南半球の旅#02 ニュージーランド〜Walking toクイーンズタウン
旅というのは非日常であり、普段の自分ではしないような反応だったり、行動だったりが出やすいこともあり、それが面白くて旅行記を書いていることもある。
だから、他人が見ることを前提とするよりも、自分がその時のことを思い出せるように、感想を入れたり、自己満足的な話になったりするので、「何のこっちゃ」と思われるシーンもあると思いますのでご了承ください。
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さて、“世界一美しい”と評されたクイーンズタウン空港は、その言葉を“超絶”した、あり得ない空港といっていいだろう。
それは、まず空港という概念をぶち壊すことからはじまる。普通は機体が着陸体制に入ると、乗客は周囲を田んぼや畑に囲まれた、いかにも騒音被害が少ない茶褐色の大地を拝むことが多いのだが、ここはすでに景色からして“超絶”なのだ。
クイーンズタウンの中心街から車で20分程度の便利な立地でありながら、氷河が削った谷間にある地形なので、旅客機は周囲に聳え立つ山並みすれすれに降下して着陸する。私も世界のいろいろな空港を利用したが、空港を取り囲む景色がそのまま訪れる人たちを魅了するなんて聞いたことがない。
いや、それにしても、これだけは言葉で表現するのが困難なので写真を掲載するが、このビジュアルでその全貌が伝わるかは疑問がある。ぜひ、チャンスがあればご自身の目で見て確認していただきたい。
旅客機から降りて、直接、空港内に入るいつものパターンではなく、タラップを降りて滑走路の脇を歩かせてもらえるのも、ここの空港の魅力になっている。普段、単なる旅の出発もしくは終着点になる場所が、こんなに素敵な空間になるなんて…これが思い通りにいかない旅の醍醐味だと思う。
バスに乗って、早速、ホテルに向かうわけだが、とにかく周辺は、通常の街並みではなく、例えれば、立山連峰の裾野と冷涼な高原地帯を合わせたような景色がどこまでも続き、防風林の樹木でさえ、その景色を演出する小道具のように見える。
私も我を忘れてスマホのシャッターを押しまくってしまった。「おお羊がいた!」「ここで暮らす人は、買い物どうするんだろう」とか、とにかく浮かれた観光客になってしまった。
よく見ると、山々に樹木はほとんどなく、いつも日本で見ている景色とは違っているが、これは羊や馬、牛などを放牧するために切り倒し、斜面までを牧草地にしているからだ。文字通り樹木がなくては大雨が降った時などは水分を地中に保持することもできず、山崩れが頻繁に発生する原因にもなっていて、最近では異常気象の影響で深刻な問題になっているらしい。
山の中腹にある、いかにもトレッキングする人たちのためのようなホテル「スイスベルリゾートコロネットピーク」に到着。ロビーに入ると、なんとボーリング場が併設されているではないか!荷物を下ろして少し休んでから、みんなでバスでクイーンズタウンの中心街まで出かけた。
有名なハンバーガー🍔のお店
「Fergburger」に行列ができていた。
中心街といっても小ぢんまりとした店舗が軒を連ねる程度で、一応、飲食やお土産店などのお店はあったが、人口約14,000人のこの街であれば、観光客の需要も含めてこれで十分だと思う。
それでも現地の人たちは、強風吹き荒れる湖畔で、ワインを片手に友人同士で語り合っているし、行き交う人たちも笑顔が絶えない。これから夏に向かう南半球は、少しずつ冬の寒さから解放されているように思えた。
夕食はゴンドラに乗って、山の頂上にあるレストランでビュッフェ。行きは登る山側ばかりが見ていて分からなかったが、かなりのビューが眼下に広がっていた。
明日から、本格的にニュージーランドの旅がはじまる。
身体を突き抜けるような太陽の光を浴びて、南半球の雰囲気を感じながら、これからやってくるだろう新たな“絶景”に身震いする思いがした。