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どんなに仕事が面白くても辞めなければ意味がない

8月も半ばを超え、風が徐々にではあるが涼しくなってきた。相変わらず動きは微々たるもので、こういう時期はどれだけ前を向いていられるかにかかっている。

昨日、某予備校の小論文添削者の面接に出かける。思った通りだったが、私以外は女性。しかも主婦のような感じもした。彼女たちはたぶん、大卒で、家庭に入ったが自分の能力を持て余しており、少しでもその能力を活かすことができたら、と思って応募してきたというところか。とても優秀そうに見えた。それに対して私はどのように見えたのだろうか。もちろん素性はわからないと思うが、いい社会人が1枚あたり640円の答案用紙を採点したがるなんて、と不思議がったのだろうか。それとも人のことなど眼中になかったのかもしれないが、不思議な感じのする1時間30分だった。

誰かが誰かをサポートする。このコンセプトは確実に社会に浸透しており、より一層強くなっていく。それがかつては公共的な活動だったのが、サービスも質も向上して民間がビジネスとして広げていったのは確かだ。学習塾や予備校などは寺子屋のころから見れば、長い歴史をもつサポートビジネスだ。それが専門化し、そして分野が広がり、いままで親子や地域社会で教えていたことまでが“学校”の名のもとに展開されている。独自のプログラムを開発して、より魅力のある内容にしていくことで生徒を募集するのだ。

しかし問題はその後にある。勉強しているうちは充実感もあり、自分の使命感すら感じるが、やがて実際の社会に出てみればこの世はもっと厳しい競争社会。机の上で学んだことがどれだけ役立つか、はとても難しいことだ。それはシステムそのものの問題かも知れないが、それよりもお金をどうやって儲けるか、のしくみと、お金に関してどういう知識をもっているか、の違いになってくるのではないか。理路整然と正しいこと、理想を述べたとしても、相手がそういうことを望まなかったとき、あえて自分の思うようにしたいと思うか、現状のなかで埋もれていくか。経験からすれば、どんな状況でも生活の糧を得ることを優先することが多い。

そこで自分なりに考えたことだが、成り行きに任せた人生の浮き沈みではなく、計画的な浮き沈みを企てるというのはどうだろう。状況が許せばではなく、この時期は必死になって働いて、とにかく経験と人とのつながり(人脈ではない)に奔走する。金を貯める。そしてある時期になったらすっぱりと仕事を辞めて日陰の人生にシフトする。買いたいものや食べたいものを押さえて、ある意味無所属の人間になってみる。このときの注意としては、どんなに仕事が面白くても辞めなければ意味がないこと。むちゃくちゃなことのようだが、こうして思いっきりシフトしなければ沈めない。人によって沈む時期を決められるのではなく、自らそういう時期を作ってみるのだ。そして次の行動に移る。以前と同じ業界、もしくは会社で働くのもよいし、まったく違うことをしてみるのもよい。最低限の約束は、縮んだら次は伸びることまで考えなければいけない。だから縮んでいる時期も決してお休みではない。逆につらい時期になるかもしれない。

自分のことを正当化するような内容だが、自分の人生だから自分が認めて、そしてそれをやっていくしかない、と思う。いまは縮んでいる時期だと認識して、そして新たな一歩を踏み出すためのきっかけにしようともがいている。恥も外聞も捨てなければならない。そういうことをいま、経験できることを喜んでいいだろう。あと何年かしたらこのコラムを読み直すことになるだろう。そのとき、きっとよくぞ言ったと自分を褒めてやりたい。

*****

いやいや予言とは恐ろしいものだ。
まさか20年後のことを
知っていて書いたとは思えないが
「ある時期になったらスッパリと仕事を辞めて」
とはまさに現実に起きている事実だ。

計画的な浮き沈みだったとは言わないが
ここ数年はその準備期間だったと言っても
過言ではない。
車は軽自動車に乗り換え
強制的に定期的な積立もしてきた。
年金を受給する期間の算段もした上で
当面の生活ができるようにしてきた。

別に日陰の人生だとは思わないが
世の中の順繰りの流れからは明らかに
離脱した状態だ。


ここで凄いのは
「どんなに仕事が面白くても辞めなければ
意味がない」とまで言い放っていることだ。

当時どの程度まで真剣に言っていたのか不明だが
そういう覚悟まで述べているのは興味深い。

自分の人生をデザインするならば
成り行きに任せるのではなく
自らその流れを止めることも必要で
それを未来の自分に課しているところも
いいじゃない。


世の中の真っ当な流れを拒否し
いやむしろそれまでの人生に隙間がなかったから
隙間を設けることがこんなに贅沢なことだと
知っていたのかもしれない。

私が会社を辞める時
みんなが口を揃えて言ったのは
羨ましい
の一言だった。

本当はみんな自由になりたいと思っているはず。
でも自由ほど精神衛生上悪いものはない。
特にやりたいことがない人にとっては
これ以上ない地獄だと思う。

逃げ出したいんだろうね
人生から。


分かるよ。
今なら素直に分かるよ、と言ってあげたい。

#あの頃のジブン |69

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