場外乱闘に挑む
先週、東京ビッグサイトで業界の展示会が
開催された。今年は満を持して新シリーズの
お披露目も兼ねていたので、資材も加わり
展示スペースも一段とスケール感が増した
感じだった。
Webサービスや新作商品、そしてオリジナル
商品もディスプレイされ、今年に賭ける当社の
意気込みを見せることができたのではないだろ
うか。確かに、入場者数はお世辞にも多いとは
言えなかったが、昨年以上にグレードアップ
した展示ブースに、みなさん興味津々の様子
だった。
だが、競合他社の展示ブースの内容と言えば、
何とも寂しい限り。A社も後継品として発売
された高級品が並び、B社も当社とよく似た
製品がメインとなるなど、あまりの元気のなさ
に気持ちが萎えた。
こういう場は、各社が競い合ってコンセプトを
打ち出し、今年一押しの商品をお客様に自信を
持ってご披露するのが本筋であって、こんな寂
しい展示会は今まで経験したことがない。ほか
には、大手メーカーなどが、実用的な簡易施工
商品を実演で繰り返しやっていたぐらいで、
盛り上がりに欠けていた。
こういう時は、
ついつい余計なことを考える癖がある。
ここまで作り込んだ展示ブースがあるならば、
例えば、他業界が主催する展示会に出展するの
も手かもしれない。「この業界は後工程だから」
と考えている人たちに、この業界がここまで
できるってところを見せてやりたい気持ちになる。
つまり、他流試合に出てみたいと言うことだ。
ただ、他流試合をするにも、何の武器もないの
が実情だ。闇雲に扉を叩いても、逆に打ちのめ
されるだけかもしれない。例えば、この業界の
商品は販売する範囲が限定的だ。相手は市場規
模が大きく、そして、確固たる仕組みができあ
がった業界だ。それは全国規模の代理店などを
見ればよく分かる。売れる、の金額規模が桁違
いで、在庫や納期なども、私たちが扱っている
量の比ではない。
確かに簡単ではないかもしれないが、もしかす
ると、そのしくみをひっくり返すことができる
かもしれない。
それはインターネットだ。
この業界はもちろん、世の中の多くは、
その底知れない力をみくびっているような
気がする。すでに銀行や証券などの主たる
業界は、インターネットによって構造や仕組み
を変えられてしまっている。小売業では、
アマゾンや楽天に、大資本の百貨店は為す術も
ない。
いやいや、すでに商品の販売も始まっている
し、ある会社は業界のネットワークを活かして
業者紹介や各種サービスの提供も始まっている
という声も聞こえてきそうだが、実はそういう
表向きのことではない。つまり、日々のオペレ
ーションそのものがインターネットによって
支配されてしまうってことだ。
ちなみに、セブンイレブンを経営するセブン&
アイホールディングスは、<オムニチャネル>
というリアル店舗とインターネットだけでな
く、電話やファックスなども組み合わせた
新しい販売の仕組みが話題になっている。
もはや、一つのアイテムでビジネスを考える
こと自体がナンセンスであり、さまざまな資源
を組み合わせて、新たなビジネスの仕組みを
先に構築した企業が生き残るという感じだ。
一時期の行き過ぎたネットビジネスよりも、
既存の仕組みや資源を利用したイノベーション
が出てきた感じがする。
そうこう考えているうちに、他流試合なんか
する前に場外乱闘を決めて、一気にライバル
をノックアウトしてしまう方が先なんだと
気がついた。どこまでやるか、と問われれば、
相手が倒れるまでと答える。
決着が着く前に、構想倒れにならないよう、
しっかり準備をしながら、進むべきときは
一気に進んで行きたいと思う。
* * *
問題意識は高いものの
具体的な方法論に入っていけていない。
これが若さ、と言うものか。
この後、違う形でアプローチを試みるが
多勢に無勢で
前に一歩進んでは
後ろに二歩後退する始末。
こうして当面
ぶつかり稽古を繰り返す訳だが
この時に
ジブンの力のなさ
周囲との連携
そして、資金力が必要だと分かった。
経営は、
そんなに甘いものではなかった。
この後も
何かと世の中に唾を吐き
ウダウダと悩みを打ち明けるが
それがジブンなんだと気付くには
もう少し時間がかかるようだ。
#あの時のジブン |02