすごくいいんですよね。やっぱアカペラやるときの難しさって、なんか一曲歌うときに、一人がメインでずっとリードを取ったりね。もちろんそれでもいいんだけど、できればメンバー全員の個性を活かした演奏にしたいわけですよ。でもそれをやるには、リードを取ってた子もコーラスに回ったりしなきゃいけないし、全員がいろんなパートをやる必要があるわけです。でもそれを難なくこなしているっていうのがこのLittle Glee Monster。(略)アカペラグループとして成功して世間に認められるにはそういう部分が必要不可欠なんだろうなというふうに思います。その一方でアカペラの難しいのが、一人ひとりの個性が強すぎてもハーモニーとしては難しいということなんです。この両立ができるグループというのがほとんどないわけですよ。

今回のnoteは、そんな加藤ぬさんがハモネプ2022.12の出場各グループに対して語っている以下の動画を参考にします。この動画でハモネプ出場グループに向けて話しているコメントを「アカペラを見る観点」としていくつか抽出し、「じゃあそれをA cappella Medley 2024に当てはめると?」と考えていこうと思います。

また、アカペラはアレンジが命。A cappella Medley 2024のコーラスアレンジはこれまでもリトグリのアレンジを多数手掛けてきた吉田圭介さんが担当されています。吉田さんはA cappella Medley 2024について以下のようにポストしており、相当なこだわりがあるようです。

吉田さんのアレンジの巧みさや、その譜面に対してリトグリがどう対応しているかについても触れていきたいと思います。

※なお、一部自分で採譜した譜面を用いて解説しますが、多くの部分を出すと著作権侵害となると思いますので、一部に限って使わせていただきます。採譜が間違っている可能性もありますのでご了承ください。

前置きが長くなりましたがここから本題です!

ポイント①:軽々と4回も転調をしている

加藤ぬさんはアカペラにおける転調の難しさを以下のように語っています。

(該当のシーン、0:46〜再生されます)

まとめると

・メドレーは転調があるからそもそも難しい
・曲ごとにキー(Major、Minor合わせて24種類)があって変化する
・それらをうまい具合につなげて歌わなければいけない。
・アカペラでの転調は難しく、メンバー全員の音感が必要(たいていズレが生じる)

ということです。

A cappella Medley 2024では4回転調して、合計4つの調が登場します。

One Last Time:G# Major
Butter:G# Major
What Makes You Beautiful:G# Major
※転調※ (ミカ、アサヒ、結海のコーラス1小節で転調)
Water:B♭Minor
※転調※ (全員参加のベルトーン1小節で転調)
Dancing Queen:G# Major
※転調※ (ミカがマイクを変更した直後転調)
Daft Punk:B Minor
※転調※(ミカがマイクを置くした直後転調)
This Is Me:D Major

このように進みます。

想像してみてください。
・カラオケで転調する曲歌うの難しくありませんか?
・それをカラオケの伴奏なしでマイク一本で最後まで正しい音程で歌えって言われたらもっと難しいですよね?
・しかもそれがメロディでなくて、ハモを歌えと言われたら?
・その状態の人が6人で一斉に転調しろと言われたら?

僕は絶対うまくできない自信があります!(笑)

それをピタッと、しかも4回もやっているのがA cappella Medley 2024です。

それぞれの転調シーンを細かく見ていきましょう。

What Makes You Beautiful→Water

まずはWhat Makes You Beautiful→Waterの大変美しい転調。

下の譜面のとおり、Water直前の1小節でミカ、アサヒ、結海のコーラスが入ります。そしてWater直前の1音だけ、アサヒが音を変えることによって転調を実現しています。

Waterという曲は作りが少し特殊で、2小節ごとにB♭ Minor→ C Minor→B♭ Minorと行き来するような構成になっています。そしてその特殊性もこの転調を行う1小節のなかで表しているように思います。アサヒがたった1音下がるだけでそれを表現するのは吉田さんの巧みなところだと思います!そしてその仕事をちゃんとしているアサヒがまたすごい。

ちなみに、ミカはWaterの頭の音からかれんにコーラスをスイッチします。後ほど紹介する超絶難しいフレーズのために4小節お休みします。交代したことがわからないくらい自然なのがすごい。

Water→Dancing Queen

Water→Dancing Queenへ転調するところは感動的なベルトーン(鳴らす順番をずらして和音を完成させること、Join Us!の「ワーワーワーワー♪」のとこみたいな)です。和音の幅を広げつつ、転調させるというアカペラの魅力を最大限に活かした演奏になっています。譜面にするとこんな感じ。
(Waterは♭5つ(B♭ Minor)が譜面的には正しいと思いますが、ここでは直前の調感(C Minor)を表すために♭3つで記載しました。)

Dancing Queenのワクワク感がこの1小節に詰まっていると思います。

衝撃の無音転調、Dancing Queen→Daft Punk→This Is Me

Dancing Queen→Daft Punk→This Is Meの間はミカがマイクを取る、置くをしている一瞬で全員の頭のなかが無音の状態で転調しています。つなぎとなる音がないんです。しかも間のDaft Pankが短調(Minor)という・・・。でも転調後の一発目の音から音程をバッチリ当ててきます。

これは驚異的と言わざるを得ません。

ポイント②:ボーカルの個性に合わせた割り振り

加藤ぬさんはメドレーだからこそボーカルの個性に合わせた曲作りをすることのおもしろさを語っています。

(該当のシーン、2:05〜再生されます)

まとめると

・メドレーはいいところもある
・リードボーカルを曲に合わせて変更しやすい
・その魅力を自然に聴いている人に伝えやすい
・それによってグループの総合力を見せることができる
・(5:14〜の話)あわせて、原曲を再解釈するか、原曲の雰囲気をそのままもってくるか、という判断もある

ということです。

これはメドレーでなくてもリトグリが常に得意技としているところですね。
今回のメドレーでは以下のとおりにリードボーカルが移り変わっています。アカペラではMAYUがベースや字ハモ、コーラスに回ることが多いのはこれまで通りですが、結海は今回かなりの割合で字ハモやコーラスに回っていることがわかります。

One Last Time:かれん→miyou→結海
Butter:miyou→MAYU→かれん→ミカ
What Makes You Beautiful:アサヒ
Water : miyou
Dancing Queen:アサヒ(ソロコーラス)→ミカ
Daft Punk:アサヒ→かれん
This Is Me:かれん→かれん&ミカ

今回のメドレーで特に「個性を活かしてリードボーカルを担当している」と思うのは以下の3つ。
・One Last Timeの結海
・Waterのmiyou
・Dancing Queenのアサヒ(コーラスリード)→ミカ

順番に見ていきましょう。

One Last Timeの結海

この曲は冒頭の3人ずつで歌うところと、全員が入って結海がリードになるところで、曲に対する向き合い方が違うと思います。3人ずつのところはかれんらしさ、miyouらしさを全開にしたリードボーカルになっており、「リトグリらしさ」を全開にこのメドレーの始まりを告げています。

一方で結海。結海らしい歌い方なのですが、これがなんとAriana Grandeに非常に似ているんです。結海を出すことで、「原曲へのリスペクト」を全面に押し出す形に変化させているのではないでしょうか。この原曲、ちゃんと聴いたことなかったのですが、今聴くとここのリードボーカルは結海以外いないと思います。

特に「One」「Last」「Time」すべてのロングトーン部分が「a」の発音であるところがポイントです。このAriana Grandeの深い「a」の音色は、結海の深い「a」の音色とそっくりです。(結海推しなのにここは初めて気付いた・・・)
「One」「More」「Time」の「a」と「o」の音色も本当に結海とAriana Grandeが近いことを感じます。

Waterのmiyou

Waterはこのメドレーに盛り込むに当たって曲調を変えてリトグリ用に解釈し直したものだと思います。

今回原曲を初めて聴きました。

アレンジャー吉田圭介さんは「最初キューバ系のラテンアレンジ風で書いていた」ということでしたが、それは原曲をそのままの解釈で持ってくる感じだったのかなと思います。しかし、きっとメドレーの中盤ということもあり少し緩い感じを入れたくなったのでしょうか。ハーフビートのアレンジに変更されています。

そこでmiyouです!

ハーフビートのゆったりした感じ、Waterの雰囲気たっぷりに歌えるのはmiyouだけじゃないでしょうか。Waterで見せるmiyouの後ろに引きずるようなセクシーな歌い方。彼女の個性を活かしたからこそ曲の再解釈ができたのだと思います。

さらに、ここで特筆すべきはMAYUのオクターブユニゾン。miyouにぴったり合わせて色を添えることで、唯一無二の流れるようなサウンドを演出しています。

すごい!

Dancing Queenのアサヒ(コーラスリード)→ミカ

イントロのアサヒのソロコーラス(といっても1声)にやられました。ソロコーラス(アサヒ)+サブコーラス(かれん、結海、miyou)+ベース(MAYU)の5人を投入しても原曲の豪華なバンド編成に比べたら少ないもものです。それなのに、かの有名なABBAのDancing Queenの楽しいパーティーのような雰囲気をしっかり再現しているではありませんか!!!アサヒの伸びやかでノンビブラートかつ少しウィスパーを入れたような歌唱はすごく独特な雰囲気だしています。ここをこんな風にライトに歌えるのはアサヒだけだと思います。

そしてそして、スーパーリードボーカルミカの登場です。ミカのスーパーリードボーカルっぷりはこちらで書かせていただきました。

ミカのDancing Queenのリードボーカルは原曲へのリスペクトを強く感じます。ハッピーかつパワフルで、リードボーカルが引っ張ることで字ハモまで底上げして「わー!」と鳴っている感じ。これができるのはミカしかいないと思います。ぜひ原曲を聴いてほしいです。
こんな風にいいところを再現(しかもコピーではなく、しっかりミカ色になっている!)ができるのは、もうすごすぎて笑っちゃいます。

ポイント③:グループ全体でのノリの共有

加藤ぬさんはグループでのノリをあわせることの重要性を語っています。

(該当のシーン、2:36〜再生されます)

まとめると

・ノリが大事な曲をやるときに、アカペラでやるとコーラスの人がついていけないということがある
・グループ全体でノリに対する理解が大切
・細かいリズムになりがち。よく聴こえるためにはアレンジ上の工夫、音価(音の長さ)を工夫したり、リードとコーラスの分担を役割を工夫が必要

ButterとWaterでの「ノリの共有」は凄まじいと思います。

Butterでのノリの共有

Butterは強めの4つ打ちが印象的な16ビートの曲。それまでのOne Last Timeと同じテンポですが、One Last Timeが8ビートなのに対して、Butterは16ビートと裏で感じる速さが倍速になります。このノリの共有感がすごい。冒頭の「smooth! like! Butter!」部分のコーラスをかれん、ミカ、アサヒ、ベースをMAYUが担当しているのですが、音の切り方がOne Last Timeよりも鋭くなっているのがわかるでしょうか。MAYUなんて、ほんとすごいです。「Boom(ッ)Boom(ッ)Boom(ッ)」という感じ。いきなりコーラス&ベースのノリが変わるんです。そこですでにノリがあっているのでそのままスムーズに進行します。これには脱帽。

Waterでのノリの共有

そしてWater。先程書いたようにmiyouがハーフビートでゆったりと歌う曲。
まず重要なのはこの曲が始まる瞬間にmiyouのボイパルーパーがスイッチOFFされます。つまり、そこでノリが変わるのです。そこに流れるように入るmiyouのメインボーカル。でもゆったりしすぎるとダルくなってしまう。それをうまく調整しているのが、この絶妙なアレンジです。

以下がアサヒ、結海、かれんのコーラスパートです。ゆったりした感じとちょっと細かめなリズムを交互に打っています。これが、ゆったりしつつもゆったりし過ぎない、譜面のマジックです。

さらに!後半4小節ではミカが加わり驚異的なリズムを奏でます!!!
(以下2行の譜面が同時に歌われています)

あの・・・ミカさん・・・何してますか?w

譜面を読もうとしなくて大丈夫ですw とにかくミカの譜面だけぐちゃぐちゃしていて大変そうなことがわかりますよね。この譜面を渡されたとき、ミカはどんな反応をしたのでしょう・・・。でも動画を見る限りさらっとやっています・・・。ミカさん、大好きですw

ちなみに、アレンジの吉田さんはここのパートについて以下のようにポストしています。

これら含めて、miyouのゆったりとした雰囲気が強くなりすぎず、ノリを維持するための工夫なのです。

ポイント④:字ハモで魅せてもサウンドを薄くしない

加藤ぬさんは、字ハモの魅力と難しさについて語っています。

(該当のシーン、13:44〜再生されます)

まとめると

・字ハモは人に訴えかける感情的な効果がある
・しかし全体のサウンド的には薄くなりがち
・音圧があると人は感動しやすい
・ロングトーンを入れたりしつつ、説得力をもたせるのがアカペラの難しいところ

ということです。

このコメント「どういう意味だろう?」と最初は疑問に思いました。たぶんですが、全員が字ハモに回った場合に、休符やロングトーンがサウンド的に寂しくなりやすいということだと理解しました。たとえば、メロディー→追っかけメロディや、メロディー→コーラスだったり、そこにベースがいたりすると常に”動き”がありますよね。この”動き”がなくなると寂しくなる、という話だと思います。

そして、これを逆手にものすごい説得力のあるストーリーを作ったのがThis Is Meです。
原曲は以下で、映像とともに力強さが伝わってくる素晴らしい曲です。

参考にしたのは2:40あたりからの最後の盛り上がりの部分でしょう。
役割は以下のとおり。

・前半
ソロボーカル:かれん
コーラス:アサヒ、miyou、MAYU

・中盤
オブリガードソロ:かれん
リードボーカル:ミカ
字ハモ:結海、アサヒ、miyou、MAYU(たぶんこの順番でミカに近い)

・後半
オブリガードソロ:かれん
リードボーカル:ミカ
字ハモ:結海
コーラス:アサヒ、miyou、MAYU

となっています。
これを加藤ぬさんの話に即して考えると、

・前半
かれんのソロボーカルが引き立つようにロングトーンで静かめに3和音のコーラス

・中盤
ここが問題です。かれん以外の5人全員がメイン+字ハモだと、ロングトーン部分が落ち着いてしまう。そこにかれんがオブリガードソロで登場。リードボーカルをミカにスイッチすることでそれを実現し、かれん VS 5人の掛け合いにすることでむしろ音圧を増して盛り上げていきます

・後半
さらに動きがわかれます。掛け合いはかれん VS ミカ&結海になり、アサヒ、miyou、MAYUはロングトーンでコーラスに周ってメロディとは違う動きに。しかも、ここのコーラスは前半の3和音に比べて音域の幅を広くしていまるので、動き+和音の幅、どちらも増すことで盛り上がりは最高潮に達します。

→そして「This Is Me!」で全員が揃いクライマックスへ!

どんどん役割が分かれていくのに音圧が増していく。これがアカペラのおもしろいところですね。この役割の意味を6人全員が理解してこなしているように思われます。一見単純ですが、非常に音楽的です。

個人的にここのミカ&結海は最高です。ミカの圧倒的なリードボーカル力と、それに思い切り張り合うかのような結海の強烈な字ハモがものすごい力になっています。全身で音をぶつけ合って混ざり合っているのを感じますね。2人で歌っているとは思えない凄まじいパワーです。

ポイント⑤:ギャルバンなのにリトグリはすごい

加藤ぬさんはレビューの最後でこんな嬉しいことを言ってくれます。

まとめると

・ヤロバン(男性アカペラグループ)のほうがアカペラは有利
・ヤロバンは成立しやすいが、ギャルバン(女性アカペラグループ)は成立するのが難しい
・リトグリの誕生(など)によりそれは覆された!?(うれしい!!!!!!)
・ヤロバンは下から上まででるので迫力が出やすい

「下から上まで出る」はリトグリの真骨頂ですよね。MAYUを始め、miyouやミカも低音が得意だと思います。が、このA cappella Medley 2024では低音はほぼMAYUに任せています。

メロディに対して1オクターブ下の字ハモが素敵なところ
・One Last Timeの結海に対してのMAYU
・Waterのmiyouに対してのMAYU
・Daft Punkのアサヒに対してのMAYU(つまりDaft Punkは低音担当が2人いる!)

ベースがカッコよすぎるところ
・ButterのMAYU(低い!すごい!)
・What Makes You BeautifulのMAYU(音が結構動くベース)
・Dancing Queen(これはエグい!が完璧。da-da da-はめちゃ低いのに、du lu luはいきなりジャンプする、「You can dance!」の入りの前は低すぎる!すごすぎる!)

というわけで、「ギャルバンは成立しにくいよ!」に対して「そんなことはないぞ!」と言えるのはこのMAYUのおかげと言っても過言ではないのです。

さらに!この動画はさらにその一歩先に進んだのがすごいところです。「技術でそれを解決する」という新しい試みに挑戦しました。それがミカのマイク2刀流です。

Daft Punkは原曲を聴くとそのベースの凄まじさが印象的です。恐ろしいほど強烈なベースをどう再現するか。ミカがやってくれました。

Daft Punk前にミカはマイクをチェンジ。このマイクは特殊で、オクターバー(入力した音を1オクターブ下げて出力するエフェクター)+なにかしらのエフェクターを介して出力しています。それによって、女性では出ないであろう低い音をパワフルに歌うことに成功しています。

ただこのマイクを使っての歌唱、相当な技術が必要だと思います。イヤモニから戻る声が自分の声ではないので音程を取りづらいはず。でもそれを一発目からピタリをあわせてきます。

2:57からはさらに、オクターバーマイクと通常マイクの2本を同時に使うという過去、他アーティストでも見たことのないことをしています。それによって、男性ボイス+女性ボイスのオクターブユニゾンをミカ一人で出力しています。

そして、この2刀流が始まる2:57からは音のジャンプが非常にテクニカルです。ミカのみ譜面にするとこんな感じ。

1オクターブジャンプの連続。それを2本マイクでやるので2オクターブ幅のジャンプ感を一人で表現しています。譜面読める方なら(技術を使っているとはいえ)これが一人の声で再現できているのは驚愕の表現だと思うでしょう。

さらにこの部分を全員分のパートをつなげると以下のようになります。

上の図の🧡がこの曲の1拍です。結構なスピードのDuft Punkにおいて、1、2、3、4、1、2、3、4というカウントで一つのメロディラインを1拍(もしくは2拍)ずつリレーして奏でているのです。

簡単に言うと

(かれん)リト
(MAYU)ルグ
(ミカ)リーモン
(アサヒ)スターは
(結海)さい
(miyou)こー!

って順番に言って、一人の人が喋っているようにスムーズに聞こえますか?っていう話です。

それをやっているんです。しかも、無伴奏、アカペラで。Daft Punkの速さで。

寸分の狂いなくグルーヴィーに進んでいくのは奇跡としか言いようがありません。しかもその中に、ボイパだったはずのmiyouが現れたり、かれんはすごい音階を奏でるし、ミカは1オクターブジャンプを続けているし・・・。

本当に、ありえません。ギャルバンがどうこうとか、もはやその枠をはみ出ています。

追加で言いたいポイント

結海がすごいハーモニーバランスで貢献している

僕の最推しの結海。今回の徹底解剖ではここまであまり名前が出てきませんでした。

が!!!!!!

声を大にして言いたいです。みなさん、このアカペラの最大の感動ポイントは最後のすごい盛り上がりだと思いませんか?その盛り上がり、結海が超ナイスプレイをしています。

先ほど書いたように、This Is Me!の後半はミカ&結海の超パワフルなリード+字ハモが最高の盛り上がりを作っています。ハモ側でここまで音圧を出して溶け込めるってすごいと思います。これこそ、メンバーの特徴を活かしたフォーメーションでしょう。今回は結海はハモ役として最高の役割を果たしてくれたと思います。

miyouのボイパの進化がやばい

miyouのボイパについて触れていなくて大変申し訳ないです。そもそもボイパが入った時点で、リトグリのアカペラはすでに進化しました。

が!!!!!!

今回のmiyouのボイパはさらにヤバい。

Daft Punk後半のスネア+バスドラを同時に打つようなあれ!僕はボイパ詳しくないので正直わかりません。でも迫力がすごいことは確かです。たぶん技術がいるのだと思います…。ボイパの幅まで広がったら、本当にPentatonixになっちゃうのではw

全員の呼吸の感じや自由さがいきなりレベルアップした?

そしてなんと言っても、これが今回みなさんがなんとなく感じているすごいポイントなのではないでしょうか。最後ですみません。

「息があってる」
という表現がピッタリだと思います。

これは
・ポイント③で述べたノリが共有できていること
・ブレスのタイミングが計算しつくされていること
・そのために音の切り方なども計算されつくして合わせていること

があると思います。

ブレスをするのでも4部音符分(1拍)なのか、8部音符分なのか(1/2拍)、16部音符分(1/4拍)なのかで「合う」感じが違います。

これは勝手な予想なのですが、このあたりのコツ、Misiaさんと共演したときあたりでグループとしてなにか掴んだのでは、と思っています。自由なんだけど、自然にぴったりあっているというか、だからこそすごいパワーを感じるというか。それが思う存分発揮されたのが今回のメドレーだったのではないでしょうか。

@littlegleemonster1029

アカペラで@MISIA Official さんの「あなたにスマイル:)」🎤 『PEACEFUL PARK 2024 for 能登』ありがとうございました🙇‍♀️✨ #アカペラ #リトグリ #MISIA

♬ オリジナル楽曲 - Little Glee Monster/リトグリ公式 - Little Glee Monster/リトグリ公式

Yeeeeeey!!!!!!で終わるのは最高

これぞリトグリのお得意技。ロングトーンでハモりながらグリッサンド。元気いっぱいにYeeeeeey!!!!!!と最高なハモリを聴かせて終わるのは、ただただ最高に気持ちがいいです。

各メンバーのすごいところまとめ

最後にこのnoteの総まとめとして、今回のアカペラメドレーのなかで各メンバーのすごいと思ったポイントを短くまとめます。

かれん

リトグリをリトグリたらしめるのは、リード+ハモ、ベースだけではなくソロもすごいということ。かれんはその頂点です。ソロのようなリードのかれんに始まり、オブリガードソロのかれんで終わる。圧巻のソロ!

MAYU

「アカペラのギャルバンは成立しにくい」という常識を覆し、今回もそれを見せつけてくれました。圧倒的な低音は「リトグリはギャルバンだけどアカペラができる」の根拠になっています。

ミカ

圧倒的なリードボーカル力。周りの力まで引き上げてしまうリード力には脱帽。テクニカルな譜面も難なくこなす、スーパーボーカリスト。ミカのリードボーカルがグループのHAPPYオーラを全開にしたと思います。

アサヒ

コード感の変わり目、転調の際に重要なハモを担当。今回は影の立役者としての歌唱がとくに素晴らしかったと思います。アサヒが安定して音程を出すことでメドレーをメドレーたらしめています。唯一無二のウィスパーボイスは高音でも真価を発揮しました!

結海

正直このメドレーでは一番地味な役かもしれないですが、一番褒めたい。ミカのリードに対しての結海は相性が良すぎて、この2人でないとできない世界を見せてくれました。この元気感が、最後の「Yeeeeeey!!!!!!」までのストーリーを作ってくれたスーパーサポートだと思います。

miyou

miyouのボイパが加わることでリトグリのアカペラは新しいものになり、レベルがあがりました。さらにWaterで見せたような唯一無二の声が、リトグリの音楽表現の幅を広げました。ハモでも彼女の倍音豊かな声がクッションになっているはず。リトグリの可能性を広げる人だとあらためて感じました。

【徹底解剖】を書いてみて

みなさんがもっと盛り上がるなにかの足しになれたでしょうか。ボリュームがありすぎて申し訳ありません。なにか感想などあればXでもnoteでもコメントいただければとても嬉しいです。

ちなみに、あらためて動画を見ると「すげーーーーーーー!!!」の一言しかありませんwそれでいいんだと思います。

こんな最高な音楽が聴けて、こんな最高なグループを推せて、僕は本当に幸せです。

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